知っておきたいダニの生態
まずはダニのことをよく知り、ポイントを押さえた対策をしなければなりません。髙岡先生監修の下、ダニの生態からダニ対策の基本、家の中の要注意スポット別の対策をまとめました。
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ダニの種類とサイズ
現在、私たちが把握しているダニの種類は5万種ほど。なかでも日本の家に住み着き、アレルギーなど人に害を及ぼすダニは「チリダニ」と言われ、主に「ヤケヒョウヒダニ」「コナヒョウヒダニ」の2種類がいます。どちらもヤブ蚊の10分の1ほどのサイズです。とても小さく、色が白や半透明のため、ほとんど見えません。
ダニの繁殖力と生命力
髙岡先生は、計算上のダニの繁殖力として、1匹のメスが1日5個の卵をうむと、100日後には100万匹になる可能性を提示しています。ダニにとって好都合な条件がそろうと、爆発的なスピードで増えます。非常に強い繁殖力を持っているのです。
髙岡先生の実験では、気温50℃の環境に1時間置いても、ダニは死滅しませんでした。人ならとても耐えられない環境でも、ダニはへっちゃらなのです。
しかも、生きたダニは繊維にしがみつく力も並大抵ではありません。洗濯機の水流などでは簡単にはがれないので、とても厄介な存在です。
ダニにとっての快適な環境と活動時期
人が生活する場所には皮脂や、食べカスなどのエサが多くあり、ダニの住みかとなります。
また、高温多湿な環境を好むので、日本の気候に合っています。温度は25度前後、湿度は65%以上でもっとも活発に活動します。人が快適に暮らせる温度、湿度とよく似た環境です。最近の気密性・断熱性の高い住宅は、従来の木造住宅と比べて環境が安定しており、ダニにとってさらに住みやすくなっています。
チリダニは、高温多湿の梅雨期から夏にかけて活動的になり一気に数を増やします。秋になると繁殖は衰えますが、代わりに死骸の数のピークが10月頃にやってきます。ただし、高密閉、高断熱の住宅では越冬するので、一年中油断はできません。
ダニ対策の基本
ダニ対策は「殺す」より「増やさない」
ダニ対策には、大きく2つのアプローチがあります。
①ダニを死滅させる
②ダニが住みにくい環境をつくる
あまりにもダニが多い家庭で、家族の誰かがアレルギーを発症している場合、まずはダニを殺して短期的に絶対数を減らさなければなりません。しかし、生きたダニは繊維にもぐりこみ、しがみつくので、寝具や衣類を洗濯や掃除をしただけでは駆除できません。
確実にダニを殺すには熱を加えることが有効ですが、55℃以上で30分以上の加熱が必要とされており、一気にダニを殺すのは非常に困難。
また、家の中のダニをゼロにしない限り、他の場所にいるダニが繁殖して元に戻ります(仮にゼロにしても外からダニを持ち込む可能性も)。完全に排除することは難しいからこそ、ダニの住みにくい環境づくりをして繁殖を抑制する発想で、ダニ対策に取り組むことが重要です。ダニが住みにくくなる環境づくりのポイントは、次に紹介する「場所別の対策」を参考にしてください。
家の中のダニ要注意スポットと場所別の対策
ダニが多く潜んでいる場所
家の中には、特にチリダニが好むスポットがいくつかあります。ダニが多く潜んでいる場所を紹介します。
●布団、ベッド、枕などの寝具類
●畳、カーペット、階段、マット類などの床面
●押入れ、クローゼット、タンス
●衣類、衣類収納ケース
●ソファー、椅子、クッション
●ぬいぐるみ、人形
●その他、カーテン、ベビーカー、チャイルドシートなど
長時間人に密着する寝具の中は暖かくて湿気が多く、フケや皮膚の破片、毛髪などのエサもたくさんあります。どの家でも、ほぼ例外なく多くのダニがいます。
床面にもフケや食べかすがたくさん落ちています。ダニは隙間に潜り込むので、フローリング<畳<カーペット(じゅうたん)の順番に、たくさん住んでいると考えて良いでしょう。特にカーペットの裏側や畳の隙間は、ふだん掃除をしないのでダニにとっては安住の地です。
ダニの付いた寝具を収納する押入れも、ダニの多いスポットです。狭い空間で湿気がたまりやすいのも、よくないところ。長期保存される布団の中で、ダニが繁殖しています。
同じような理由で、クローゼットやタンス、その中に収納した衣類にも要注意。
意外なところでは、ぬいぐるみにも注意してください。繊維の間にダニが潜り込みやすく、子どもが触って遊ぶので皮脂もたっぷり付いています。
子ども部屋にはダニが多い!?
髙岡先生の調査では、南側より北側の部屋にダニが多い傾向があると言います。日当たりのよい部屋は温度が高くなりますが、乾燥して湿度は下がります。いっぽう、日当たりの悪い北側の部屋は、温度は低くても湿度が高いので、ダニが繁殖しやすいのです。
そして、多くの家庭では北側の部屋は子ども部屋になっています。それだけでなく、おもちゃなどが散らかって、こまめな掃除ができていないことも多いので、ダニが好む部屋になりがちなのです。
場所別のダニ対策
家の中で特にダニの気になる場所やモノに絞って、効果的な対策を解説します。特に布団は、しっかり対策しておきたいところです。
●布団
もっとも有効なのは布団を干すことです。その目的はダニを死滅させることではなく、布団を乾燥させることです。
布団の中に潜り込んだダニは、直射日光を当てられると布団の裏側に逃げるだけで、死ぬことはありません。しかし、乾燥させることで、布団の中がダニの住みにくい場所に変わります。
ですから、こまめに布団を干し、ダニの嫌がる環境を維持することが大切です。雨が続いていたり、そもそも昼間でかけていたりと、布団を干せないときは、家庭用の布団乾燥機を活用するのでもOK。寝汗の多い夏場は、毎日乾燥機をかけると良いでしょう。
布団をよく乾燥させてから、掃除機をかけるのも効果的です。布団の中に潜り込んだダニはなかなか吸い込めませんが、死骸やフンなどのアレルゲンは取り除くことができます。
布団のダニ対策はこちらでも紹介しているのでチェックしてください。
もっと簡単な寝具の対策は、清潔なシーツや枕カバーを使うことです。布団がダニに汚染されていても、シーツを清潔に保つことでバリアのような役割となり、人に接するのを防いでくれます。
布団が古くなるほど、ダニやその死骸、フンがたまり、簡単には取り除けなくなっています。丸洗いをしても、数ヶ月で元に戻ってしまうのです。
長年使っている古い布団はできれば新しい布団に換え、そこからダニを増やさないよう、しっかり管理していきましょう。
●床面(カーペット/じゅうたん、畳、フローリング)
カーペットやじゅうたんやマットは、裏側にダニが集まります。特にカーペットの二重敷きや、畳の上にカーペットを敷いているケースは危険です。時折はがして、裏側も掃除するようにしてください。できるかぎり、干したりクリーニングに出したりするとよいでしょう。
フローリングでも、わずかな隙間や家具の後ろ、ソファーの下などホコリが溜まる場所には、一緒にダニが住んでいます。
床面はこまめに掃除して、ダニの死骸やフン、すみかとなるホコリを取り除くとともに、好物の食べかすなどがない状態を維持してください。また、モノが置いてあると掃除がしづらく、あちこちにダニの温床ができていきます。できるだけ直にモノを置かず、家具を移動できるようにするなど、掃除しやすい環境を整えてください。
●押入れ、クローゼット
押入れやクローゼットのダニ対策は、乾燥が一番。湿度が低い晴天の昼間には、戸や扉を開けて風を通して乾燥させましょう。除湿剤などを活用するのもおすすめです。
また、日本には古くから、年に数回、衣類や書物、道具類を収納から取り出して風を通す「虫干し」という習慣があります。モノを乾燥させてカビなどを防ぐとともに、収納スペースの湿気やホコリなどを取り除く機会となりますので、定期的に「虫干し」をしたり、掃除をするとよいでしょう。
●ぬいぐるみ
ダニがたくさん付いたぬいぐるみを抱いて寝る子どもは、夜のうちに大量のアレルゲンを吸ってしまいます。
ぬいぐるみのダニ対策としては、まずは天日干しをして、掃除機で表面のホコリや汚れを吸い取ります。丸洗いできるものなら、洗うことでダニの死骸やフンを取り除いて、生きたダニの増殖もある程度抑えられます。湿気が残っていると、かえってダニを増やしてしまう可能性があるので、中まで完全に乾かしてください。
ぬいぐるみを乾燥剤と一緒にビニール袋に入れて、口を縛っておくと、ダニは繁殖できません。
ダニ対策アイテムを上手に使う
ダニ対策の基本は、ダニの生態やダニが多い場所を知ること、そして湿気のコントロールや掃除でダニが住みにくい環境をつくることです。
さらに、ダニの嫌がる成分を配合したスプレーやシートなど、ダニよけアイテムを活用するのも選択肢のひとつ。「ムシューダ ダニよけ」なら、天然100%のダニよけ成分なので、お子さんの布団や子ども部屋にも安心して使用できます。
まとめ
ダニは、普段目にすることはありませんが、どんな家庭にも必ずいるものです。ダニを増やさないためにも、まずは住まいの環境や生活スタイルをぜひ振り返ってみてください。
その上で、正しいダニの知識とダニ対策の基本を理解することがとても大切です。効率的なダニ対策を行い、家庭での快適な暮らしと健康を守りましょう。
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