衣替えの季節、クローゼットの整理収納をしないといけないと思っていても、なかなか手が付かない…。主婦Aさんのお悩みを解決するため、片付けのプロ、お片付けコンシェルジュで整理収納アドバイザー1級の伊坪美和さんがお宅を訪問! 「分けるだけ」の簡単衣替え術を実演してくれました。
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1.「着る/着ない」で分ける
クローゼットの状態をみて「ここまでぎゅうぎゅうだと、カビや虫食いが心配」と伊坪さん。
まずは、クローゼットの中の衣類をすべて出して、「着る/着ない」で衣類を分けていきます。いちどに全部の衣類を出す場所がない場合は、アウター、ワンピース、Tシャツ、など種類別に取り出すとよいでしょう。カテゴリ別に分けることで、どんな衣類を何枚持っているのか、全体像を把握しやすくなります。
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季節外の衣類を分ける
今回は春の衣替えのタイミング。これからの季節に着るものと、冬物のニットやスカートなど着ないものを分けます。Aさんは季節外の衣類をクローゼットのパイプハンガーにかけて収納していましたが、それでは場所を取ってしまいますし、ニット類などは型崩れも心配。できるだけたたんでしまいます。
また、衣類を長期収納する前には、必ず洗濯かクリーニングを済ませてください。衣類に付着した皮脂や汚れを放置すると、虫食いや黄ばみの原因になります。
着なくなった衣類を分ける
クローゼット収納の理想は、スペースの2割ほどは余裕を残す「8割収納」。衣替えは、定期的に衣類を減らして、風通しがよく掃除がしやすいクローゼットの環境を整える良い機会です。
ぎゅうぎゅう収納のAさんは、何枚も衣類を手放さなくてはいけません。
問題は手放す衣類の決め方です。「この服はまだ着られる」というAさんに、「『着れる』かどうかじゃなくて『着たい』かどうかが重要です!」と伊坪さんはアドバイス。モノを軸に考えると「いつか着るかもしれないから」「まだ着られるしもったいない」と、服を手放せなくなります。自分が「着たい」か、実際にまだ「着る」のかで考えると、ずっと明確に衣類を分けることができます。
残すか手放すか決めきれないときは保留でOK。「着る」「着ない」「迷う」の三択にするのが、賢い整理術です。迷った衣類は一旦ボックスなどにまとめ、見直すタイミングを決めておくとよいでしょう。
それでも衣類が増えてしまう人は、はじめから持つ量を決めて、上手に衣類の量を管理するとよいでしょう。
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傷んだ衣類や人に譲るのが難しそうな衣類はそのまま処分します。売れそうなものはフリマアプリや古着店でリサイクルへ。
イベントの衣類を分ける
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冠婚葬祭など特定のタイミングで着るイベント用の衣類とアイテムも、日常の衣類、季節外の衣類とは別に分けておきましょう。
2.「スペース」を分ける
日常的に着る服と保管する服の場所を分ける
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衣類を分けたら、次はスペースを分けて、効率よく収納していきます。
コートなど一度着ても洗わない衣類は、収納空間にすぐに持ち込まないのが理想です。「コートなどは消臭スプレーをしてから別の場所のハンガーラックに一旦保管し、ニオイが取れてからしまうようにしています」とAさん。伊坪さんも、クローゼットの外にハンガーラックやカゴなどの仮置きスペースをつくることをおすすめしています。ニオイや湿気を取ってから、クローゼットに入れるとよいでしょう。
普段良く着る衣類は、手に取りやすい真ん中のスペースに分けます。長さ別にかけると、丈の短い衣類の下のスペースを活用できます。伊坪さんは、うまれたスペースを活かして、階段状に衣装ケースを置いています(上写真)。
また色別に、できれば濃い色から薄い色へグラデーションになるようかけると、衣類が見つけやすくなります。
コートなど、かけて収納する季節外の衣類は、できるだけ端のスペースを活用。ニットなどたたんで収納できるものは、ボックスや衣装ケースなどに入れて、足元や棚の上のスペースを使います。衣装ケースや収納ボックスはシールでラベリングすると、何がどこにあるか一目瞭然です。
イベントの衣類も、端のスペースに収納しましょう。イベントで使う小物アイテムなども、カゴやボックスにまとめておくと、探す手間も忘れ物の心配もなくなります。
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なお、クリーニングから戻ってきた衣類にかかっているポリ袋のクリーニングカバーを付けたまま長期収納するのはおすすめできません。空気やガスがこもり、カビや黄ばみの原因になることも。特に大切に保管しておきたい衣類には、通気性に優れた「ムシューダ 防虫カバー」をかけておくと虫食いやホコリ、色あせを予防できます。他の衣類と空間を分けることもでき安心です。
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3.「収納アイテム」を使い分ける
昨今では便利な収納アイテムがたくさん市販されています。収納の場所やスタイルに合わせて、適切にアイテムを使い分けるのが伊坪さんの収納術のポイントです。
枕棚には、軽くて丈夫なボックスタイプの収納アイテムがおすすめ。取っ手がついているタイプは、取り出しやすいのがメリット。長期収納の衣類は、蓋付きのボックスに収納してホコリから守りましょう。
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バラバラのハンガーはひとつにそろえると、幅や高さが整って、収納の見た目がすっきりします。
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伊坪さんは、クローゼット内の環境を清潔に保つことが大切だといいます。汚れやホコリがたまったクローゼットは、害虫やカビの温床になるからです。
一番下の衣装ケースはできればキャスター付きにすると、すぐに取り出して、床を掃除しやすくなります。
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防虫剤を正しく使い分ける
衣替えの仕上げに、伊坪さんが強調するのが防虫剤の活用です。
「クローゼットに有効期限が過ぎた防虫剤がかかりっぱなし、というのは実は結構あるあるです。衣替えをしないと、いつ入れたのかもわからなくなり、放置されて有効期限が過ぎてしまう、ということがよくあります(伊坪さん)」
衣替えは、大切な衣類を守るために防虫剤を取り替える良い機会でもあるのです。
また、防虫剤は、収納スペースに合わせて、最適な設計がされているので、使い分けが肝心です。正しい用途のものを選んで使うことが大切です。
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仕上げに「ムシューダ クローゼット用」を等間隔にかけて、衣替えが完了。
「これくらいスペースに余裕があれば、カビや虫食いも心配ありませんね」と伊坪さん。Aさんは「お店みたい!」と、見違えるようになったクローゼットに大満足でした!
ガイドブック公開中!
「『替える』より『分ける』新衣替え術」