季節のくらし

睡眠の習慣を見直そう。冬の寝室環境のつくり方

よくある睡眠の悩みとNG習慣

寒い冬は、睡眠の悩みが増えがちではないでしょうか。「寒くて眠れない」「朝起きられない」「夜中に起きてしまう」など……。また、季節に関わらずとも、睡眠に満足できていない人は多いかもしれません。まずは自分や家族の睡眠を見直し、改善するために寝室の環境を整えることから始めてみては? 快眠セラピスト・睡眠環境プランナーの三橋美穂さんに、睡眠の質を下げる原因や、睡眠を改善するための環境のつくり方を教えていただきました。
快眠セラピスト・睡眠環境プランナー
三橋美穂さん
プロフィール

プロフィール

快眠セラピスト・睡眠環境プランナー
三橋美穂さん
寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで合う枕がわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。著書に『眠りのさじ加減 65歳からのやさしい睡眠法』(青志社)ほか、日本語版を監修した『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)は100万部を突破。わかりやすく実践的なアドバイスには定評があり、NHK「あさイチ」TBS「ひるおび!」日本テレビ「ヒルナンデス!」など、テレビ番組にも出演多数。
HP:https://sleepeace.com/
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睡眠の悩みはいろいろあり、複数の原因が絡み合っている

「よく眠れない」と一言で言っても、状況はさまざまです。例えば、よくある悩みとして下記のようなものがあります。

  • 寝つきが悪い
  • 寝ている途中に目が覚める
  • 朝早く目が覚めて、それから眠れない
  • 起きたときに熟睡感がない
  • 昼間に眠くなる

大きな要因の「だらだらスマホ」

ほとんどの場合、原因はひとつではなく、複合的に絡み合っています。例えば、お酒やたばこ、カフェイン、夜食のほか、寝床スマホ(だらだらスマホ)は、寝つきが悪くなったり、睡眠が浅くなる要因の代表格です。特に、就寝前のだらだらスマホは最近増えており、現代人の睡眠の質を下げる要因となっているので要注意です。

エステーの調査(※1)によると、睡眠に関してやめたくてもやめられない習慣の第1位は「就寝直前に布団の中でスマートフォンを見てしまう」でした。

スマホの強いライトだけでなく、刺激的なコンテンツが、睡眠の質を下げたり、睡眠不足になる要因となり、日中の眠気が強くなりがちです。

睡眠の質を高めるためには、就寝前の習慣を見直し、寝床にスマホを持ち込まないのがベストです。

(※1)2023年10月エステー「睡眠習慣やリズム」に関する実態調査より

冬ならではの睡眠の悩み

部屋の温度が低くて布団から出られない。また、寒くて睡眠が浅くなる。

睡眠の質や長さには、環境が大きくかかわっています。特に、冬の睡眠の悩みは室内環境が関係することが多いです。

よくある悩みとしては「朝寒くて起きるのがつらい」というものがあります。部屋の温度が寒いと、なかなか布団から出られません。また、寒い部屋で寝ていると睡眠が浅くなることもわかっています。睡眠不足状態になるので、2重に起きにくくなってしまいます。

温めすぎて深部体温が下がりにくい

寒いからと言って、寝る環境を温かくしすぎるのもよくありません。熟睡感を得るには、起きている時間より深部体温が下がる必要がありますが、電気毛布などで暖めすぎると深部体温が下がらずに暑くて目が覚めて眠りが分断されたり、脱水状態になったりします。寝る前には設定を強くしてもかまいませんが、寝るときには弱くしておきましょう。

「深部体温が下がる」という説明をきくと、体温を下げればいいと思うかもしれませんが、そうではありません。眠る前に血行が良くて手足が暖かい状態になり、その後で体の深部の熱が表面から放散されていくのが「深部体温が下がった」状態。体を温めすぎると、熱が内部に残ったままになり、熟睡感を得にくくなります。保温性の高すぎる着衣も同様に、温めすぎてしまう場合があります。

身体がほてりすぎるのもよくないので、寝る直前の入浴も好ましくありません。就寝時間の1~2時間前に入浴を済ませておきましょう。

日照時間が短いのでメラトニンが生成されにくい

冬は夏に比べて日照時間が短いのも、冬の睡眠が困難になる原因のひとつ。日中に太陽の光を浴びることで夜間のメラトニンが作られるためです。メラトニンはホルモンの一種で「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、体が眠れるよう促してくれます。

冬の日照時間が短い東北地方や日本海側の地域ほど冬季うつになる傾向が高いとも言われており、海外でも同様です。

冬場の快適な睡眠環境

室温は18~23度、湿度は40~60%に

冬場でもよい睡眠を得るために、さまざまな工夫をして寝室の環境を整えましょう。

多くの人が寝床内の温度を上げようとしますが、部屋の温度を適切に保つのが基本です。室温は18~23度、湿度は40~60%が適切です。

暖房や加湿器を使うのが一般的ですが、電気代や環境負荷が気になるなら、温度が逃げていく窓の断熱を高めるのがお勧め。二重窓にしたり、内窓を付けると、夜間の暖房なしでも温かく過ごせます。

断熱リフォームは国を挙げて推進していますので、自治体の補助金制度を確認してみてください。また、賃貸住宅などで対応が難しい場合は、自分でつけられる断熱シートなどを活用するといいでしょう。

布団の中は人肌くらいに温めておく

布団の中はむやみに暖かくするのではなく、寝る前に人肌くらいに温めておきましょう。湯たんぽや布団乾燥機、電気毛布などが使えます。寝るときには設定温度を下げて、熱くなりすぎないようにします。

冷気は部屋の床の方に溜まりやすく、特に敷布団が冷えやすいため、保温性の高いパッドや毛布を敷くと快適性が高まります。

掛け布団をたくさん使うと重くなり血行が悪くなるので、多くとも3枚以内にしておきます。

3つの首を冷気から守って

着るものは、寝具とのバランスが大事。寒い場合にはたくさん着込むより、腹巻やレッグウォーマー、ネックウォーマーなどで冷え対策をしましょう。首、手首、足首の「3つの首」を冷えないようにするのがポイント。つま先が空いていた方が適度に放熱できるため、靴下よりもレッグウォーマーのほうが適しています。

カーテンの遮光度合いも確認を

朝に光を浴びるため、カーテン選びも重要です。遮光カーテンには1~3級までありますが、朝になっても暗すぎないよう2級くらいがベスト。また、カーテンの端を5cmくらい開けておくと、自然に日が差してきます。賃貸住宅でも使えるカーテン自動開閉器をカーテンレールに設置すれば、タイマーで開け閉めできるので便利です。

豆電球でも明かりがついていると眠りが浅くなる要因になり得るので、寝る時は部屋の中はできるだけ真っ暗にしましょう。

スムーズに眠れない人には、BGMや香りも有効

いろいろ考えすぎて眠れない人には、BGMを小さめに流すのも効果的です。音楽を聴けば気がまぎれるので、考えすぎを防げます。60分くらいのスリープタイマーにして、眠りが浅くなる前に音が切れるようにしておきます。

また、リラックスするために自分の好きな香りを付けたり、スプレーしたりしてもいいでしょう。入眠の儀式としてもお勧めです。

寝室用の香りで心地よい空間づくりを

寝室用のフレグランス「消臭力 Premium Aroma For Sleep 寝室用」は、心地よい眠りを支える「DreamScentz™」採用のフレグランスオイルを配合。ろ紙に配合したナノパウダーによって消臭もでき、付属のキャップで香りの強さを調整できます。 ミストタイプもあるので、寝る前に寝具などにシュッとスプレーするのもおすすめ。寝室にあった特別な香りでおやすみ環境を整えましょう。

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