1.賢い衣類の整理術
効率良く衣類を収納する衣替えのコツを、整理収納アドバイザー認定講師のすはらひろこさんに聞きました。
まずは、衣替えの段取りが肝心です。
衣替えは持っている洋服を知るチャンス
毎年変わるトレンドに合わせて、新しい洋服を買うのは大きな楽しみ。シーズンごとに増えていく服を、持て余し気味の方も多いのではないでしょうか? 衣替えは、衣類を減らしてクローゼットを整理できるチャンスです。
衣替えをすると、手持ちの洋服を一通り認識できます。サイズが合わなくなったり、着心地の悪い服はありませんか?形が古いスカートは? 色が似合わなくなった、と感じているシャツもあるはず。一枚ずつ、手に取ってみてください。
持っている洋服を把握できれば、次のシーズンに向けて、買うべきアイテムが分かってきます。今あるものを生かしながら、新しいコーディネイトを考える楽しい時間です。
春の衣替えは3回に分けてGWでフィニッシュ!
衣替えは、季節の衣類を選んで、すぐに取り出せるよう整理する作業です。気温が変わりやすい時期に衣類を入れ替えると、奥にしまったばかりのコートを、数日後に再登場させることにもなりかねません。いっぺんに衣替えするのではなく、段階的に収納を入れ替える発想で進めてください。
3月も中旬を過ぎると、真冬のセーターやコートは、気温とも季節感とも合わなくなってきます。あくまで目安ですが、お彼岸までにはスタートして、4月中とGW(ゴールデンウィーク)にあと1回ずつ、合計3回で仕上げるくらいのスケジュールを おすすめしています。
5月の連休中なら、家族にも自分の着る服/着ない服を、考えてもらえます。衣替えの際には、必ず洗濯をするので、天気予報を見ながら、晴れた日に作業できるよう計画を立てておきましょう。
「3秒ルール」で衣類を処分する
処分のコツは「3秒ルール」です。洋服を手にとって3秒考えて、これからも着る/処分する、を判断します。瞬間的に判断できない服は保留ボックスへ。3秒で区切るのは、長く考えると、人は「処分しない」理由を色々考えてしまうからです。
保留ボックスは次のシーズンに開けて、再度判断します。3年間一度も着ない服は、今度こそ処分しましょう。ちなみに、私自身は「迷ったら着ない服」だと思っています。経験上、保留した洋服を再び着るようになるのは全体の1割以下です。
ポイントは、クローゼットの衣類を全部出して、一通り見てから考えること。「着ていない服がこんなにある!」と気づけば、処分しやすくなります。ところが、全体観をつかまずに1枚だけ見て考えると、どうしても処分しない服が増えてしまいます。
捨てるのはもったいない、という方は、それ以外の処分の方法を考えてみてはいかがでしょうか。
リサイクルショップに持ち込んだり、フリーマーケットに出品するのも良いですし、リメイクにチャレンジするのも手です。
用意しておくもの
ラベル
どこに何をしまったか、次のシーズンにすぐ分かるよう、衣装ケースに貼るラベルを用意。
衣装ケース
棚より引き出し式のケースが便利。今から買うなら、20cm程度の浅い引き出しがおすすめ。
防虫剤
目に見えなくても、衣類を食べる虫が付着する恐れがあります。被害が出てから対策しても遅いので、あらかじめ準備しておきましょう。
消臭剤
空気のこもりがちなクローゼットには消臭対策が必須。特に夏場はにおいが気になります。詳しくは次ページで。
2.クローゼット収納術
冬服を整理して、残すものを決めたら、今度はスペースを上手に使って収納しましょう。これから使う洋服やバッグが、使いたいときに、すぐ出せる位置にあることが、良い収納のポイントです。
収納の基本をマスターして片付け上手に
①収納スペースは3段に分割
クローゼットや押し入れなどの収納スペースは、上・中・下の3段に分けて考えます。それぞれ収納するものを分類すると、スペースを有効に使うことができ、使い勝手も良くなります。
②スペースは2割余裕を残す
収納スペースは余裕を持って、8割程度まで使うイメージ。詰め込み過ぎは、衣服の型崩れやシワの原因になります。
③衣類収納の基本
衣装ケースに入れる洋服は、四角くたたんで縦に並べましょう。上に積むより、シワになりにくく、また取り出しやすいのがメリットです。
衣類は生地の厚さや色の濃さで分類して収納すると分かりやすいでしょう。
クローゼットに収納するコツ
クローゼットは非常に分かりやすい収納スペースです。上段に棚があって、中段にハンガーパイプ、その下は衣装ケースを収納できます。
上段
上段には、オフシーズンの洋服をたたんで入れます。たまにしか使わないアイテムを収納するスペースです。また、湿気に弱いウールやシルク、カシミヤなどの衣類、革のバッグやベルトも、上のほうにしまっておきましょう。湿気は、部屋の下のほうにたまります。
木製やプラスチック製のケースは、出し入れの際などに、落ちてくると危険です。布製など、軽いものをおすすめします。
中段
ハンガーには、オンシーズンのシャツやジャケットを収納します。冬物のコートなどはハンガーにかけず、できればたたんで上段に入れてください。ハンガーに全部かける場合でも、季節ごとに着る服を分けましょう。次ページでご紹介しますが、スーツでもシワを作らずたたんで収納できます。
下段
ハンガーの下には衣装ケースを入れられます。プラスチックの引き出しケースが使いやすいでしょう。普段使う洋服でたためるものはこの中に。引き出しは20cm程度の浅めのものをおすすめしますが、下着や靴下を入れるなら高さ15cmくらいで十分です。スペースを有効に活用してください。
ストーブや加湿器などの重い季節家電やスーツケースも下段に。スーツケースを頻繁に使わないなら、オフシーズンの衣類を入れるなど、収納スペースのひとつとして活用しましょう。
ウォークインクローゼットに収納するコツ
気を付けたいのは、家族の洋服を同じ空間に収納する場合です。自分の服/夫の服/子どもの服というように、持ち主別に衣類を整理して、すぐに取り出せるようにしましょう。
また、ウォークインクローゼットが増えて、女性から多く寄せられるのが、家族の洋服に付いたタバコや汗のにおいが気になる、という相談。
ウォークインクローゼットは、消臭まで考えるのが、賢い収納だといえます。
着た服を陰干ししてからしまったり、日頃からこまめに換気するなどして、におい対策をしましょう。もちろん、消臭剤の使用も有効です。
虫食いやカビから衣類を守る
防虫剤は、収納スペースなどに合わせて適量を正しく使うことが大切です。量が足りないと、十分な効果を得られず、虫食いの被害にあう場合があります。
防虫剤を、衣装ケースの底に入れているお宅を時々見かけますが、衣類の上に載せるのが基本。成分は、下から上ではなく、上から下に広がっていきます(※)。最近では、クローゼット全体を防虫ケアしてくれる便利な製品もありますが、必ず使用上の注意を確認してから使用しましょう。
また、衣類の虫は、湿気の多いところが大好きです。湿気はカビやシミの原因にもなるので、適度な換気や除湿剤で、湿気対策に気を配りましょう(詳しくは『知っておきたい!衣替えのキホン』へ)。
※下に置いて使用できるファンタイプの防虫剤もあります。
3.ワザありアイデア集
最後に、整理と収納に役立てられるワザありのアイデアをご紹介します。次の衣替えで、簡単に取り入れられるものばかりです。
タオルを挟むとスーツもたたんで収納できる
挟むタオルは厚手のものを使用しましょう。使い終わったラップの芯でもOKです。
たたんだら、立てて収納するのではなく、寝かせて上に重ねてください。ただし、上が重すぎるとシワになるので、重ねるのは4着くらいまでにしましょう。
つるせる「シャツラック」が便利
衣替えの時期には、まだ着る可能性のあるアイテムをそこにだけ、残すようにします。最後に、シャツラックに置いたものだけしまい、衣替えを完了できる状態にしておけば、やり残しがありません。
クローゼットでシャツラックをつるすためには、ハンガーにかける洋服を整理しなければなりませんが、それだけの価値があると思っています。