忙しい現代人によく使われる言葉「寝だめ」。「週末にたくさん寝ておけば、平日は多少寝不足でも乗り切れる」と考えている方も多いのでは? でも、なんだか調子が優れず、疲れやすいような気もしませんか……。快眠セラピスト・睡眠環境プランナーの三橋美穂さんに、週末にまとめて寝るメリット&デメリットのほか、体内時計の仕組みについて伺いました。
「リベンジ夜更かし」やスマホが睡眠不足の要因に
日本人は世界でも睡眠時間が短いとされており、特に日本人の女性は世界で最も短いそう。子育てや介護、家事など、女性へのしわ寄せが多い現状があるのかもしれません。
最近問題になっているのが「リベンジ夜更かし」。日中あわただしくて、満足のいく時間の過ごし方ができていないと、睡眠時間を削ってでも何かをして満足感を得ようとします。例えば、スマホやSNS、映画やゲームなど。連続ドラマなどを見始めると止まらなくなり、ますます睡眠が短くなっているケースも。次の日にはさらに能率が上がらなくなり、悪循環に陥ります。
スマホも、睡眠不足の大きな要因のひとつ。スマホのアプリやコンテンツには、ユーザーを引き付けておくための英知が集結しているため、何も考えずに使っていると、だらだらと見る羽目になりかねません。
睡眠不足が蓄積して睡眠負債に。寝だめではなく負債を返しているだけ!
睡眠時間が短くなり睡眠不足が溜まると、「睡眠負債」がある状態になります。実は、週末などに長い時間寝ているのは、寝だめをしているのではなく、睡眠負債を返しているだけ。負債はいつか返さないと破綻してしまうため、週末に寝ざるを得ないのです。
人間の身体は「あらかじめ多く寝ておく」ことはできません。週末にたくさん寝られるのは、その時点で睡眠負債が溜まっている状態と考えるとよいでしょう。
睡眠のリズムが崩れると、「睡眠時差ボケ」に
就寝・起床リズムが乱れると、海外旅行時の時差ボケのような症状を引き起こします。「睡眠時差ボケ」も、時差ボケと同じように全身にある体内時計がバラバラに動いていて、頭や体のリズムが整っていない状態になります。その結果、下記のような不調につながります。
- 体がだるい
- 頭が重く、ぼんやり
- 胃腸の調子が悪い
- 昼間眠い
- 夜眠れない
たまに行く海外旅行でも、時差ボケは体にかなりの負担があります。毎週末に夜更かしをして、翌日に朝寝坊をしていると、想像以上の負荷がかかっていると考えたほうがいいでしょう。睡眠時差ボケがあると、そうでない人と比べて下記の病気や症状のリスクが高いと言われています。
- うつ病
- 心疾患
- 糖尿病
- 肥満
平日も休日も、毎朝体内時計をリセットしよう
「寝だめ」と思って休日に長時間寝る習慣を続けていると、睡眠時差ボケになり、健康状態の悪化につながりかねません。できるだけ平日に長く就寝し、睡眠負債が溜まらないよう心掛けたいもの。
夜に早く眠るためには、朝起きてすぐ体内時計をリセットすることが大切。いくつもある体内時計のうち、起点となる親時計をリセットするには、2500ルクス以上の光が必要と言われています。晴天の日に外で日光を浴びれば、12~13万ルクスの光が浴びられます。曇りの日でも、5000~1万ルクスほどあり、リセットするには十分です。晴天なら15秒浴びればOK。できれば、起床後すぐに光を浴びる習慣を付けましょう。
また、夜眠くなるためのメラトニンを出すためには14時くらいまでに太陽の光を30分以上浴びるのが効果的です。昼休みに外を歩いたり、窓ぎわで仕事をしたりといった工夫をしてみてください。
全身にある子時計をリセットするためには、朝食をとりましょう。朝食をとって胃腸が動き出すと親時計と子時計が同調し、リズムが整います。
どうしても眠い場合には、一度光を浴びて朝食をとり、体内時計をリセットしてからもう一度仮眠をとってもかまいません。それくらい、体内時計を乱さないことは大切なのです。
睡眠負債を返す場合は、睡眠中央時刻を合わせて
平日にしっかり睡眠時間を取りたくても、さまざまな影響で睡眠不足になってしまうもの。その場合は、寝られるときに睡眠負債を返したほうがよいものの、返し方にはコツがあるのです。
例えば、平日は24時に寝て朝6時に起きる、という人がいたとします。週末にもう2時間多く寝たいと思ったら、23時に寝て、7時に起きるのがおすすめ。つまり、起床時間を遅くするだけでなく、就寝時間も早めるのです。「睡眠中央時刻」をずらさないように寝れば、睡眠時差ボケを起こさずに睡眠負債が返せます。
一方で、平日の寝る時間、起きる時間がバラバラで、金曜日に夜更かしをして、土日に昼まで寝ている……といった睡眠の取り方では、中央睡眠時刻が揃わず、睡眠時差ボケが起きてしまいます。できるだけ時間を揃えるようにしましょう。
また、睡眠の質を上げれば睡眠時間が短くて済む、と考える人もいますが、睡眠負債が溜まっている人は、すでに深く寝ている場合が多いものです。お酒、タバコ、カフェイン、寝床スマホ、夜食など、そもそも睡眠に悪い習慣があるならやめたほうがよいですが、そうでなければ睡眠時間を伸ばすしかないでしょう。
他にもある! 平日に早く寝る工夫
他にも、平日に早く寝る工夫はいくつかあります。自分に合うものを取り入れていきましょう。
●寝るためのアラーム
平日早く寝るのは、言うほど簡単ではありません。だらだらとスマホを見てしまったり、夕食や入浴が遅くなったりしてしまうことも。無意識に時間が過ぎてしまうミスを防ぐためには、寝るためのアラームがおすすめ。寝る直前では間に合わないので、入浴のタイミングで鳴らすと効果的です。アラームが鳴ったらすべてのことを一旦やめて、お風呂に入りましょう。やり残したことは翌朝早起きしてやると、デッドラインが決まっているのではかどります。
●睡眠をサポートするアプリを活用
毎日の習慣を継続するために、自分に合ったグループに参加して取り組む習慣化アプリがあります。「10時までにお風呂に入る」「23時までに寝る」といった目標を、5人グループで報告し合うので、励みになります。他にもさまざまなアプリがありますのでぜひ活用してみてください。
●リベンジ夜更かしには、香りで満足度を高めても
日中の物足りなさから夜更かしをしてしまう「リベンジ夜更かし」には、アロマの香りでリラックスして切り替え、満足感を得るとよいでしょう。
心地よい空間づくりに香りの力を取り入れて
日中の慌ただしさや物足りなさから脱して、すっきりと満足して眠りにつきたいなら、リラックスできる空間づくりは欠かせません。寝室用フレグランス 「消臭力 Premium Aroma For Sleep 寝室用」を使って、寝室を心地よい空間にしましょう。心地よい眠りを支えるDreamScentz™を採用した(※1)フレグランスオイルを配合し、特別な香りがおやすみ環境を整えてくれるうえに、ろ紙に配合したナノパウダーが消臭もしてくれます。付属のキャップで、香りの強さを調節できます。
※1 DreamScentz™とは、睡眠に関する研究から生まれたGivaudan社の技術です。