空気チャンネル

森林浴×ウェルネスの軽井沢サイクリング旅行

NEW

まだまだ残暑が厳しい今日このごろ、「おいしい空気を吸いに出かけたい!」という方へ。空気チャンネル編集部は、長野県軽井沢への旅を提案します。

浅間山南麓、標高900〜1000mに広がる軽井沢は、古くから「屋根のない病院(サナトリウム)」と呼ばれた避暑地です。最近では、森の中でのウォーキングやサイクリングで心身を癒す「ウェルネスリゾート」としても注目されています。

現地でレンタサイクルをお借りして、高原のウェルネスな旅を体験してきました。

別荘地の自然とカルチャー

木漏れ日もまだ穏やかな早朝の別荘地。

朝霧の多い高原の空気は、しっとりと柔らかく、時おり格別にひんやりと、身体を包み込んでくれます。 一心にペダルを漕いでいると、忘れていた感覚が身体によみがえってきます。地面を踏むタイヤの規則的なリズムが静けさを引き立て、頭上で気まぐれに鳥がさえずり、木の葉がざわめくのが聴こえてきます。思い切り息を吸い込めば、針葉樹の清々しい香りで、胸が満たされるようです。

ほんの5分走っただけで、日常をすっかり忘れてしまうほどの爽やかなサイクリング。ただ、ここまでは、他のリゾート地でも、体験できるかもしれません。

ぜひ、少しの間自転車を停めて、あたりを見回してみてください。

森の中でも鬱蒼とした感じがなく、意外な開放感があることに気づくはずです。これはおそらく、自然保護対策要綱に基づく「軽井沢ルール」のおかげです。

一定の地域、いわゆる別荘地は1000平米以上で、建ぺい率は20%以下と定められています。つまり、テニスコート2面以上(実際はそれよりずっと広く見える)の敷地のなかで、80%以上は庭。加えて、塀や遮蔽物がほとんどなく、生垣も低く抑えられています。

そのため、深い緑に囲まれながらも、風通しがよく、ゆったりと感じられるのです。 明治の時代から別荘地として開発された軽井沢では、隣人との交流や、保養地の環境を重んじる風土が息づいています。自然とカルチャーの融合したリゾート地ならではの空気を意識すると、サイクリングはいっそう趣深くなります。

空気をキレイにする森のメカニズム

森林では、木が自分自身を守ろうとする自然の浄化メカニズムが働いています。二酸化窒素は酸化作用が強いため、人だけでなく木にとっても有害で樹皮に付着すると酸化が進んでしまいます。そのため、木は自分自身を守るために葉っぱから揮発性の成分を放出して、二酸化窒素を寄せ付けないようにしているのです。

この成分の正体は樹木の香り成分で、「フィトンチッド」と呼ばれることもあります。空気中を漂う二酸化窒素に木が放出した香り成分がくっつくと大きな粒子となり、地面に落下します。土に落ちた二酸化窒素はバクテリア等により生分解され、窒素化合物へと変わり、最後は森林の栄養になります。こうして森はきれいな空気を保っているのです。

(詳しくは『「森林の空気はキレイ」だといわれますが本当ですか?』へ)

軽井沢サイクリングのおすすめスポット!

軽井沢が「ウェルネスリゾート」とされているのは、上記のような独特の環境が大きいでしょう。街のサイズがコンパクトなので、サイクリングでは手軽に魅力を体感できます。

ここでは、おすすめの立ち寄りスポットをいくつかご紹介します。

万平通り

130年の歴史を持つリゾートホテル「万平ホテル」へ、古くからの別荘地を突き抜ける直線道路。高木が直射日光を遮るため、夏でも快適にサイクリングを楽しめます。

室生犀星記念館

大正から昭和にかけて活躍した詩人で小説家の室生犀星の旧別荘。犀星はこの家で、堀辰雄、津村信夫、立原道造、川端康成、志賀直哉など、多くの作家と交流しました。

みどころは、当時のままの日本家屋と、こぢんまりとした苔庭。京都から移植されたものも含む12種類の苔が、大切に育てられています。

軽井沢ショー記念礼拝堂

軽井沢を避暑地として見出したカナダ人宣教師A.C ショーが、1895年(明治28)に創設。増改築を経て、1922年(大正11)までに、ほぼ現在の形が完成しました。

内部は公開されていて、無料で誰でも見学できます。屋根や梁がむき出しになった木造の教会は、質素ながらも厳かで静かな空間。サイクリングの休憩にどうぞ。

御膳水

その昔、大名や宮家の御膳に用いられたことから名付けられた湧水。小径が整備されており、せせらぎを聴きながら、散策を楽しむことができます。夏でも冷たい水に手を浸せば、身も心も生き返るよう!

三笠通り

落葉松の高木が整然と立ち並ぶ約2kmの並木道。かつて、群馬県の草津温泉へつながる草軽電気鉄道が敷設されていた通りです。北へ向かって自転車を走らせるほどに、深まる自然を感じられます。

二手橋

江戸時代の軽井沢は、中山道の宿場町として栄えました。二手橋はその町外れ、矢ケ崎川に架かる小さな橋で、旅人たちが別れを惜しんだ場所だとか。 ここから先は峠道。整然と管理された別荘地とは、やや趣が変わってきます。

雲場池

四季折々の魅力を見せてくれる静かな池。若葉が萌える新緑、さらに色づく紅葉は、さぞや美しいことでしょう。1kmの遊歩道を、のんびり散歩するのもおすすめです。

軽井沢フレンチトースト

リゾート地らしいおしゃれなレストランやホテルが立ち並ぶ軽井沢で、ひそかに話題になっているのがフレンチトースト。各所のシェフが工夫をこらした絶品スイーツがそろっています。

写真はホテル鹿島ノ森の「フレンチトースト」。ふんわりとやわらかく、ほんのり甘い生地が、疲れた身体に染み渡る!

まとめ

2〜3時間あれば、バラエティ豊かな景色、空気を体感できる軽井沢のサイクリング。多少のアップダウンもあって、終わってみればほどよい運動量と、心地よい疲労感。「ウェルネス」が謳われるのも納得できます。

街ではレンタル自転車のお店が多数営業しています。ぜひ、みなさんも自然とカルチャーを味わうウェルネスサイクリングを試してみてください。

取材協力・問い合わせ

軽井沢観光協会

https://karuizawa-kankokyokai.jp/

関連する記事