季節のくらし

「つらい冷え」の時期が来る前に、正しい予防と対策を!

1.冷えはなぜ身体に悪い?

夏場に体を冷やす生活を続けた結果、秋になってから、さまざまな体の不調が現れてくることがあります。夏から秋に変わるこの季節に、しっかりと「冷え」の予防を行うことが大切です。目黒西口クリニックの院長 南雲久美子さんに、冷えない体づくりや日常の習慣など、冷え予防のコツを教えていただきました。
まずは、「冷え」が体にどんな悪影響を及ぼすのかを確認しておきましょう。「ただ寒いだけ」と思ったら大間違い。冷えを放っておいたら、段階に応じてさまざまな不調につながるのだそう。
南雲久美子さん
目黒西口クリニック 院長
南雲久美子さん
プロフィール
南雲久美子さん

プロフィール

目黒西口クリニック 院長
南雲久美子さん
1982年杏林大学医学部卒。東京慈恵会医科大学第二内科入局、関東逓信病院(現NTT関東病院)消化器内科非常勤嘱託を経て、北里研究所付属東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。96年、東洋医学と西洋医学を融合して治療を行う目黒西口クリニックを開業。冷え症、自律神経失調症をライフワークとしている。著書に、『冷え症・貧血・低血圧』(主婦の友社)『タイプ別・冷え症改善ブック』(家の光協会)『名前のない病気・不定愁訴』(家の光協会)がある。目黒西口クリニック:「https://www.meguro-kanpo.com/」
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「冷え」とは血行が悪いこと

「冷え」は体にどんな悪影響を及ぼすのでしょうか。まずは、東洋医学における「冷え」とは何かを覚えておきましょう。それは、「血行が悪い」こと。血の巡りが悪いと、体のさまざまな場所に不調が出るそうです。そのため、「冷えは万病のもと」と言われます。

「冷え」による不調は年齢とともに進行

「冷え」は放っておくと徐々に進行していきます。次のような段階があります。

「冷え」……20代に多い

寒がりで血行が悪く、しもやけになりやすい。生理不順や生理痛も重い場合が多い。本来は初潮を迎える前に、身体を冷やさないようにした方がよい。

「水はけが悪い」……30代に多い

水分代謝が悪く、大汗をかいたり、尿が出にくかったり、むくみが出やすかったりする。めまいや片頭痛、耳鳴り、胃腸の不調、関節の腫れといった不調が出る。

「気のめぐりが悪くなる(精神的な不調や自律神経の不調など)」……40代に多い

不眠や動悸、イライラ、パニックなどの精神的な不調が出る。

「さまざまな不調が現れる」……50代くらい

それまでの不調が複合的に表れる。また、子宮や膀胱など骨盤の中の不調として現れるのが特徴。おしっこが出づらい、トイレが近い、など。

男性は女性より筋肉量が多いなどの理由から、冷えにくい傾向にあります。ただし、生まれつき胃腸の弱い場合は、男性が冷え症になることも。胃腸は体に栄養を取り込む最初の場所なので、消化吸収がうまくできず、体全体が不調になりがちです。

2.生活習慣から起こる「冷え」に注意

日頃の生活習慣によって、冷え症になってしまうことがあります。特に、夏の暑い時期に体を冷やす生活を続けていると、季節の変わり目にさまざまな不調が現れてくるそうです。普段から冷えにくい体作りを心掛けましょう。

生活習慣から起こる「現代版冷え症」とは?

「冷え」には、大きく分けて次の2タイプがあります。冷えのタイプによって予防や対策が異なる場合があるので、まずは2つのタイプを確認しておきましょう。

・古典的冷え症

・現代版冷え症(「冷えのぼせ」など)

 

「古典的冷え症」は、子どもの頃から胃腸が弱い人や、もともと冷えやすい体質の人がなりがちです。

「現代版冷え症(冷えのぼせ)」は、もともと冷える体質ではないのに、自ら冷やす行動を続けて冷え症になっているタイプ。自分では冷えている自覚がなくても、頭痛やめまい、不眠などの不調が現れます。冷えのぼせの症状が悪化すると、少し動いて、止まると汗だくになることも。汗が出過ぎるのに、足元は冷えているのも特徴です。現代は、ライフスタイルや環境の変化によって「現代版冷え症」になる人が増えています。

秋は「冷え」による不調がでてくる季節

「現代版冷え症(冷えのぼせ)」の人は、夏に体を冷やす生活をしていることがほとんどです。
朝は寝覚めを良くするためにコーヒーを飲み、通勤で汗をかいたあと、オフィスのエアコンで体を冷やす。昼は食欲がないのでそばやサラダで済ませ、仕事のあとにビールを飲む、と、体を冷やす行動をしていませんでしたか。
夏場に体を冷やす生活を続けていると、秋になって不調が出てくるケースが多いです。寒さが本格化する前に、「冷え」の予防・対策を心がけましょう。

冷えにくい体づくり

冷えない体を作るには、運動が有効。特に下半身の筋肉をつけるスクワットや早めのウォーキングなどがおすすめです。冷えにより「水はけが悪い」状態になると、下半身に水分が溜まりやすいのだそう。それをポンプのように上半身に戻してくれるのが筋肉というわけです。
筋トレが難しければ、下半身のストレッチなども効果的。体の血の巡りをよくします。

3.日常の予防と対策

ずっと暖かい場所で過ごせればいいものの、冬場は寒い場所に出ないわけにはいきません。そこで、普段の習慣から、身体を冷やさないようにしておきましょう。飲み物や食べ物、服装の選び方などを紹介します。

飲み物や食べ物は発酵させたものを

一日に何度も口にする飲み物は、体を冷やさないものを選ぶのがポイント。体を温める飲み物は「発酵」させているもの。例えば、紅茶やココア、プーアル茶、甘酒、みそ汁などです。

水は体を温めも冷やしもしませんが、水以外で発酵させていないものは、基本的に体を冷やすと考えてよいでしょう。ただし、いつでも体を冷やす飲み物はNGというわけではなく、動いている時や、あたたかい部屋で飲む分にはさほど気にすることはありません。場所や環境を選んで、適したものを選ぶよう心がけてください。

食べ物は、葉物など、夏の野菜は体を冷やします。一方で、根菜類などの冬の野菜、ショウガや香辛料、発酵食品などは体を温めてくれるので、上手に利用しましょう。

着るものは「首」を温めて

寒い場所に出るときには、お腹まわりや、首や手首、足首を温めるようにしましょう。服による体の締め付けもよくないものの、最近流行しているようなゆったりとした服ならあまり心配はありません。ただし、クロップドパンツは足首を冷やすので注意してください。

首元は、冷えのタイプ別で温め方が違います。首の後ろは「冷やすと風邪をひく」と言われているツボがいくつもあるので、どちらのタイプも後ろ側はしっかり温めるのがおすすめです。
「現代版冷え症(冷えのぼせ)」の人は、前側を温めると熱がこもってのぼせてしまうので、首元がつまったハイネックのニットなどはおすすめしません。自分で心地よいと思える服装であれば大丈夫です。

カイロも上手に使って

使い捨てカイロも、上手に活用しましょう。自分で温めたい場所に使えばOKです。特に、おしりやお腹が冷える人には、専門の商品もあります。「On Style おしり41℃」「On Style おなか40℃」なら、それぞれの部位や使用シーンに合わせた温度なのでずっと快適です。

お風呂はタイプに合った入り方を

お風呂でお湯につかるのも、体を温めるのに有効です。ただし、お風呂も冷えのタイプによって入り方が変わります。

「古典的冷え症」の人は、38~40度のぬるめのお湯に長く入るとよいでしょう。「現代的冷え症(冷えのぼせ)」の人は、短めにさっと入るのがポイントです。汗が止まらなくなるまで長く入るのはNGです。

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