常温で長時間持ち歩くことも多いお弁当。特に気温の上がる時期はお弁当での食中毒が心配な方も多いのでは?料理家・弁当コンサルタントの野上優佳子さんに、気をつけたい食中毒対策のポイントや、見落としがちな注意点を教えてもらいました。
お弁当の食中毒対策の基本
食中毒は、食中毒の原因となる菌が繁殖することで起こります。菌をつけず、増やさないために、お弁当づくりでは「しっかり加熱する」「しっかり冷ます」「汁気をなくす」「使うものはすべて清潔に」の4つのポイントを意識しましょう。
・しっかり加熱する
お弁当に詰めるおかずを調理するときは、中までしっかり加熱し、殺菌します。作り置きのおかずも、そのままお弁当に入れるのではなく、詰める前に火を通した方が安全です。
・しっかり冷ます
ご飯やおかずは、お弁当箱に詰める前にしっかり冷ましましょう。温かいまま詰めるとお弁当箱に蒸気がこもり、お弁当が傷む原因になってしまいます。おかずは網を敷いたバットにまとめて並べれば、上下から蒸気を逃がせて早く冷ませます。おかずをそれぞれ小皿に取り分けるより、洗い物も少なくてラクです。
さらに、お弁当を常温で持ち運ぶときは、お弁当が温まると菌が増えてしまうので、保冷剤を使って冷やすようにしましょう。
・汁気をなくす
水分が多いとお弁当が傷みやすくなるので、おかずの水気はしっかり取ってから詰めてください。例えばお浸しをつくるとき、野菜を茹でたあとに水気を絞ると思いますが、味付けをして塩分が入ると、水分がさらに出ます。茹でたあとだけでなく、調理後、お弁当箱に詰める前にも、水分をしっかり絞るようにしましょう。
【Point】汁気のあるおかずの下にごまや乾物を敷くと○
おかずの汁気予防には、ごまや鰹節などの乾物を活用するのも手。例えば、胡麻和えの下にすりごま、煮物の下に鰹節を敷くなど、汁気の多いおかずにごまや乾物をあわせれば、味を邪魔せず水分を吸ってくれます。
【Point】水分・油分を吸い取るおかずカップを活用する
おかずカップの中には、水分や油分を吸い取ってくれるタイプもあります。汁気がカップの外に漏れないので、おかず同士の味が混ざるのが気になる人にも便利。お弁当箱が汚れにくくなり、洗うのがラクになる点でも重宝するアイテムです。
・使うものはすべて清潔に
お弁当づくりに使うものは、すべて清潔に保ちましょう。最初に、手をきれいに洗うのはもちろん、調理器具やお弁当箱もすべて清潔なものを使ってください。
【Point】まな板は使う順番を工夫
まな板で食材を切る順番を、「生で食べるもの→においが強いもの→肉や魚」にすれば、まな板や包丁を何度も洗わずに済みます。また、前日の夜に下ごしらえを済ませておくのも手。肉や魚はまとめて切って下味を付けておけば、時間がない忙しい朝でもゆとりを持って調理できますよ。
食中毒のリスクが上がる要注意ポイントをチェック
食中毒のリスクを減らすために、つい見落としがちなポイントもチェックしておきましょう。お弁当に不向きな要注意食材や、よくありがちな要注意行動を紹介します。
・お弁当に生野菜を入れていませんか?
トマトやキュウリ、レタスなどの生野菜は水気が出やすいので、そのままお弁当に入れるのは避けるのが無難。それでも生野菜をお弁当で食べたい人は、別の容器に分けて入れるようにしましょう。食中毒対策を考えるなら、お弁当に入れる野菜は根菜やピーマンなど水分が少ない野菜だけに割り切るというのも一つの手です。
・加工品やソースを、火を通さずにお弁当に入れていませんか?
ちくわやハムなどの加工品はお弁当の定番食材の一つではないでしょうか?見落としがちですが、ちくわやハムなどの加工品は要冷蔵の食材なので、他の食材と同じように加熱をしてからお弁当に入れるようにしましょう。ケチャップやソースといった開封後要冷蔵の調味料も、少しでもフライパンで火を通したり、レンジを使って加熱すると安心です。
・調理と盛り付けで箸を使いまわしていませんか?
リスクを少しでも減らすためには、調理用に使った箸を盛り付けに使いまわさず、盛り付け用の清潔な箸を用意するのがおすすめです。そこまでできないときは、使う前に都度箸先をきれいに拭くようにしましょう。
・素手で食材やお弁当箱を触っていませんか?
素手で食材に触らないことは守れていたとしても、ついついお弁当箱やおかずカップは素手で触ってしまっていた、ということはありませんか?他にも、おにぎりを握るときはラップをして気を付けていたのに、海苔を巻いたりお弁当箱に詰めるときは素手で触ってしまっていた、なんてことも意外とありがちなことです。
手には目には見えない菌がたくさんついています。特に、手が荒れていたり手に傷があったりすると傷口に菌が繁殖しやすいので、さらに食中毒のリスクが上がってしまいます。
手袋を付けて安心・快適にお弁当作り
お弁当を作るときは、調理するときから詰めるときまで、手袋を付けて作業すると安心です。特に冬場は乾燥して手が荒れがちですが、水仕事での手荒れ予防としても手袋を使うのがおすすめです。「ファミリー お料理にぴったり手袋」なら指先にフィットするので、素手感覚で作業しやすいです。
取材協力:弁当コンサルタント・料理家 野上優佳子さん
ネットエディターやライターを経て、2011年、「食・健康・地域」をキーワードに子供達が笑顔で暮らせる未来をつくることを目指し、株式会社ホオバル設立。料理家・弁当コンサルタントとして新聞、雑誌、TV、ラジオ、ウェブ、全国各地での講演など多メディアで活動中。弁当箱のプロダクト開発や商品アドバイザーなども行っている。30年以上お弁当を作り続け、300個以上のお弁当箱を使用した経験に基づき、実際に日々お弁当を作る母としての目線から実用性と汎用性の高いレシピと洞察が好評を博している。
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