季節のくらし

防虫対策総まとめ~虫食いの原因から防虫剤選びのポイントまで~

1.なぜ虫食いされるの?

衣替えの季節、しっかり対策しておきたいのが衣類の防虫です。大切な衣服の虫食いを防ぐには、収納環境や防虫剤の選び方など、いくつかポイントがあります。長年、防虫剤の研究に取り組んでいるエステーが、正しい防虫対策の基本を総まとめしました。

気づかぬうちに虫食いされているかも?

虫食いは、衣類害虫の幼虫が衣類を食べることでおこります。「我が家のきれいな部屋に限って虫なんかいない」と思っている方、それは大きな間違いかもしれません。
密閉性が高く、年中暖かい現代の家屋は、人だけでなく衣類害虫にとっても快適な環境です。
衣類害虫の成虫は、屋外に干した洗濯物や窓などから家の中に侵入し、クローゼットなどの収納場所や衣類に卵を産み付けます。それがふ化して幼虫となって衣類を食べ、また成虫に育って、再び産卵する、というように、世代が重ねられることもあります。高層階のマンションでも、衣類害虫は侵入してくる可能性があるので油断できません。

衣類害虫の種類と虫に食べられやすい衣類

日本にいる主な衣類害虫は、甲虫の「カツオブシムシ」と蛾の一種「イガ」の仲間。細かく分けると、「ヒメカツオブシムシ」「ヒメマルカツオブシムシ」「イガ」「コイガ」の4種類が挙げられます。これらの害虫が「幼虫」のときに、家の中で衣類などをエサにして成長するのです。

一番数が多いのはヒメマルカツオブシムシで、4~5月頃に大発生します。起毛部分から、衣服の繊維が薄くなるように広範囲に食べるのが特徴です。
イガは多ければ年に3回発生します。ヒメマルカツオブシムシほど見かける機会は多くありませんが、鳥の羽や巣などにいます。衣服の1カ所を集中して食べる傾向があります。

衣類害虫が活動しやすい条件は?

防虫対策で大切なのは、衣類害虫が住みやすい環境をできるだけつくらないこと。虫の活動は、以下の条件で活発になるので、これらを踏まえた上で、防虫対策を行いましょう。

①温度・・・気温15~25度で衣類害虫が活発に。30度を超えると活動が鈍くなる
②湿度・・・虫は湿度60%以上のジメジメした場所が大好き。
③栄養・・・衣類害虫は繊維やたんぱく質を食べる。ほこりも大好きで、汚れたタンスやクローゼットは天国

2.防虫対策の基本

衣類の虫食いを防ぐためには、衣類をしまう時にしっかり防虫対策をすることが大切です。

衣類の「しまい洗い」が基本

衣類害虫は繊維の中でも、ウールやカシミヤ、シルクなどのやわらかい動物性繊維を最も好み、綿、麻などの植物性繊維も食べてしまいます。さらに、ポリエステルなどの化学繊維でも食べこぼしや皮脂などで汚れていると、食べられる可能性があります。
虫食いのリスクを下げるためには、収納の前に衣類の汚れを落とす「しまい洗い」が必須。食べこぼしや皮脂など衣類害虫の栄養源になる汚れは、洗濯やクリーニングでしっかり落としてしてから衣類をしまいましょう
また、収納場所にホコリや汚れがあると害虫がすみつきやすくなるので、タンスやクローゼットの掃除も忘れずに。

防虫剤を活用しよう

いくら衣類をきれいにして収納しても、衣類害虫にとって、衣類の繊維そのものが栄養源になるので、防虫剤を使用することをおすすめします。
防虫剤は、衣類害虫を寄りつかせなくさせたり、虫の食欲を減退させる効果によって、衣類を虫食いから守る働きをしてくれます。
続いて、防虫剤選びのポイントと防虫剤の正しい使い方をご紹介します。

収納空間の湿気にも気をつけよう

春から夏にかけて、室内は高温多湿になりがちです。湿気が収納空間に閉じこもらないよう、できるだけこまめに換気しましょう。
収納している衣類は、晴れた日に、ときどき日光と風に当てて「虫干し」できれば、なおよいでしょう。
さらに、防虫剤と一緒に除湿剤を使用すると収納空間の湿気対策に有効です。
※除湿剤を使用する場合は、できるだけ密閉性を高くして使用しましょう。

3.防虫剤選びのポイント

防虫剤が効果を発揮するためには、収納空間内に十分に防虫成分を行き渡らせることが大切。シーンに合わせた防虫剤選びのポイントと防虫剤の正しい使い方をご紹介します。

防虫剤の種類は4つ。無臭のピレスロイド系が主流

防虫剤は薬剤別に、無臭のピレスロイド系と、有臭のパラジクロルベンゼン、ナフタリン、しょうのうに分けられます。無臭のピレスロイド系はどの薬剤とも併用できますが、有臭の薬剤同士は併用できませんので注意しましょう。
現在は、無臭のピレスロイド系の防虫剤が主流です。「ムシューダ」のような薬剤のにおいが衣類につかないタイプや、そこに良い香りをつけた「かおりムシューダ」などがあります。

シーン別防虫剤選びのポイント

ピレスロイド系の防虫剤は、お客様の利用シーンによって、最適な使い分けができるよう、さまざまな種類があります。スペースによって防虫剤の適正量が違うので、商品説明をチェックしましょう。

引き出し・衣装ケース用の防虫剤は、衣類の上に置いて使用しましょう。防虫成分は上から下へと行き渡るからです。
吊り下げタイプの防虫剤は、「洋ダンス用」「クローゼット用」「ウォークインクローゼット用」などの種類があります。同じ吊り下げタイプでも、それぞれの収納空間の広さにあわせて、防虫効果が広がるように設計されています。ご家庭の収納空間に適した防虫剤を使ってください。
カバータイプの防虫剤は、衣類を1着ずつ虫やホコリから守ります。カバーに防虫成分が留まっているので、オープンハンガーなどでも使用できます。また、最大10着程度まとめてスッキリ収納できるタイプもあります。


シートタイプの防虫剤は、衣類を包んだり、巻いたり、かぶせたりして使います。マフラーや手袋などのアイテムも一緒に包んだり、置き場所にもこだわらない自由な使い方ができます。


防虫剤を入れているのに虫に食われるのはなぜ?

いくつか原因は考えられますが、防虫剤の使い方や衣類の収納の仕方を誤っている可能性があります。
以下の3つをチェックしてください。

  • 密閉された空間で使用しているか?
  • 有効期限が切れていないか?
  • 防虫成分がきちんと行き渡っているか?

密閉された空間で使用しているか?

防虫剤は、防虫成分を空間内に拡散することで効果が生まれます。クローゼットやタンスなどは、密閉されなければ十分な効果を得られない場合があり、持続期間も短くなります。
ハンガーラックに衣類をつるすなど、オープンスペースで使用する場合は、防虫成分が揮発しないカバータイプやシートタイプの防虫剤がおすすめです。

有効期限が切れていないか?

有効期限が過ぎていても気づかずに使用し続けて、防虫剤の効果がなくなっている場合があります。エステーの「ムシューダ」の場合、時期が来たら「おわり」のマークでお知らせする「おとりかえサイン」が付いています。衣替えなどの際に、必ずチェックしてください。

防虫成分がきちんと行き渡っているか?

防虫成分は空気より重いため、上から下に広がっていきます。引き出しや衣装ケースなどの場合、衣類の下に入れると効果が十分に発揮できないことも。たたんだ衣類の上に置いてください。
また、ぎゅうぎゅう詰めの収納空間では、防虫成分が十分に行き渡らない場合があります。整理整頓のために「8割収納」とよく言われますが、防虫の観点からも、余裕のある収納が大切です。

防虫剤を正しく使っていても、衣類が汚れていたり、収納環境が悪すぎると、虫食いを防げないこともあります。長期間収納する前には、衣類の洗濯と収納空間の掃除を忘れずに行った上で、防虫剤を上手に活用しましょう。

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