気温がぐっと下がる冬は、冷え症の方にとってつらい季節。体が冷えてなかなか寝つけない人も多いでしょう。横浜血管クリニック院長の林忍さんによれば、心臓から遠い手足には温かい血液が十分に行き届かず、冷えやすいそうです。今回は、体をしっかり温めてぐっすり寝る方法や冷え症を改善するコツをお教えします。
寝つきやすくするためには、体を温めることが大切
通常、冷たい外気に触れると血管がきゅっと縮こまった状態になるため、血流が悪くなり冷えが起こります。血管が細い手足の血流はさらに悪くなるため、余計に冷えやすくなるのです。手足が冷えた状態が続くと痛みやしびれを引き起こしたり、冷えが気になってしまうために寝つきが悪くなってしまうと考えられます。
寝つきをよくするためには、寝る前に血行をよくして体を温めることが大切です。入浴やマッサージなど誰でもできる簡単な方法を紹介しますので、ぜひ実践してみてください!
●入浴は38~40度くらいの温度で
「お風呂はシャワーだけ」という人も多いかと思いますが、体を温めるためには湯船に浸かるのが効果的。38~40度の少しぬるめのお湯に、肩まで浸かって30分程度入りましょう。自律神経には活動しているときにはたらく交感神経と、安静にしているときにはたらく副交感神経があります。お湯が熱すぎると交感神経が刺激され、興奮して血管が縮こまってしまうため、冷えが悪化してしまいます。風邪をひかない程度のぬるめのお湯にゆっくりつかると副交感神経が働いてリラックスし、血管が広がって全身に血が巡るのです。
また入浴後は、手足を冷やさないよう温かい服装に着替え、靴下などでしっかり保温してください。
●手足のマッサージやストレッチで体を温める
寝る前に手足の指をマッサージすることも手足の冷えを解消するのに効果的です。ローションなどを塗ってすべりをよくした状態で、指先の血流を促すように手足の指1本ずつ上下にマッサージするだけでOK。血液の循環がよくなり、だんだん温まってきます。マッサージのほかに、全身のストレッチや体操などもおすすめです。
日々の生活から「冷え」対策を
冷え症は、運動不足やダイエットなどにより、熱自体が足りていない人に多く起こります。特に女性は筋肉量が少ないので熱の生産量が少なく、冷え症になりやすいのです。熱を生産するためには、運動などをして代謝を上げることが重要。日中の冷えを夜に持ち込まないためにも、日々の体質改善を心がけましょう。
冷え症の改善におすすめなのは有酸素運動です。毎日30分以上の運動をすると、血液の流れがよくなり新陳代謝が上がっていきます。ジョギングをしたり、早歩きをするだけでも効果があります。無理をしない範囲でよいので、毎日の生活のなかで少しでも体を動かすように意識してみましょう。
体を温めるコツや冷え対策について、下記の記事でも紹介しているのでぜひ参考にしてください。
「冷え症の原因を”温活”で撃退!カイロ活用法に、ぽかぽか食生活も」
「冷えのタイプごとに対策を! 温活で冬を乗り切ろう」
取材協力:横浜血管クリニック院長 林忍さん
慶應義塾大学医学部卒業後、血管外科専門医として慶應義塾大学病院や済生会横浜市東部病院などに20年間勤務し、延べ1万人以上の患者を診察する。2016年2月に横浜血管クリニックを開設し、日本では数少ない「冷え症外来」も開設している。