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「生理痛」と「冷え」には関係があるのでしょうか?

辛い痛みや貧血など生理痛に悩む人は少なくありません。「生理のときはおなかを温めるとよい」とはよく聞きますが、実は、生理痛は冷えと密接な関係があります。今回は、生理痛と冷えについて、入江漢方内科クリニック院長の入江祥史先生生にお聞きしました。ほかにも、生理痛を和らげる方法や普段からできる習慣なども紹介します。

「生理痛」と「冷え」との関係は?

生理痛は、キリキリするおなかの痛みや鈍痛、頭痛など、人によって症状はさまざまです。ではなぜ、こうした痛みを感じるのでしょうか?

例えば、物にぶつかるなどして打撲をすると、ぶつけた部分が赤くなり、血流がとどこおって痛みを感じるようになります。漢方では、「流れが悪いところは痛みが出る」という考えがあり、血の流れが悪くなると痛み物質がたまりやすくなって痛みを感じるようになると考えられています。

この原理は、生理痛も同じです。生理中は基礎体温が低くなり、血液に粘りが出ます。その粘った血液が体外へ流れようとするために、痛みが発生するのです。また、体が冷えて体温が低くなると、血が固まりやすくなります。そのため、冷え性の人は生理痛がひどくなる傾向があります。

生理痛を和らげるには、普段から体を温めることが効果的

生理痛の痛みを軽減するには、温めることで血流を良くすることが効果的です。子宮を温めることが一番効果的なので、おなかのおへその部分や、腰などを温めるとよいでしょう。

また、血流を良くするため、普段から体を温める生活を心掛けましょう。食生活においては冷たい食品の摂取は避けましょう。筋肉を付けると血流がよくなり冷えにくい体になるため、スクワットやジョギングなどの運動も有効です。おすすめなのは、歯磨きをしているときにゆっくりと10回スクワットをすること。これを毎食後、1日3回行うだけで、太ももの筋力アップの効果が期待できます。少しの時間でも運動する習慣をつけておくとよいでしょう。

体を温めたり、体温を上げられる習慣を身に付けるのが一番ですが、億劫でなかなかできそうにないという人も少なくないでしょう。実は、生理直前に運動をしたり食事などに気を付けるだけでも効果が期待できるので、生理がそろそろ来そうだと思った時点で始めてみてください。さらに、腹巻きやレッグウォーマー、使い捨てカイロなどの体を温めるアイテムを利用したり、下半身を冷やさないような服装をするよう心がけましょう。

取材協力:入江漢方内科クリニック吉祥寺院長 入江祥史さん

入江漢方内科クリニック吉祥寺院長。漢方内科医。
1991年大阪大学医学部卒業、1995年同大学院修了(医学博士)。大阪大学医学部付属病院、ハーバード大学医学部、慶應義塾大学病院漢方クリニック医長、証クリニック吉祥寺院長などを経て、2017年より現職。東邦大学医学部客員講師も兼任している。

一般の方向けの『はじめての漢方医学』(創元社)をはじめ、漢方について学びたい医師・薬剤師・医薬系学生から漢方専門家まで、さまざまな人に向けた書籍も多数執筆している。

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