1.冷えが感染症や病気のもとに?
体温が低いか、自分で「冷えている」と感じたら要注意
今から60年ほど前、日本人の成人の平熱は、36.9~37度くらいが平均でした。現在、日本人の体温には正確なデータがありませんが、あるメーカーが数百人を対象にアンケートを取ったところ、平熱の平均は36.1度だったそうです。この60年間で、0.5度以上も下がっていると考えられます。
また、36.5度を超えている人でも、「自分は冷えている」という自覚症状があるなら、体が熱を欲していると考えたほうがいいでしょう。
手足が冷えるのはつらい状態ですが、まだ体質としては正常な範囲といえます。体の中で守るべき腹部や臓器の血流を十分に保とうとするため、手足を冷やして熱が逃げないようにしているからです。
逆に、手足が温かいのに内臓が冷えている方は、自律神経が乱れていると考えられます。いずれにしても、苦痛であれば対策を取りましょう。
体が冷えると酵素の働きが弱くなる!
体温の低い状態では、血液の温度も下がります。血液の温度が下がると、粘度が増し、つまりサラサラの状態ではなくなります。血液の重要な仕事は酸素や栄養素、水を運び、老廃物を運び出すこと。粘度が高くなると、その働きが弱くなっていくのです。
さらに、体の中の化学反応を手助けてしている酵素にはさまざまな作用があり、例えばたんぱく質の合成、分解などを助ける酵素や、外から入ったウイルスなどを消化・分解して殺す酵素などがあります。
酵素は、温度が下がると反応速度が遅くなります。体じゅうで必要なものが作れなくなったり、病気から体を守る機能が弱まってしまいます。その結果、さまざまな病気を引き起こしたり、感染症にかかりやすくなることがあります。
ウイルスなどと戦うには温まってリラックス
体に入ってくるウイルスなどに対抗するには、リンパ球系の免疫が有効。そのためには、副交感神経を優位にしていく必要がありますが、体が冷えていると、交感神経系にスイッチして血管を収縮させるため、血流が悪くなるのです。
つまり、体が冷えていると、リンパ球系の免疫が働きにくくなってしまいます。温かい体でリラックスして、気持ちよい状態を作ることが大切です。
2.注意したいNGな生活習慣
なぜ、私たちの身体はこんなに冷えてしまうのでしょうか。それは、悪い生活習慣や日常の行動にあったのです。
冷蔵庫やエアコンの発達で体が冷えやすく
そもそも、なぜ現代人は60年前の人よりも体が冷えているのでしょうか?
いま、どの家庭にも冷蔵庫があり、冷たい食べ物をいつでも食べられます。また、多くの部屋にエアコンが完備されており、一年中同じような温度で暮らしています。
暑い時に汗をかいて調節したり、寒い時に震えて基礎代謝をあげるといった、私たちが本来持っている自己治癒力が育っていないのです。
冷たいものを飲んだり食べたりすると、それだけでエネルギーを使ってしまうため、体を温めることにエネルギーを回せなくなります。冷たいものをとる習慣がある人は、知らず知らずのうちに冷えやすい体を作っているのかもしれません。
また、喫煙や、暴飲暴食も血流が悪くなる原因になり、体を冷やします。人間関係などのストレスも、交感神経が優位になって血管が収縮するため、体温が下がる原因になります。
乗り物が発達して日常的に体を動かさない
また、運動不足も原因のひとつ。電車や自動車が発達して、人はあまり動かなくなりました。体の熱を生成する一番の組織は筋肉なので、筋肉を使わないと熱が生まれず、さらには筋肉も発達しない、という悪循環になっています。
運動をしない生活は、体を冷やすもとになります。ずっと座ったままの生活や、自家用車ばかりの移動、電車やバスで座ってばかりいる習慣などが、私たちの筋肉を奪っていると言えそうです。
体を冷やすと冷えやすい体になる?
自分の体で熱を作る力がある人は、多少冷やしても問題ありません。むしろ、熱を作る力を鍛えることもできるでしょう。
ところが、熱を作る力の弱い人が体を冷やしてしまうと、体が冷えたまま自分の力で温められず、冷えたままになります。できるだけエネルギーを温存して、徐々に力を付けていくほうがよいのです。
温める習慣を続けていれば、体温は徐々に上がっていきます。体温が上がれば、冷えにくい体が作られていくわけです。
3.体を温める習慣や工夫
体を温めるには、運動や習慣、食べ物の工夫などが有効です。少しきつめの運動や温かい食べ物の摂取、すぐにできて効果的な工夫についてご紹介します。
自分にとって少しきついくらいの運動を
運動不足や筋肉不足の方は、自分にとって少しきつく、軽く息が上がるくらいの運動をおすすめします。定期的にしっかりと運動しようと思っても、なかなか続かないもの……。そのため、日常生活に取り入れていくと継続しやすいでしょう。
例えば、歩く時には少し大股で早歩きをして、駅やスーパーの階段は積極的に使います。いつでも使える無料のジムだと考えると得した気分になれます。電車などの乗り物も「座ったら損」くらいに考えましょう。
家事の間も工夫ができます。洗濯物を干すときに1枚ずつしゃがめばスクワットになりますし、食器洗いをつま先立ちでしてもいいでしょう。
座ったまま、手を組んで左右に強く引っ張るアイソメトリック運動などもできます。いろいろなところに運動のチャンスはあるのです。
温かい食べ物や飲み物を積極的にとる
食べ物や飲み物は、冷たいものを避けましょう。それでも体調が改善しなければ、温かいものを取るようにします。
冷たいままで食べるしかないと思っているものも、温めて食べることができます。ヨーグルトは温めると菌が死にますが、死んだ菌を食べても腸内細菌のえさになります。ビールを温めてホットビールにするのも一興です。ベルギーなどでは一般的な飲み方です。
それでもよくならければ、食材を考慮するといいでしょう。体を温める野菜や果物は「寒い地方・季節で取れるもの」「色が濃いもの」「味の濃いもの」「地中に向かって伸びるもの」「水分が少なくて硬いもの」などです。
冷えを取る入浴方法
お風呂はシャワーで済ませず、入浴して体を温めます。冷えを取るための入浴は、40度を超えない温度がおすすめ。40度を超えると交感神経優位になり、血管が収縮して血圧が上がります。40度以下なら副交感神経優位となり、血圧変化がないまま体を温められます。
寒いと思うかもしれませんが、肩までつかり、30分ほど入れば温まります。冬はお湯の温度が下がりやすいので、洗い場に熱いシャワーをかけて温めておくとよいでしょう。
また、入浴剤は、副交感神経優位になる炭酸系がおすすめです。
ちなみに、夏場もぬるめのお湯なら暑がりの人でも入っていられます。夏場もできるだけ血流の良い体づくりを心がけましょう。
衣類は下半身を重点的に温める
服装は、下半身を特に冷やさないようにしましょう。心臓から遠く、重力もかかるので血がもどりにくいためです。上半身よりも、下半身のズボンを何枚も重ね、靴下も何枚も履くと万全です。
カイロや湯たんぽを上手に活用
衣類だけでは温まり切らない時には、カイロや湯たんぽがおすすめ。温める場所は、手足の先より内臓のまわりと筋肉の多いところが効果的。内臓があたたまれば、血管が開いて血流がよくなり、手足も温まります。筋肉が多いところも同様です。
カイロは、お腹のまわりや腰がよいでしょう。特に、仙骨のあたりは副交感神経の中枢なので、体が効率よく温まります。
座っている時間が長ければ、湯たんぽをももの上に置いておくと効果的です。
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