冷蔵庫は、冷凍庫や野菜室、チルド室など、冷蔵室の他にもいくつかの部屋に分かれています。普段何気なく食品を出し入れしている方も多いと思いますが、鮮度を長く保つためには、それぞれの食品に適した場所に保存することが大切です。今回は、家庭用冷蔵庫の製造・販売を行っているシャープさんに、各部屋の機能や役割、食品の正しい保存方法などを伺いました。
各部屋の役割と保存に適した食品は?
冷蔵庫は、それぞれの食品に合った環境で保存できるように、いくつかの部屋に分かれています。一般的には以下の4種類。室内の温度や構造の違いを確認して、適切な場所に保存しましょう。
1.冷蔵室(約2〜5℃)
冷蔵庫の中でも一番大きいスペースが取られているのが冷蔵室。保存温度は約2~5℃で、お皿や保存容器ごと入れておく食材の作り置きの他に、たまごや飲料、調味料などを保存します。
毎日使うものや早く使い切りたいものなどは、取り出しやすい中段や下段に、あまり頻繁に取り出さないものや長期保存できる未開封の瓶や缶類などは上段にまとめて保存するのが上手な収納のコツです。
2.チルド室(約0〜3℃)
チルドとは、食品が凍る寸前の温度帯のこと。チルド室の保存温度は約0~3℃と冷蔵室よりも温度を低く設定し、凍らないギリギリの温度をキープしています。一般の冷蔵保存よりも食品の発酵や熟成を遅らせてくれるため、鮮度が長持ちするのが特徴。肉や魚介類など、凍らせずに鮮度を保ちたい生鮮食品や、発酵が進みやすい食品の保存に適しています。その他に以下のような食品の保存におすすめです。
・生鮮食品(肉類や魚介類など)
・加工品(ハムやソーセージなど)
・練製品(かまぼこやちくわなど)
・発酵食品(納豆やみそ、ヨーグルト、チーズなど)
また、漬物は酸っぱくなるのを遅らせてくれたり、野菜の中でも完熟トマトは美味しい完熟状態をより長くキープしてくれたりするので、ぜひ試してみてください。
3.野菜室(約2〜5℃)
野菜室の温度は、約2〜5℃と冷蔵室とほぼ同じですが、密閉構造により高い湿度を保ち、鮮度が落ちやすい野菜の乾燥を防ぐ役割を果たしています。
しかし、野菜ならなんでも入れておけばよいというわけではありません。野菜は育つ場所や季節に近い環境で保存することが大切。原産地が熱帯地方や亜熱帯地方の野菜は、寒さに弱く低温障害を起こしやすいため、冷蔵保存には向きません。なすや里いもといった夏野菜や秋野菜と呼ばれる野菜の保存温度は、10〜14℃が適しているので、冷蔵庫には入れず、風通しの良い日陰で保存しましょう。主な夏野菜や秋野菜は、以下を参考にしてください。
夏野菜:きゅうり、ピーマン、かぼちゃ、なすなど
秋野菜:じゃがいも、玉ねぎ、さつまいも、里いもなど
なお、室内に水がたまると野菜が傷みやすくなります。収納する際は、野菜の水気をしっかり取りましょう。また、ラップで密閉するとより長持ちします。
4.冷凍室(約-20〜-17℃)
約-20〜-17℃で保存する冷凍室には、冷凍食品やうどんなどの長期保存したい食品の他、ホームフリージングした食品を入れておきましょう。加熱調理したおかずやスープ、ソース類、ご飯やおもち、納豆などは、品質の低下が少なくホームフリージングできます。お肉や魚はしょうが焼きや照り焼きなど調味料で下味をつけてから冷凍保存するのがおすすめです。
一方で、冷凍保存に向かない食品も。マヨネーズやかまぼこ、寒天菓子、たまご、牛乳などは、冷凍すると変質するので入れないようにしましょう。ただし、たまごは錦糸卵や泡立てた卵白、牛乳はホワイトソースであれば、冷凍してもOKです。
また、冷蔵庫によっては、温度の違う冷凍室が複数ある場合もあります。アイスなど、確実に凍らせておきたい食品は、より温度が低い部屋に入れましょう。夏場の暑い時期は、冷凍室でも開け閉めを頻繁にしていると、温度が上がって食品が柔らかくなることもありので注意してください。
食品の詰め込みすぎはNG
冷蔵庫は、冷気ファンを回して空気を循環させることにより冷やしています。そのため、食品を隙間がないくらいギュウギュウに詰め込むと、冷気が隅々まで行き届かず、庫内に温度ムラが生じて適切な温度をキープできなくなります。温度が低い冷凍庫も例外ではないので、詰め込みすぎないようにしましょう。
また、冷気の吹き出し口近くに、豆腐やこんにゃくといった水気の多い食品を置くと、たとえ冷蔵室でも凍ってしまう恐れも。特に、缶ビールやノンアルコール・炭酸飲料などは、凍ると破裂する可能性があるので注意してください。