季節のくらし

カビ・菌・ニオイ、梅雨のお悩み一挙解決

1.湿気が気になる場所は?

5月中旬の沖縄を皮切りに、日本列島はいよいよ梅雨入りのシーズン。夏に向けて気持ちが盛り上がる中、長い雨やじめじめの湿気は悩ましいものです。嫌な季節を乗り切るノウハウを、住宅情報アドバイザーの藤原千秋さんにお聞きしました。
藤原千秋さん
住宅情報アドバイザー
藤原千秋さん
プロフィール
藤原千秋さん

プロフィール

住宅情報アドバイザー
藤原千秋さん
住宅メーカーの営業出身で、おうちのお掃除から建築基準法まで知り尽くす、住まい全般のスペシャリスト。執筆、取材、講演会などを行うなか、3人姉妹の母としても忙しい毎日を送っている。「ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー!!」「この一冊ですべてがわかる-家事きほん新事典」など著、監修書多数。
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家の中で湿気・ジメジメが気になる場所・アイテムTOP10

梅雨に悩ましい湿気の問題。一般の家庭では、どんなところが気になっているのでしょうか? くらしにプラスでは、主婦360人にアンケート(※)を実施しました。

1位 お風呂
2位 ふとん
3位 押し入れ
4位 洗面所
5位 クローゼット
6位 衣類
7位 下駄箱
8位 寝室
9位 玄関
10位 リビング

水まわりと収納、玄関などが要注意ポイント。湿気だけでなく気温も上がるこのシーズン、対策をしなければ、さらに大変なことが・・・・・・。カビやニオイです!
2015年4月 家庭における梅雨時期の湿気・カビに関する意識調査より

家のカビはまたたく間に家中へ拡散する

カビが生える主な条件は「温度」「湿度」「栄養」の3つ。カビの種類によりますが、気温は25~30度、湿度が65%を超えると活発になり、タンパク質や脂分の他、繊維や木材、ホコリなど何でも栄養にします。
カビは少しの振動や刺激で、どっと胞子が飛散します。家中に飛び交い、カビにとって条件の良い場所で、新たなカビが発生するのです。

梅雨特有の嫌なにおいの原因は菌がつくる悪臭成分

カビ臭の原因はカビそのもの。カビが発生しやすい梅雨の時期は、お風呂や洗面所などの水回りはもちろん、押入れや玄関も要注意。
生乾きの洗濯物や蒸れた靴のにおいは、湿気や汚れが大好きな雑菌が原因になることも。菌が繁殖するときに、悪臭成分を生み出します。

【場所別】梅雨のお悩み解決6つのヒント

クリックすると解決策にジャンプします!

1:【お風呂、洗面所】水まわりの頑固なカビは塩素系カビ取りジェルで
2:【ふとん】雨が続いたら室内でエアコン干しを
3:【押し入れ、クローゼット】湿気に弱い衣類は高いところに収納する
4:【衣類】洗濯槽のクリーニングは必須。部屋干しには除湿機を活用する
5:【寝室、リビング】雨でも窓を開けて換気できる日はある
6:【玄関、下駄箱】ジメジメした靴は除湿剤ですばやく乾かす

2.水まわりや収納の対策

「湿気が気になる」という声が多かった水まわりやふとん、収納の対策ついて解説します。

【お風呂、洗面所】水まわりの頑固なカビは塩素系カビ取りジェルで

水を使うお風呂や洗面所は、ただでさえカビやすいもの。特にお風呂は湿気が多いので、できれば梅雨時は換気扇を24時間回して空気を入れ換えてください。

頑固なカビには、塩素系のカビ取り剤が効果的。漂白剤にも使われている「次亜塩素酸ナトリウム」という強力な成分がカビを殺し、目地などもきれいにしてくれます。ただし、強力なカビ取り剤は手や顔に触れたり、目に入ると害があるので使用方法にそって使ってください。
藤原さんのおすすめはジェルタイプのカビ取り剤。液だれしにくいのでうっかり体に付けたり、関係ない所まで漂白したりするリスクが低いのです。

現実的には、カビ取り剤で毎日掃除するのは大変です。カビを見つけたら、エタノールで拭き取るだけでも増殖を防げます。日ごろから、こまめなお手入れが重要なのです。
石けんカスや洗剤のすすぎ残りはカビの栄養になるので、普段の掃除の際はしっかり洗い流しましょう。シャワーなどで乱暴に水をかけるのも、カビの胞子を飛散させるので逆効果です。

見えないフロ釜の汚れも忘れずに!!

お風呂と言えば、フロ釜の汚れも気になります。目が届きませんが、汚れや菌がたまりやすい場所です。手で落とせないので、専用のクリーナーで洗浄し、清潔に保ちましょう。

【ふとん】雨が続いたら室内でエアコン干しを

万年床のふとんは汗や結露で湿りやすくなります。敷きっぱなしにしないことが最低限の湿気対策です。
天日干しできればベストですが、天気や時間の都合で難しければ、室内での「エアコン干し」がおすすめ。ふとんを椅子などにかけて、冷房を23~25度程度に設定。部屋の温度が下がり、ふとんも干すことができます。

ふとん専用の除湿シートも、とても便利です。ふとんやマットの湿気を、ある程度吸ってくれます。とはいえ、除湿シートも長期間敷きっぱなしにするのはNG。湿気を吸収したら、晴れた日に天日で干してください。

【押し入れ、クローゼット】湿気に弱い衣類は高いところに収納する

湿気をふくんだ空気は重く、下にたまります。収納スペースには、湿気に強いものを下に、弱いものを上に入れます。押し入れなら、ふとんや衣類は上段に、下段には家電や家具をしまいましょう。
たんすの場合、綿やジーンズなど比較的湿気に強い衣類は下の引き出しに、ウールやシルクは上のほうにしまいます。特に下の引き出しは、天気の良い日にしばらく開けっ放しにして、空気を入れ替えてください。
押し入れ、クローゼットは換気が悪く、湿気のたまりやすい場所。反面、密閉された狭いスペースのほうが除湿剤は効くので、ぜひ活用してください。

現代の住宅はプラスチックの密閉容器のようなもの

湿度の高い日本では、湿気をためない風通しの良い木造家屋が主流でした。ところが現代は、空調が効く密閉性の高い住宅が良いとされています。昔の家が竹カゴなら、現代の家はプラスチックの密閉容器のようなもの。自然の換気はむずかしい家が多いのです。

3.衣類や部屋、玄関の対策

続いて、衣類の湿気、においに関わりが深い洗濯槽と部屋干しのノウハウ、寝室とリビング、玄関まわりの湿気対策を解説します。

【衣類】洗濯槽のクリーニングは必須。部屋干しには除湿機を活用する

「洗濯したのに服が臭い!」といった経験はどなたにもあるはず。汚れが落ちきらず、雑菌が繁殖している可能性が大。きちんと洗い直すしかありません。乾かすのに時間がかかればかかるほど雑菌が増えてにおいの原因になるため、早く乾かすことが大事。

部屋干しの際には、洗濯物の下に除湿機を置くと良く乾きます。除湿機は部屋の湿度を下げるだけでなく、機種によっては温かく乾燥した空気をはき出します。排気を洗濯物に当てることで、ダブルの効果で乾かせます。

除湿機がなければエアコンで除湿を、それも難しければ扇風機の風を当てるだけでも、乾きが違います。
寝室や畳部屋、衣類が多い部屋での部屋干しは、できるだけ避けてください。洗濯物の湿気が、部屋のふとんや畳(畳は湿気を吸収しやすい)、収納された衣類に移ってしまいます。

洗濯してもにおう場合は、洗濯機が原因かも。特に、目が届かない洗濯槽の裏側にはカビや雑菌が繁殖しやすく、洗濯中に衣類へ移ることがあります。

洗濯槽の専用クリーナーは、この季節の必需品です。1~2年クリーニングしていない洗濯機は、最初に槽洗浄コースなどでしっかり汚れを落とし、クリーナーの使用回数も増やしましょう。梅雨が開けるまで月1回ペースの使用をおすすめします。

【寝室、リビング】雨でも窓を開けて換気できる日はある

寝室、リビングの湿気対策は、効率の良い換気が重要。屋外の湿度が高いと部屋に湿気を取り込むので、窓を開けられないのがつらいところです。
しかし、キッチンから熱や湿気が流れてくるリビングや、湿気をおびたふとんを置いている寝室では、雨の日でも、屋外より湿度が高くなることがあります。確認のために、雨の当たらない軒下と室内を湿度計で比べてみましょう。外より家の中の湿度が高ければ、窓を開けて換気する意味があります。

窓の周りも注意したいところ。冬場に結露が激しいので、サッシなどにカビが生えやすいのです。カビが生えてしまったら、液だれしにくいジェル状のカビ取り剤で拭き取ります。カーテンは閉めっぱなしにせず、開け閉めして湿気を飛ばしましょう。

【玄関、下駄箱】ジメジメした靴は除湿剤ですばやく乾かす

雨の日が続くと、とっても気になる玄関のにおい。主な発生源は靴です。梅雨時はカビや雑菌の温床になり、悪臭成分が生まれやすくなります。濡れた靴を下駄箱に入れるのは絶対ダメ! 陰干しして乾かしてからしまいましょう。特に、革靴やスニーカー、素足ではくサンダルやパンプスは、汗を吸収してにおいやすいので要注意。除湿剤などを活用して、1日はいた靴のジメジメ、においを除去しましょう。

下駄箱の中の湿気も注意したいところ。靴がカビたり、痛むことがあります。大切な靴は靴箱の中より通気性が良い布袋での保管がおすすめです。

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