1.プロが教える3つのポイント
家づくりのプロが語るポイントは「換気」「素材」「収納」
風のとおり道をつくる
最近の住宅は大変気密性が高く、においがこもりがちです。24時間換気を切らさず、定期的に窓を開けて外の空気を入れましょう。
家づくりのプロ・大和ハウス工業の金指さんが考えるコツは「2カ所の窓を開け、風の入り口と出口をつくること」。できれば、部屋の対角線の窓を開けると空気がよくとおります。また戸建て住宅の場合は、1階・2階の窓を開ければ、室内の温度差を利用した換気ができ、家全体に風がまわるので、なお良いでしょう。
においや汚れが付きづらいクロスなどを活用する
タバコの煙やペットの体臭、トイレの尿ハネまで、壁や床にはさまざまなにおいの元が染みつきます。
「壁や床ににおいが染みつくのが気になる方は、消臭・調湿効果があるクロスや床材など、建材選びでできることもたくさんあります」(金指さん)。
賢い収納計画が汚れにくい部屋をつくる
部屋に物が置きっぱなしになっていると、たまったホコリににおいがこびりついたり、カビのすみかができてしまいます。
「収納が整っていないと、床に置きたくなるものです。計画的に収納スペースを確保して、こまめに掃除しやすい環境にしておくことも、大事な家のにおい対策になります。“飾りたいもの”と“隠したいもの”を整理し、隠すもののスペースには扉を付けるなどしてホコリが溜まりづらい工夫をしましょう」(金指さん)。
家事のプロが語るポイントは「見えない汚れ」「重曹&お酢」「アルミホイル」
目に見えない汚れこそ早く落とす
キッチンやリビングで酸化した油は悪臭の元になります。家事のプロ・ベアーズの野口さんも「一番厄介な汚れは油汚れです」と指摘します。飛び散った油は目に見えにくいですが、放置すると何層にも重なり、黒ずんだ油汚れになります。プロでも簡単には落とせない頑固な汚れです。
もちろん、すぐにふき取れば問題ありません。こまめな掃除はもちろん、目に見えない汚れを意識することが、におい対策には重要なのです。
重曹&お酢は最強の洗剤
重曹は「炭酸水素ナトリウム」のこと。弱アルカリ性なので、酸性の汚れを中和してにおいの発生源を取り除きます。また、重曹自体にも消臭効果があります。
お酢は酸性なので、アルカリ性の水垢や尿の汚れを落とすのに適しています。ただし、大理石など石材にお酢を使うと、痛めてしまう可能性があります。その他の素材でもサビや劣化の原因になるので、使った後は水洗いや固く絞ったふきん等ですぐにふき取ってください。また、重曹を使用する際は家庭用手袋などを着用しましょう。
アルミホイルで抗菌・消臭
ある種類の金属には一定の抗菌効果があることが知られています。野口さんは、どの家庭にもあるアルミホイルを、さまざまなシーンで活用しています。
消臭のプロが語るポイントは「生活臭」「湿気対策」「消臭剤の使い方」
においの発生源を知ることから
料理のにおいや生ゴミのにおい、体臭にいたるまで、家庭によってにおいの原因は異なります。それぞれの家に漂う独特のにおいは、さまざまな成分が複雑に混ざり合ってできる生活臭です。発生源を特定することが、におい対策の第一歩になります。
湿気は悪臭を増幅させる
湿度の高い部屋では、カビが発生しやすくなります。カビが放つ独特の悪臭は、家のにおいの中でも特に悩ましいところです。また、湿気が高まると人はにおいを感じやすくなります。2つの点で、湿気をおさえる工夫が、家のにおい対策では重要です。
強い香りで悪臭はごまかせない
嫌なにおいを消そうと、さらに強いにおいのアロマや芳香剤でカバーしようとする方がいます。しかし、余計ににおいが混ざりあってしまい、もっと嫌なにおいになる可能性が大。住んでいる人は慣れてしまうかもしれませんが、外から来る人は気づくはずです。
エステーの消臭芳香剤は、悪臭を香りの一部として取り込むことで、調和したいい香りに変える「ペアリング消臭」という消臭技術を採用しています。ほのかな香りを漂わせながら、嫌なにおいを消す技術です。また、消臭剤はトイレ用やペット用、タバコ用など用途に合わせて選ぶことも大切です。
2.玄関・居住スペースの対策
続いて、玄関・居住スペースのにおい対策をご紹介します。
玄関の対策はくつと下駄箱に。玄関収納もおすすめ
くつは湿気を除いてからしまう
玄関は家の第一印象を決める場所です。湿気がたまりやすく空間が狭いので、においがこもりやすくなります。
大きなにおいの発生源はくつに染みこんだ汗や雑菌です。「くつを脱いですぐ下駄箱にしまわず、できればひと晩陰干ししましょう」(ベアーズ 野口さん)。「同じくつを毎日はかず、2〜3足でローテーションするのもにおい防止のコツです」(エステー 船橋)。
強力ににおいをとる脱臭剤を活用
「下駄箱のような狭いスペースには、脱臭効果のある炭を使った脱臭剤がおすすめです」(船橋)。脱臭は空間に漂うにおい成分そのものを取り除く方法です。炭の表面には複数の小さな穴があいており、におい成分を吸着するはたらきがあるのです。
外でついたにおいを部屋に持ち込まない工夫
「玄関に収納スペースを作ることはにおい対策の面でもおすすめです」(大和ハウス工業 金指さん)。玄関に上着やコートを収納すれば、家の外でついた悪臭の成分を部屋の中に持ち込まずにすみます。玄関にコートクロークなどがなければ、ハンガーラックやポールハンガーを置くのも一手です。
リビングは油のにおいに注意。ペットの対策はしっかりと
悪臭の原因を特定する
家族が集まるリビングは家の中でもっとも生活臭が漂う場所。「料理で発生する油のにおい、生ゴミのにおい、汗のにおい、ペットのにおいなどにおいの原因もさまざまなので、1つ1つ対応していきましょう」(船橋)。
重曹で部屋の空気をリフレッシュ!
リビングのにおいは、意外にもソファ、カーテン、カーペットなどファブリック類への付着が要因の1つ。「カーペットには汚れや汗のにおいなどが染みついているので、重曹をまいて掃除機で吸い取るだけでもさっぱりします」(野口さん)。たまったホコリににおいが吸着するので、隅までこまめに掃除しましょう。そのために、普段から整理整頓しやすい状態にしておくことがリビングでは特に重要です。
「オープンキッチンのように部屋とつながっている場合、私たちが考える以上に遠くまで油が飛んでいる場合があります」(野口さん)。油の掃除は、水1リットルに小さじ1〜2杯の重曹を溶かし、霧吹きで吹き付けてから雑巾でふくときれいになります。
ペットのにおいが染み付かない素材を
ペットと暮らしている家庭は、部屋のあちこちににおいが広がる心配があります。「ペットの尿や便を放っておくと、におい成分が飛散して壁や床に染み付いてしまいます」(船橋)。においが蓄積すると取りづらくなるので、トイレの砂などはこまめに交換してください。ペットに特化した消臭剤もおすすめです。
また、家づくりでも対策ができます。「ペットのいるご家庭は、ゲージ周辺の床材に防汚・耐水に優れたフロア材やタイルを選定するなど掃除のしやすさを考慮することがポイントです」(金指さん)。近くに和室がある場合は、強化和紙の畳を検討してはどうでしょうか。見た目は本物の畳とそっくりですが、汚れやにおいがつきにくく、ペットが粗相してもさっと水ぶきして落とせます。
寝室は汗やカビのにおいに注意。ふとんの湿気を取り除く工夫を
すのこやベッドパッドで寝具の湿気対策
「寝室は比較的日当たりの悪い位置に面していることが多く、湿気がたまりやすい部屋です」(金指さん)。換気に有効な窓、除湿器の設置などしっかり換気、湿気対策を行うことが、寝室のにおい対策のポイントになります。
人は寝ている間にコップ1杯分の汗をかくと言われています。「ふとんにはたくさんの汗が染み込み、それが寝室の嫌なにおいや、押し入れなどのカビの原因にもなります」(船橋)。敷ふとんは下にすのこを置くと、空気が通り湿気がたまりにくくなります。ベッドの場合、マットレスの上にベッドパッドを入れれば、シーツで吸いきれなかった汗を吸収してくれます。
ふとんの湿気対策は、天日干しが一番です。「できるだけ寝室をベランダの隣におくなど、毎日の家事でふとんを干しやすくする動線も大切です」(野口さん)。
3.水まわりの対策
最後に、水まわりのにおい対策をご紹介します。
キッチンの油汚れは重曹で攻略。生ゴミもケア
頑固な汚れは重曹+歯ブラシでこすって落とす
キッチンで発生する油汚れは、時間がたつと油が酸化し、悪臭の元になります。油汚れを残さないことがにおい対策につながります。
「もっとも油がつくのは、やはりコンロや換気扇まわり。頑固な汚れは重曹を薄めた水をかけ、歯ブラシでこするとよく落ちます」(ベアーズ 野口さん)。ただし、床のコーティングを傷つけてしまう可能性もあるので、こすりすぎには要注意です。
水あかにはお酢がおすすめ
排水口も嫌なにおいの発生源です。「重曹とお酢を混ぜてかけると、ヌメリがとりやすくなります。さらに、軽く丸めたアルミホイルを排水口のゴミカゴに入れておくだけで、悪臭予防になります」(野口さん)。金属の抗菌効果とともに、ホイルが動くことで汚れを落としてくれるのです。
生ゴミは時間がたつと菌が増殖して悪臭を発しますので、こまめに処分するのが基本です。さらに、「飲み終わったジュースやお酒もにおいの元になるので、缶や瓶を放置しないようにしましょう」(エステー 船橋)。
三角コーナーはにおいの付きやすいプラスチック製より、ステンレス製がおすすめです。どうしても気になるときには、生ゴミ用の消臭剤を活用してください。
新しいキッチンを検討するなら
「システムキッチン本体は木材で造られたものが多いのですが、引出しの中など掃除しやすいステンレス製を選べば、においはつきにくくなります」と(大和ハウス工業 金指さん)。新築、リフォームを検討している方は、におい対策の視点で考えることも重要です。
トイレは尿の飛び散りや染みつきに注意
特殊なクロスは掃除もしやすい
便器の著しい進化によって、くさい場所というより、居心地のよい空間になりつつあるトイレ空間。一方で、しみついた尿のにおいに悩まされている家庭も多いのでは。「便器から飛び散った尿に雑菌が繁殖してにおいを放ちます。特に立って用をたすと、広範囲に飛び散ってしまいます」(船橋)。掃除とともに、便座カバーやマットをこまめに洗濯しましょう。
「壁の尿ハネが気になるなら、抗菌・防汚クロスもおすすめです」(金指さん)。汚れを拭き取りやすいだけでなく、菌の増殖を抑制する機能も付いているため、水まわり空間に最適です。
風呂・洗面所は皮脂汚れをケア。洗濯機もにおいの元に
入浴後のひと手間で湿気と汚れを減らす
お風呂のジメジメしたにおいやカビのにおいが気になります。普段から、換気扇をまわし、お風呂を使っていないときは窓やトビラを開けて、空気を入れ替えるようにしてください。
「体を洗うと必ず皮脂汚れが残ります。皮脂はカビのエサになるので要注意です」(船橋)。「入浴後に使ったタオルで、ついでに壁や床についた水分と皮脂汚れを軽く取り除くだけでも対策になります」(野口さん)。お風呂の排水口の掃除には、キッチンと同じく重曹とお酢が使えます。排水口に髪の毛が詰まると、カビやヌメリの元になるので念入りに洗ってください。
生乾き臭も見逃せない悪臭の源
洗面所は、「手や顔を洗って皮脂がつく洗面ボウルの掃除を丁寧に掃除しましょう」(野口さん)。
その他に、「手ふきタオルの生乾き臭」や「洗濯槽のカビ臭」も見逃せません。「タオルはできるだけまめに交換し、洗濯槽は1〜2カ月に一度は、専用のクリーナーを使ってきれいに洗ってください」(船橋)。さらに、ジメジメしがちなバスマットは、「速乾性のある珪藻土の素材を使ったものがおすすめです」(金指さん)。
まとめ
家に漂う生活臭やにおいの原因は、家庭によってさまざま。自分の家のにおいの発生源を知って、こまめな換気と掃除を心掛けることが大切です。基本をおさえた上で、消臭剤や脱臭剤を活用することで、家は快適な空間になります。お悩みのポイントを整理し、プロのノウハウで解決してください!