「ダニ」と聞くと、夏のジメジメした季節を思い浮かべがちですが、実は1年中、家のあちこちに潜んでいます。最近は気候変動で高温多湿の期間が長くなり、ダニの繁殖チャンスも拡大中。知らずに放置していると、不快な思いをしてしまうかもしれません。今回は、エステー収納・ホームケア研究チームの山﨑遼研究員が、1年を通して効果的なダニ対策のポイントを季節ごとの具体的なアクションがわかるダニ対策カレンダーと合わせて解説します。

家庭に多い3種類のダニ
家にいるダニのほとんどは、実は「人を刺さない」タイプのダニ。主な種類と特徴を知っておきましょう。
・ヒョウヒダニ:家の中で最も多く見られるダニで、死骸やフンは快適な暮らしのために取り除いておきたいハウスダストの一種です。人のフケや皮膚の破片、食べこぼしなど、さまざまなものを餌として繁殖します。
・コナダニ:畳や保存食品などで発見されることの多いダニです。特に、小麦粉や乾物などに発生しやすいのが特徴です。
・ツメダニ:ダニを餌にするダニ。ヒョウヒダニやコナダニを捕食して増えるため、これらのダニが増えるとツメダニも増えてしまいます。時々間違えて人の皮膚を刺してしまうこともあります。
ダニが繁殖しやすい環境とは?
ダニは温度25℃前後、湿度65%以上の高温多湿でほこりの多い環境が大好き!
湿度が高ければ高いほど、ダニは増え続けます。
ほこりの中には、人のフケや皮膚の破片、食べこぼし、カビなど、ダニの餌となるものがたくさん含まれています。家のほこりの量が多いと、それだけダニの数も多くなるとも言われています。
家の中のダニ“ホットスポット”
ほこりや湿気がたまりやすい場所に要注意!

・寝具(布団、マットレス):人は寝ている間にコップ1杯分の汗をかくと言われています。その汗が布団に吸収されることで、私たちの想像以上に湿気がたまり、ダニにとって快適な環境になります。湿気を除去するために、天日干しやふとん乾燥機を積極的に活用しましょう。
・カーペット、ソファ:ほこりや食べこぼしがたまりやすく、ゴミが取り切れていないことがよくあります。丁寧に掃除機をかけてダニが増えるリスクを下げていきましょう。特にソファの隙間や、座面の下は忘れがちなので要注意です。
・押入れ、クローゼット:通気性が悪く、湿気がこもりやすい場所。整理整頓ができていないと掃除しにくくなり、ほこりがたまりやすくなる原因にもなります。汗や汚れの残った衣類は、ダニが繁殖しやすい原因となります。ダニの発生を防ぐためにも、衣類は清潔にしてから保管し、収納環境を整えましょう。
ダニ対策カレンダー!

~無理なくできる対策のポイント~
【春】
・夏前のダニ対策
・クローゼットの防虫剤チェック
・ダニスポットにダニ対策アイテム設置
湿度が高まってダニが増えやすくなる夏が始まる前に、しっかり対策をしておくことで、ダニの大量発生を抑えましょう。衣替えの際は、防虫・ダニよけ効果が期待できる防虫剤の有効期間を必ずチェックし、必要に応じて交換してください。湿度が上がる前に、寝具やカーペット、ソファの座面の下などにダニ対策アイテムを置くことも大切です。
【夏】
・エアコンの「除湿」で湿気コントロール
・天日干しや乾燥機で寝具の湿気除去
・クローゼットや引き出しに除湿剤設置
気温25℃以上、湿度65%以上が続く夏は、ダニにとってまさに「天国」。湿気をコントロールし、ダニの繁殖を抑えましょう。エアコンの冷房機能だけではなく「除湿機能」も活用しましょう。また、天日干しや布団乾燥機をこまめに使用して、寝具の湿気をしっかり取り除くのも有効です。湿気がこもりやすいクローゼットや引き出しには、除湿剤などの湿気対策グッズを置くのもおすすめです。
【秋】
・ダニの死骸やフンをこまめに掃除
・衣替え時に防虫剤チェック
夏に大繁殖したダニが寿命を迎えるこの時期。ダニの死骸は一度に大量に発生するのではなく、毎日少しずつ増えていきます。そのため、月に1度の大掃除というよりは、こまめな掃除でダニの死骸やフンを除去し続けるのがコツ。布団やマットレスには、ゆっくり掃除機をかけてダニの死骸を吸引するようにしてください。衣替えのタイミングで夏に活躍したダニ対策アイテムや、防虫剤を確認して有効期間が経過したものを交換することが大切です。
【冬】
・油断せずにダニ対策を継続
・布団乾燥機で寝具の湿気除去
・こたつ布団も要注意
・大掃除にさぼりがちな場所もキレイに!
冬は温度や湿度が低くなるから大丈夫!と思いがちですが、油断は禁物。 暖房や加湿器で室内が快適になると、ダニが繁殖しやすくなります。これまでのダニ対策を継続することが、非常に大切です。寝具の天日干しがなかなかできない場合は布団乾燥機などを活用して、寝具の湿気を除去しましょう。
ゼロにはできない? 大事なのはダニが増えにくい環境を保つこと
ダニはとても小さな生き物であり、家庭内のダニの数を完全にゼロにすることは難しいとされています。だからといって諦める必要はありません。
文部科学省では、室内のダニの数について目安が示されています。たとえば、子どもが過ごす環境では、1平方メートルあたり100匹以下に抑えることが望ましい(※)とされています。つまり「ゼロにすることではなく、増えすぎないようにしておくことが大切」なのです。1回の掃除で完璧を目指すより、簡単で良いので定期的に掃除を続けて汚れやダニの発生を抑えるようにしましょう。
※文部科学省「学校環境衛生管理マニュアル(平成30年度改訂版)」P.21より
簡単だけど今すぐできる! コツコツ、ダニ対策
ダニが増えすぎないように、簡単にできる対策やお役立ちアイテムを紹介します。

1. 布団乾燥機を使う
布団乾燥機の「ダニ対策」モードがあれば、熱や乾燥でダニが死滅しやすくなります。天日干しができない日も湿気を取り除くことができます。
2.気になるところをサッと拭く
掃除機をかけるのが面倒な時でも、ウェットシートやフローリングワイパーを使うことで、床や家具のほこりを取り除くことができます。ダニの死骸やフン、すみかとなるほこりを舞い上げることなく、効率的に掃除ができます。
3. ダニ対策アイテムを賢く使う
日々のお掃除と合わせて、ダニ対策アイテムを上手に活用しましょう。カーペットやソファの座面下、マットレスなど、丸洗いや天日干しは難しい場合にも、それぞれに最適なアイテムがあるので、上手に使い分けて取り入れるのがおすすめです。
ダニを捕獲する「ムシューダ ダニさん集まれ! ダニ捕獲シート」
布団、枕、カーペットやペット用ベッドの下に置くだけで、ダニを誘引して捕獲。大判サイズのシートがダニをしっかり集めて閉じ込めます。殺虫成分不使用で、食品生まれの誘引成分を使用。お子さんやペットのいるご家庭でも使えます。効果は約3ヵ月持続し、取り替え時期が一目でわかる交換目安シール付き。ダニのフンや死骸もまとめて、シートごと捨てることができます。手軽さと安全性を両立した、便利なダニ対策アイテムです。

コツコツとダニ対策を続けて、1年中快適な毎日を送りましょう!
