猫用のトイレを準備したのになかなかトイレで排泄してくれないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。猫がトイレ以外の場所で排泄するのは、トイレの大きさや猫砂の種類・トイレ自体の置き場所に不満があるのかもしれません。今回は、猫が粗相してしまう原因や、猫のトイレトレーニング方法を紹介します。トイレや置き場所の選び方についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
粗相してしまう原因
一般的に猫はトイレの覚えが早く、教え始めてから1週間くらいで使えるようになります。猫の粗相が続く場合は、次の原因が考えられます。思い当たることがないかチェックしてみましょう。
トイレが汚れている
猫はきれい好きな動物なので、トイレが汚れていると使うことを嫌がります。粗相は、排泄物が残っていて、汚れやニオイが気になることが原因かもしれません。猫が排泄した後はできるだけ速やかに掃除して、トイレを清潔に保ちましょう。
トイレの場所が落ち着かない
猫がトイレを使わないのは、トイレの置き場所が騒がしくて、落ち着かないことが原因かもしれません。たとえば廊下や部屋の入り口など、家族がよく通る場所にトイレを置くと猫は落ち着いて排泄できないことも。トイレの置き場所を見直して、猫が安心して排泄できる環境を整えましょう。
病気
色々と試しても猫の粗相が続くときは膀胱炎や腎臓病などを患っている可能性もあります。トイレに間に合わなかったり、排泄時に痛みを感じてトイレに苦手意識を持ったりすることが失敗の原因かもしれません。衛生的で落ち着いたトイレ環境を整えてもなかなか粗相が減らないときや、尿の色・ニオイ・頻度に変化があるときは、動物病院に相談しましょう。
トイレに入っても端の方で排泄してはみ出すのはなぜ?
トイレで排泄するものの、端の方で排泄するのではみ出してしまう場合があります。このような場合は猫が端の方で排泄する理由を知って対策しておきましょう。
トイレが掃除されていない
トイレを小まめに掃除していなくて排泄物が残っている場合、猫は使うのを嫌がって端の方で排泄し、はみ出してしまうことがあります。猫がトイレを使いやすいように、排泄物はできるだけ早く取り除きましょう。
トイレのサイズが小さすぎる
トイレが清潔なのにはみ出してしまう場合、トイレのサイズが小さすぎることが原因かもしれません。猫は小さいトイレより大きいトイレを好む傾向があり、トイレのサイズは猫の体長の1.5倍以上が適しているといわれています。使っているトイレが猫の体長に合っているか確認してみましょう。
排泄後に砂をかけないのはなぜ?
猫は排泄後に砂をかけて隠そうとすることが多いですが、排泄後に砂をかけないままトイレから出る猫もいます。トイレで排泄後に砂をかけないのも、いくつか理由が考えられるので確認してみましょう。
早くトイレから出たい
排泄後にトイレから飛び出てくる場合、トイレや猫砂に不満があったり、置き場所が合わないのかもしれません。早くトイレから出たいため、砂をかけずに逃げ出してきている可能性があります。その場合は、トイレのタイプや猫砂の種類、置き場所を猫の好みのものに取り替えてあげた方がよいでしょう。
飼い主さんが片付けるとわかっているから
猫が排泄物に砂をかけて隠すのは、自分のニオイを消すことで自分より強い敵に存在を気づかれないようにするための本能的な行動といわれています。しかし、家庭で飼育されている猫は、飼い主さんが片付けてくれるとわかっているので、砂をかける必要はないと思っている猫もいるようです。
優位性をアピールするため
複数の猫たちが一緒に暮らしている場合、自分が他の猫より優位であることをアピールするため、砂をかけない猫もいます。立場の弱い猫はトイレを使うことを遠慮して膀胱炎になることもあるので、トイレの数が足りるように用意しておきましょう。
猫のトイレトレーニングの方法
子猫を迎えたら、自分で排泄できるようになる生後3週間頃からトイレトレーニングを始められます。トイレトレーニングに大切なポイントを解説します。
トイレのサインに気づいたらトイレに連れて行く
トイレトレーニングのポイントは、猫が見せるトイレのサインに気づいてあげることです。「落ち着きがない」「床のニオイをかぐ」「床を手で掘る仕草をする」といったサインに気づいたら、トイレに連れて行ってあげましょう。猫が排泄したいタイミングでトイレに連れて行くことを繰り返せば、数日〜1週間程度でトイレを覚えてくれます。排泄のタイミングは食後が多いので、注意深く見守ってあげましょう。
トイレ以外で排泄したときは掃除して消臭する
猫がトイレ以外の場所で排泄したときは、すぐに掃除することが重要です。猫には同じ場所で排泄する習性があるため、消臭剤などでニオイはしっかり取りましょう。オシッコを拭き取ったトイレシートは、トイレに置いておくとニオイがつくため、猫がトイレを覚えやすくなります。
失敗しても叱らない
猫がカーペットなどに粗相すると叱りたくなるかもしれません。しかし、トイレに失敗したときに叱ると猫は排泄が悪いことだと思うようになります。その結果、排泄を我慢しすぎて膀胱炎になってしまったり、飼い主さんに見つからないようなところに隠れて排泄したりすることがあります。叱りながらトイレトレーニングすると猫の健康に悪影響であり、掃除も大変になるでしょう。トイレに失敗しても叱らずに根気強くトレーニングを続けましょう。
トイレでできたら褒めてあげる
トイレで排泄できたらしっかりと褒めてあげましょう。褒めてもらえると猫はトイレを早く覚えます。ただし、排泄中に声をかけて驚かせないようにしましょう。排泄が終わり、落ち着いたタイミングでたくさん褒めてあげてください。
トイレ選びや置き場所も重要なポイント
猫が上手にトイレを使えるようになるためには、トイレ選びや置き場所も重要なポイントとなります。猫のトイレトレーニングが効率よく進むよう次のポイントに注意しておきましょう。
トイレのサイズは体長の1.5倍以上
猫のトイレのベストサイズは体長(首から尾の付け根まで)の1.5倍以上といわれています。このくらいの広さがあれば、猫はトイレの中で方向転換したり、猫砂を掻いたりしやすくなります。猫の成長に合わせてトイレも買い替えるようにすれば、快適にトイレを使えるでしょう。
入り口が高いときはステップを置く
老猫や子猫は入り口が高いトイレに入りにくいものです。トイレの入り口が高いときはステップを置いて、無理なく入れるようにするか、猫の年齢やライフステージに合わせて高さの低いトイレに変えましょう。
ある程度の深さが必要な場合も
猫は排泄後に猫砂をかけて隠すため、トイレは猫砂が十分入るほどの深さが必要であり、深さが足りないと猫砂がトイレの外まで散らばってしまいます。また、猫砂が少なすぎるとウンチがトイレ本体に付着してニオイが残りやすくなるかもしれません。
このような理由から、トイレはある程度深さがあるものを選びましょう。ただし、深いトイレは子猫や老猫にとってまたぎにくいため、必要に応じてステップを用意しておくことをおすすめします。
「猫の頭数+1」で用意する
複数の猫を飼う場合は、トイレを最低1頭に1つずつ用意し、可能であれば「猫の頭数+1」にしましょう。1頭なら2個、2頭なら3個が理想といわれています。
猫は自分以外のニオイに敏感なので、他の猫が使ったトイレを使いたがらないことがあります。また、トイレの数が多ければ、常にきれいなトイレがある状態を維持しやすいため、猫がストレスなく排泄できるでしょう。猫は泌尿器系の病気にかかりやすいため、トイレを我慢せずにすむようトイレの数を確保しておきましょう。また、複数のトイレを用意する場合は1ヶ所に複数設置することは好ましくなく、できれば違う部屋や離れた場所に置きましょう。
騒がしくない場所に置く
トイレを置く場所は、家の中の静かな場所を選びましょう。玄関や洗濯機の近くなど大きな音がする場所に置くと猫は排泄中に驚いてしまい嫌な記憶が残るため、そのトイレを使いたがらなくなってしまうことも。廊下や部屋の入り口など、家族がよく通る場所も避けた方がよいかもしれません。猫が落ち着いて排泄できる場所を選んであげるようにしてあげましょう。
猫の好みの猫砂を使う
猫砂の素材は主に5種類あり、それぞれ感触やニオイなどに違いがあります。猫がトイレで用を足さないのは猫砂が合わないことが原因という可能性もありますので、トイレトレーニングがうまくいかないときは猫砂を変えてみる方法もおすすめです。
猫砂の種類別の特徴は次の通りです。
- 鉱物(ベントナイト)…自然の砂に近く、掘りやすいため、ほとんどの猫に好まれます。しっかり固まることが特徴ですが、燃えるゴミに出せないというデメリットがあります。
- 木製(ヒノキなど)…木の自然な香りがトイレのニオイを消臭します。処理後は燃えるゴミに出せますが、固める力が弱いため、処理するときに崩れやすいことがデメリットです。
- 紙製…軽くて持ち運びしやすく、燃えるゴミに出せるので処理しやすいことが特徴です。軽いことで周りに飛び散りやすいため、砂をかける猫には向いていないでしょう。
- おから…軽量で吸収力が高く、家庭ゴミで出せるため使いやすいです。凝固剤が入っているのでよく固まりますが、固まるまでにやや時間がかかるので、少し時間を置いてから掃除をするのがよいでしょう。
- シリカゲル…乾燥剤に使われるシリカゲルは、トイレのニオイを強力に脱臭する効果があります。シリカゲルは猫の足裏に張りつきやすいため、神経質な猫は嫌がるかもしれません。
また、トイレや猫砂の種類や選び方について以下の記事でも紹介していますのでチェックしてください。
『猫のトイレにはどんな種類がある? トイレの形状や猫砂のタイプについて教えてください』
リビングに置いてもニオわない猫用システムトイレ
家族の一員である愛猫とは一緒に過ごしたいけど、やっぱりトイレのニオイは気になりますよね。消臭のエステーが開発した消臭特化の猫用システムトイレ「エステーペット 実感消臭トイレ」シリーズは、天然の空気浄化作用に優れた北海道産モミの木(トドマツ)の粉体を「実感消臭トイレ」本体のスノコ部分に練り込み、同シリーズの「実感消臭チップ」や「実感消臭シート」にも配合。スノコの上に実感消臭チップを敷き、シートトレイに実感消臭シートを敷くとトリプル効果で高い消臭効果を発揮します。 さらに「消臭力」共同開発で猫特有の排泄物のニオイを強力に消臭します。またトイレ感が少ないデザインなので、リビングなどの生活空間に馴染みやすいです。
Pick UP
まとめ
猫はきれい好きなので、トイレの環境を整えて小まめに掃除すればトイレトレーニングもうまくいくでしょう。汚れやニオイを防いで快適なトイレに整えておくことが、猫の健康管理にもつながります。なかなかトイレでしてくれない場合はトイレ本体や猫砂、置き場所などが気に入らないのかもしれないので確認してみましょう。また、いつまでもトイレの失敗が続くのであれば、病気の可能性もありますので動物病院で相談した方がよいかもしれません。
監修/小島麻里先生プロフィール
マリどうぶつ診療所 院長
酪農学園大学獣医学部獣医学科を卒業後、10年間小動物臨床に従事。
地域密着型の1次病院で経験を積み、東京大学動物医療センターで内科系研修医と並行して臨床研究を行う。
2022年11月マリどうぶつ診療所開院。潜水士およびペット管理栄養士取得。7歳になる保護猫2匹と暮らす。
マリどうぶつ診療所HP