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エステーの「コーポレートフレグランス」が誕生!「エステーのかおり」が生まれた背景とは?

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「コーポレートフレグランス=企業のかおり」と聞いて、皆さんはどんなものを想像しますか?

「コーポレートフレグランス」って一体何? 何のためにつくるの? このたびエステーが作成した自社の「コーポレートフレグランス」について、作成を主導したエステー執行役の山本一成と、創香を担ったコードミー(エステーグループ)代表取締役CEOの太田賢司に、詳しい話を聞きました。

エステー執行役 山本(左)とコードミー代表 太田(右)

エステーがはじめた「かおり×ウェルネス」事業

【山本】我々エステーは2024年にパーパスを策定(詳細後述)し、これまでの日用品の領域を超えた「ウェルネス・カンパニー」へと進化するため、新しい中期経営計画を策定しました。“かおり×ウェルネス×グローバル”を中長期の成長テーマとして掲げていて、かおりを通してウェルネス領域で社会課題を解決する新たな事業の創出を進めています。その取り組みのひとつに、かおりによる“ブランド価値向上”を実現する「かおりブランディングビジネス」があり、2023年にエステーグループに加わったコードミーと、一緒に取り組んでいます。

【太田】私たちは、データとテクノロジーを活用し、新しい香りを創造する会社です。これまでさまざまな企業に対して、香りのサービスを提供してきました。(詳しくはこちら

【山本】コードミーは、テキスト情報をAI解析し、そこから香りをつくるというユニークな特許技術を持っています。人や組織のアイデンティティ、ブランドを、香りによって表現する事業を行っていたんです。

一方、エステーは「消臭力」をはじめ、さまざまな香りを扱ってきましたが、会社として「エステーのかおり」は持っていませんでした。今回、パーパス「こころに響くアイデアで、ふとした瞬間を、ふふっと笑顔に。」の策定を機に、社内外に浸透させ、エンゲージメントを高めていくために、私たちの「コーポレートフレグランス」をつくろうと決めたのです。

「コーポレートフレグランス」は一言でいうとどのようなものですか?

【太田】「コーポレートフレグランス」は、企業が掲げるミッションやビジョン、パーパスを、香りで表現するものです。これまでのCI(コーポレート・アイデンティティ)やブランドは、テキストやロゴ、カラーなどで表現されてきました。いずれも視覚や聴覚に訴えるものです。

私たちがアプローチする嗅覚は、記憶や感情とよりダイレクトに結びつく感覚だと言われます。以前から、私たちの「忘れたくない記憶に、忘れられない香りを添える」サービスが、アーティストやスポーツチームから好評をいただいていました。企業でも、同じように香りを活用できます。

エステーの「コーポレートフレグランス」は、どのようなプロセスでつくったのですか?

【太田】パーパスの言葉と、パーパスを策定する際に社員や社外の関係者に向けて実施されたインタビューのテキストデータを活用しました。3万4千語以上の言語情報をAIで分析し、エステーの企業としての人格や価値観を導き出しました。

その結果から得られた香りのキーワードが「Fresh 爽やか」「Innovation 革新」「Warmth 温もり」。このキーワードをもとに、エステーのアイデンティティを表現する香りをつくっていきました。

【山本】3種類の香りを提案してもらい、その中からエステーの「コーポレートフレグランス」にふさわしいと思う香りを、全社員のアンケートで選びました。社長の上月と私がかいだ瞬間に「これがエステーだ!」と感じた香りと、社員のアンケートで選ばれた香りが一致していたのは興味深かったですね。

「コーポレートフレグランス」は、その香りを使ったウッドディフューザーとフレグランスカードをつくって社員や関係者に配布したり、エステー本社のエントランスで香りを噴霧したりと、活用しています。

「コーポレートフレグランス」をつくっていく過程で、印象に残ったことはありますか?

【山本】ウッドディフューザーは、当社の若手社員がデザインしたのですが、非常に主体的に取り組んでいました。パッケージに手書きのデザインを入れたり、すごくこだわってつくっているんですよ。

自分たちの香りをどのように届けるかということを考えながら、前向きにチャレンジしてくれたことが、とても良かったと思っています。

【太田】香りによるブランディングでは、香りをつくるプロセスも重要です。どのように作られたか、この香りはどんな意味を持つのか。背景にあるストーリーが、とても大切なんです。

その点、経営陣だけでなく、社員が一緒になって香りの決定に参加したことは、非常に良かったと思います。

他社様からも、プロセスに関わりたいというニーズは高く、過去にはワークショップ形式で香りをつくり、非常に好評をいただいたこともありました。

社内外からの反応はいかがですか?

【山本】私たちは朝礼でパーパスを唱和するなど、パーパスの浸透につとめていますが、言葉だけでは届かないところもあります。記憶と感情に訴える「コーポレートフレグランス」を通して、深くストーリーを理解してもらえると感じています。

【太田】社員へのアンケートでは、「会社への誇りが以前より増した」といった声が上がっています。エンゲージメントの向上に、香りが果たす役割が大きいのだと再認識しました。

【山本】対外的には、名刺交換する際、一緒にフレグランスカードをお渡しすると、非常に喜んでくださいます。自分の会社の香りではないのに、「よい香りだ」と名刺入れに入れてくださるんです。香りは1カ月半持続するのですが、なくなると「もう一枚ほしい」と言う方もいらっしゃいます。カードを名刺入れに入れて自分の名刺の香りづけをし、名刺交換の際の話題の一つにしている社員も多いです。

「コーポレートフレグランス」によって新たなコミュニケーションが生まれていることを実感しています。パーパスの話にもつながりますし、ビジネスシーンで大いに役立っていますね。

外部の企業にもサービス提供していくのでしょうか?

【山本】はい。企業単位だけではなく、自治体、組織、空間など、さまざまな対象のアイデンティティやブランドを表現する香りを提供していこうとしています。私たちが掲げる「かおり×ウェルネス」の価値観を一緒に実現していくパートナーとして、さまざまな企業と共創関係をつくっていければ、素晴らしいと考えています。

まとめ

社員から「社員・社風のイメージにぴったり」「会社愛を感じる」「一体感が生まれる」といった声が上がっているエステーの「コーポレートフレグランス」。アイデンティティを香りで表現するノウハウには自信を持っています。

今後、社会のさまざまなシーンで、パートナー企業とエステーがつくった香りを体験していただくため、さまざまなプロジェクトを進めています。楽しみにお待ちください!

プロフィール

山本 一成(やまもと かずなり)
エステー株式会社 取締役 兼 執行役 第2事業本部担当 兼 マーケティング企画本部担当 兼 海外事業本部担当
2022年にエステーに入社。入社以来、国内事業本部、マーケティング企画本部を担当し、2023年12月には花王株式会社よりペットケア事業の譲受を主導するとともに、中長期戦略のテーマとなる「かおり×ウェルネス×グローバル」のイノベーション領域となるペットケア事業およびウェルネス関連の事業開発・育成を担当。
太田 賢司(おおた けんじ)
フレグランスイノベーター / 株式会社コードミー代表取締役
北海道大学大学院理学研究科を修了後、国内最大手の香料会社でフレグランスの開発に10年携わる。フレグランスのマーケティング・官能評価の専門研究職であるエバリュエーターとして、豊富な香りの開発経験を有する。MBA(経営学修士)を取得後、2017年に香りのスタートアップ企業、コードミーを創業。「香りとITで ワクワクする世界を創造する」をコンセプトに、個人や企業にデータに基づく最適な香りを提供する。現在はフレグランスイノベーターとして、多様な企業、アーティストとの連携による「香りの新市場」を創造中。
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