夏祭りや花火大会で着た浴衣をどのようにお手入れしていますか?ご自宅の浴衣が自分で洗えるのか、それともクリーニングに出した方がよいのか、気になる方も多いのではないでしょうか。そこで、「全国クリーニング生活衛生同業組合連合会」副会長の小倉正基さんに、正しい浴衣の洗い方や保管方法をお聞きしました。
自宅で洗える浴衣か、プロに任せるべき浴衣か確認
浴衣には、自宅でも洗えるものとクリーニングに出したほうがよいものがあります。その判断のポイントを解説します。
●洗濯表示をチェック
浴衣に洗濯表示があり、洗濯機で洗える、もしくは手洗いができるマークがついていれば、自宅で洗濯することができます。
上の記号が、洗濯の基本記号です。これに液温や洗濯の強さを示す付加記号を組み合わせて表示されています。洗濯記号が付いている場合は、家庭で洗うことができます。
上の記号は、40℃を限度に手洗いが可能なことを示す記号です。
反対に、洗濯禁止のマークがついているものはクリーニング店に相談する必要があります。
洗濯記号に×印がついている場合は、家庭洗濯ができません。
●洗濯表示がない浴衣や特殊な加工がある場合はクリーニング店へ
既製品には洗濯表示がありますが、昔の浴衣や手縫いで仕立てた浴衣などで洗濯表示がないものもあります。洗濯表示がないものはクリーニング店に相談するようにしましょう。
一般的に、既製品の浴衣の多くはポリエステルや、綿・麻などの天然素材で作られています。これらの素材であれば基本的には自宅で洗濯できますが、絞りなどの特殊な加工がされている浴衣の取り扱いは要注意。非常にデリケートなので、高級なものは和服専門のクリーニング店に任せるのがおすすめです。
また、自宅で洗濯できる浴衣も、シーズン後、長期保管をする前の“しまい洗い”は、しっかりと汚れを落とすためにクリーニングに出すとよいでしょう。
クリーニングに出すときには、気になる汚れがあれば、いつ何で汚れたのかなどの情報を正しく伝えましょう。また、汚れを自分で無理に取ろうとはせずに、すぐにクリーニングに出しに行くのがベストです。
なお、帯は洗わないのが無難です。洗ったりクリーニングをすると生地が縮んだり、染色方法によっては色が抜けてしまうことや色がにじむ場合もあります。汚れが付いた場合などはクリーニング店に相談するのが良いでしょう。
自宅での正しい浴衣の洗い方
手持ちの浴衣が自宅で洗えるとわかったとしても、どんな風に洗えばよいのかわからないという人も多いのでは?浴衣は洗濯機で洗うと中で生地がすれて傷んだり、脱水時にシワになる可能性があります。なので、洗濯機での洗濯がOKという洗濯表示があっても、基本的には手洗いするのがおすすめ。ではどのように洗えばよいのか、手順やポイントを紹介します。
1.洗濯前に色落ちチェック
ものによっては洗濯で色が抜けてしまうこともあるので、洗濯する前に、色落ちしないかチェックします。浴衣を着た時に目につかない、帯の下に隠れるところや着用したら裾の下側になる場所など目立たないところに水をつけて確認しましょう。もし色落ちが目立つようであれば、家で洗おうとせず、クリーニング店に任せるのがよいでしょう。
2.気になる汚れは部分洗い
襟元や汗をかきやすい胸元や脇、背中の部分、袖口などは汚れやすい箇所なので要チェック。気になる汚れがある場合は、着用後すぐに軽く水洗いをするとよいでしょう。
3.押し洗い
洗濯桶に水と中性洗剤を入れ、たたんだ浴衣を1分程度押し洗いします。洗剤は、白いものをより白くする効果のある「蛍光増白剤」の入っていないものを使うようにしましょう。
4.すすぎ
洗濯桶に水をためて、押し洗いと同じ要領で2回程度すすぎます。
5.脱水
バスタオルで挟んで押し、水分をとります。水がしたたり落ちない程度になれば脱水は完了です。
6.糊付け
浴衣をパリッと仕上げたい場合は、洗濯糊を水に薄めに溶かし、たたんだ状態で軽く手で押して浸した後に、5.の要領で脱水します。
7.干す
干す前に、パンパンと叩いてシワを伸ばします。さらに、シワや縮みの気になる襟口や袖などは、両手で軽く引っ張って伸ばします。シワを伸ばしたあとは洋服用のハンガーではなく着物用ハンガーにかけて干します。着物用のハンガーを使って干せば、浴衣が型崩れするのを防ぐことができます。
8.アイロン仕上げ
綿などの場合、小ジワなどが気になる時はスチームを出しながらアイロンをかけて小ジワを伸ばし、冷ましてから保管してください。
浴衣を保管するときのポイント
洗った浴衣が乾いたら、たたんで保管します。ポイントは、なるべくシワにならないようにきれいにたたんでおくことです。手でなでるようにしてシワを伸ばしながら縫い目に沿ってたたんだら、たとう紙に包んでしまいます。たとう紙は、湿気を吸ってくれたり、ホコリをかぶらないようにしてくれる役割があるので、浴衣を守るために使いましょう。
大切な浴衣の保管には、防虫剤を
浴衣にホコリや汚れがついていると虫食いが発生してしまう場合も。大切な浴衣を美しい状態で保管したいなら、「ムシューダ 和服用」がおすすめです。浴衣や着物などの和服を、約1年間しっかり虫から守ります。防カビ剤を配合しているので、虫だけでなくカビの発育を抑え、カビから守ることもできます。
取材協力:全国クリーニング生活衛生同業組合連合会 副会長 小倉正基さん
全国クリーニング生活衛生同業組合連合会HP