家の畳やカーペットには季節を問わずダニが潜んでいます。暖かくてジメジメした場所がダニは大好きなので、定期的にお手入れをしないと増え続けてしまいます。そこで今回は、医療施設や清掃会社で清掃方法を指導している松本忠男さんに、ダニが増える要因や効果的な掃除の仕方を教えてもらいました。
ダニが好む住宅環境は?
ダニは、暖かくてジメジメした環境を好みます。もっとも繁殖しやすいのは気温が20〜30度で、湿度が60〜80%程度の部屋。その中でも暗くて隠れやすく、皮脂汚れや食べカスなどのエサが多い畳やカーペットは、ダニにとって天国のような場所です。秋は長雨が多く湿度が上がりやすいため、実はダニが増えやすい季節。目には見えないため気づきにくいですが、この季節にもしっかり対策をしないと、気温が上がる春になって大量に発生してしまいます。
ダニを撃退するための正しい掃除方法
家に潜むダニを完全に排除することはできませんが、正しく対策を行えば、ダニの繁殖を抑えられます。人が生活する上で温度のコントロールは難しいため、掃除や湿気対策が大切。まずは、畳とカーペットそれぞれの掃除方法を解説します。
●畳
畳の隙間に隠れているダニを取り除くには、掃除機をかけるのがもっとも効果的です。掃除機は畳の目に沿ってかけること。目と反対方向(直角)に動かすと、畳の中のダニや汚れを効率的に掻き出すことができません。同じ部屋でも目の向きは畳を敷いた場所によって変わるため、一枚一枚の目を確認して正しい方向に掃除機をかけましょう。
さらに、アルコールを噴霧した布で畳の表面を目に沿って拭くことで、ダニのエサになるカビの繁殖も抑えられます。アルコールは揮発するので、水分が残る心配もありません。
●カーペット
カーペットにも掃除機をかけるのが有効です。掃除機は、回転ブラシがついているタイプがベストです。また、掃除機は手前に引くときが大切です。今の掃除機はほとんど前回転のブラシがついているため、押す方が楽に掃除できますが、カーペットの繊維が倒れて蓋をしてしまい、表面の汚れしか取り除けません。手前に引くと押すときより抵抗はありますが、カーペットの繊維を起こしながら吸ってくれるため、奥に隠れているダニを効率的に取り除いてくれます。掃除機をかけたときにカーペットの色が変わったら、しっかり繊維が起きているサインです。
最後に、これは畳とカーペットで共通ですが、掃除機をかけるときは、20cmあたり1秒間を目安にゆっくりヘッドを動かしてください。何気なくサッと動かすだけだと、ゴミをしっかり吸う前にヘッドが通り過ぎてしまいます。慣れるまでは大変ですが、丁寧にかけて掃除の頻度を減らすのが、結局は一番効率的です。
効果的な換気方法でダニを予防
ダニを掃除してある程度取り除いたあとは、繁殖を予防する方法もセットで押さえておきましょう。そのための、効果的な換気方法をご紹介します。
換気を行うことで、室内の湿度を下げることができます。30分に5分程度、部屋の対角線上にある窓2カ所を開けて、空気を入れかえるのが理想です。2カ所開けるのが難しい場合は、キッチンの換気扇を使うのも有効です。窓を1カ所開けて換気扇まで風の通り道を作れば、空気を効率的に吸ってくれます。吸引力を保つためにも、換気扇は定期的に掃除しましょう。
換気は空気の滞留を防ぎ、ホコリなどの汚れが一箇所に蓄積するのも防いでくれます。ホコリは部屋の壁や角など行き止まりにたまって、ダニやカビの温床になるため、普段から換気をして空気の流れを作ることが大切です。ただし、掃除中に換気をすると、逆にほこりを舞い上がらせてしまいますので、掃除が終わって30分後くらいに換気するのがよいでしょう。
加湿器や布団の湿気にも注意
ウイルス対策などのために加湿器を使う家庭も多いと思いますが、加湿しすぎると湿度が上がりダニの原因になるので注意が必要です。加湿器を使用する場合は、設置する場所に気をつけましょう。壁際や床に直接置くと、水蒸気が水になりやすく、ダニが増えやすくなります。台座の上に加湿器を置くなどして、壁や床から離すのがおすすめです。
布団を畳の上に直接敷いて寝ている家庭では、布団のダニ対策も意識しましょう。除湿シートを布団と畳との間に挟むだけでも、布団の湿気を効果的に吸収してくれます。また、起きてすぐに折り畳んで収納するのではなく、壁などに立てた状態で乾燥させるのが理想です。布団を外に干すのはよいのですが、朝や夕方は太陽が出ていても湿気が多く、布団が湿気を吸収してしまって逆効果ということもあるので注意しましょう。日が高い時間帯に30分程度干すのが理想です。布団乾燥機なら高熱乾燥できるので、ダニを死滅させることができます。
掃除終わりのひと吹きで効率的にダニ対策
掃除が終わったら、「ムシューダ ダニよけスプレー」を畳やカーペット、布団などの気になる場所にサッと一拭き。天然100%のダニよけ成分で、ダニを寄せ付けません。無香料タイプで、子供の布団や枕にも安心して使用できます。
取材協力:健康を守るお掃除コンサルタント 松本忠男さん
ヘルスケアクリーニング(株)代表取締役社長
フロレンス・ナイチンゲールの著書「看護覚え書」に共感し、35年間、病院の環境衛生に携わる。東京ディズニーランド開園時の正社員、ダスキンヘルスケア(株)を経て、亀田総合病院のグループ会社に転職し、清掃管理者として約10年間、現場のマネジメントや営業に従事。1997年、医療関連サービスのトータルマネジメントを事業目的として、(株)プラナを設立。亀田総合病院では100人近く、横浜市立市民病院では約40人の清掃スタッフを指導・育成し、これまで現場で育ててきた清掃スタッフの総数は700人以上。現場で体得したコツやノウハウを、多くの医療施設や清掃会社に発信する。2019年1月からは、中国の深圳市宝安区婦幼保健院(1000床病院)の環境整備を指導するなど、活動の場は海外にも広がる。