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暑さのピークは過ぎたのに体のだるさが抜けません。まだ夏バテが続いているのでしょうか?

夏のピークは過ぎたのに、夏バテのようなだるさが秋口になっても残っている人は少なくないのではないでしょうか。気温が下がって暑さが和らいでも油断は大敵。そんな人は「秋バテ」にかかっているかもしれません。そこで今回は、日本初の「冷え症外来」を開設し、長年患者さんの心身の不調と向き合ってきた、医療法人祐基会 帯山中央病院 理事長 渡邉 賀子さんに、秋バテの原因や対策を教えてもらいました。

秋口に体調不良を引き起こす「秋バテ」とは?

真夏に冷房や冷たいもののとりすぎで体を冷やしてしまい、暑さが和らいできた秋口になって体調不良が続く状態を「秋バテ」と呼びます。実際に冷房を使っている夏の時期は平気でも、疲労が蓄積した秋に入って急に体調を崩し、さまざまな不調が表れます。

私たちの体は、脳や内臓のはたらきを守るため深部体温(体の中心部の温度)を約37℃に保っていますが、四季の変化や室内外の温度差には基礎代謝量や自律神経機能を調節して対応しています。春から夏にかけては、徐々に暑さに慣れて高温多湿な時期に備えようとしますが、いわゆる「夏バテ」は、この暑さへの適応ができず、梅雨が始まる6月ごろから夏場にかけて倦怠感や食欲不振などの症状が出るものです。

しかし、最近では冷房のおかげで、夏バテになる人は少なくなる一方で、「冷房病」という言葉もあるように、暑さに適応しようとする体を冷房で過剰に冷やすことや、室内外の寒暖差によって自律神経に負担がかかるといった影響で体調不良になる人が増えています。

男性も油断は禁物 秋バテの症状は?

秋バテの症状は人によってさまざまで、食欲低下や倦怠感といった夏バテと同じような不調だけでなく、風邪が長引いたり、不眠になりやすいのも特徴。また、冷たいもののとりすぎでお腹が冷えると、胃腸の機能だけでなく全身の血の巡りも悪くなります。血液は、酸素や栄養を体の隅々に届けて二酸化炭素や老廃物を回収する新陳代謝の役割を担うため、血の巡りが悪くなると、さまざまな症状が表れます。

さらに、秋は徐々に気温が下がって寒暖差が激しくなり、空気の乾燥も始まるため、咳が出たり風邪をひきやすくなったりします。本来、秋は寒い冬に向けて体力を蓄える必要があるため、食欲が増進するもの。しかし、秋バテのため食欲が低下して満足に栄養がとれないと、心身の不調が長引いたまま冬を迎えてしまう恐れもあります。

これらの症状は、もちろん男性も例外ではありません。特にオフィスや商業施設などで長時間、強い冷房の中で仕事をしている人は、体の冷やしすぎや冷たいもののとりすぎには十分注意しましょう。

まだ間に合う? 今から秋バテを防ぐには

すでに夏は終わって秋に差しかかっていますが、まだ秋バテを予防したり症状を和らげる方法はあります。一つずつチェックして実践してみましょう。

●上着やカイロで寒暖差を防ぐ

商業施設やスーパーは、かなり冷房が効いていて、屋外との寒暖差が大きい場合が多いようです。買い物中の30分程度でも体に負担がかかってしまうため、上着やカイロを持ち歩くようにしましょう。家の中でも、冷房の使いすぎには気をつけて、風が直接体に当たらないようにしましょう。

●冷たいものをとりすぎない

暑いからといって冷たいものをとりすぎると、胃腸が冷えて消化機能が低下してしまいます。食べ物の消化に適した温度は37℃前後です。普段の食事に味噌汁やスープを加えたり、生姜や山椒など体を温める食材を積極的にとりましょう。

麦茶などに必ず氷を入れて飲むという方がいますが、氷を入れると最後のひと口まで冷えた状態で飲み干してしまいます。氷は我慢して、最初のひと口だけは冷たいまま飲み、ふた口目以降は極力常温に近い状態で飲むように心がければ、体の冷えすぎを防げます。また、アイスクリームなどの冷たいデザートは食べるタイミングが大切なポイント。食後のデザートにすれば、いきなり冷たいもので胃腸を冷やすことを防げます。また、脂質が多いクリーム系よりもシャーベット系の方が消化しやすくカロリーも低めのため、体への負担が少ないのです。

お酒には交感神経の緊張を弛めて副交感神経優位になり、リラックスできる効果もあるため、軽く晩酌で楽しむのは構いませんが、冷たいビールの飲み過ぎには気をつけましょう。

●体を温める

夏場はシャワーで済ませてしまう人が多いのですが、38〜40℃程度のぬるめのお風呂に入ってリラックスする時間を作ると、副交感神経が優位になって全身の血流と新陳代謝が活発になります。入浴はこの温熱効果に加え、浮力と水圧で筋肉の緊張が緩んで、冷えやむくみの改善、疲労回復や深い睡眠にもつながります。

●体力をつけて免疫力を高める

コロナ禍では通勤やレジャーなどの出歩く機会が減って、運動不足の人が増えています。夕方に軽いウォーキングをすると体温が上がり、一旦上がった体温が徐々に下がっていくことがスムーズな入眠につながります。定期的な運動をすることにより、体力をつけて適正体重を維持したり、ストレス解消にもなり、免疫力を高めることができます。

すでに秋バテにかかっている人ができることは?

すでに秋バテの症状が出ている人は、内外から体が冷やされて胃腸がくたびれている状態です。朝はまず白湯を飲んだりして、胃腸を温めましょう。また、食欲がないと朝ご飯は食べたくないかもしれませんが、代謝を上げるためには、朝食で積極的にタンパク質をとることが有効。固形物が入らない場合は、豆乳や牛乳を温めて飲むと良いでしょう。

なお、今回秋バテの対策についてご紹介しましたが、体調不良が続くときは、自己判断せずに早めに医師に相談してください。

カイロで手軽に温度調節

寒暖差が大きい季節の変わり目や冷房で冷えた時などは、貼るタイプのカイロを使うと、手軽に体を温めることができます。効率的に体を温めるためには、筋肉が凝って血流が悪くなりやすい腰や肩、肩甲骨と肩甲骨の間などに貼るとよいでしょう。「On Style 腰40℃」は、約40℃の温かさが8時間持続し、腰をしっかり温める温熱シート。薄い形状なので、貼っているのが気にならないため、オフィスなどでも手軽に使用できます。また、血行をよくしたり、腰のハリや疲れをほぐし、痛みを和らげる効果があり、腰痛対策にも最適です。

取材協力: 渡邉 賀子 (わたなべ かこ)先生

医療法人祐基会 帯山中央病院 理事長
麻布ミューズクリニック 名誉院長
慶応義塾大学医学部漢方医学センター 非常勤講師
漢方専門医・日本東洋医学会指導医・医学博士
1997 年北里研究所にて日本初の「冷え症外来」を開設し、多くの女性が抱える悩みである冷え症の診断と治療にあたってきた。2003年、慶応義塾大学病院漢方クリニックにて、女性専門外来「漢方女性抗加齢外来」を開設。2004 年9 月、女性専門外来「麻布ミューズクリニック」開院。現在は医療法人祐基会 帯山中央病院 理事長として熊本に在住。より健康で美しい女性の一生をサポートするための診療・研究活動を行いながら、慶應義塾大学病院、麻布ミューズクリニックでも診療を行っている。

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