トップページ > くらしにプラス > ココが知りたい!身近な疑問 > 在宅ワークで長時間座りっぱなしになることが増えました。身体に負担をかけない姿勢や座り方を教えてください。

身近な疑問

在宅ワークで長時間座りっぱなしになることが増えました。身体に負担をかけない姿勢や座り方を教えてください。

生活様式が変わり、在宅ワーク中心の働き方になったことで、1日中座りっぱなしという人は少なくありません。長時間同じ姿勢をし続けると、血流が悪くなって肩こりや身体のだるさ、むくみなどの「在宅疲れ」が出ることも。そこで、長時間座るとどのような身体の不調が出るのか、そのメカニズムや対処法、不調を発生させないための予防法を、東京医科大学整形外科准教授の遠藤健司先生にお聞きしました。

長時間のデスクワークはさまざまな不調を引き起こす

昨今、在宅時間が増えたことで、デスクワークやテレビ鑑賞、スマホの操作時間など座って過ごす時間が長くなったという人は多いでしょう。座っている時間が長くなると、肩や首が凝り、眼精疲労や頭痛、冷え性、めまいなどの症状が起こりやすくなります。また、重症化すると鬱になってやる気がなくなる、疲れやすいなどの症状が出ることも。

実は、首の筋肉は脳との関係が深い自律神経と大きな関わりがあるため、自律神経にまつわる症状が出やすくなるのです。

また、肩こりや首のこりを感じた時に、揉んだり叩いたり、首を回すなどの行為を行うことで筋肉を痛めたり、余計に筋肉が硬くなって悪化させたり、新たな肩こりを生んでしまう場合もあります。

なぜ、長時間同じ姿勢を続けると不調が起こるの?

なぜ、長時間座り続けるとさまざまな不調が起こるのでしょうか。座るという姿勢は、基本的に前かがみになります。すると、身体を支えるための「抗重力筋(こうじゅうりょくきん)」という背筋が緊張して、筋肉の中の血液の流れが悪くなり、筋肉中に疲労物質がたまります。それが痛みになり、その痛みが筋肉の緊張を誘発させて、肩や首のコリなどに繋がる、という悪循環に陥ってしまうのです。スマホを使用しているときは特に前傾姿勢になり、巻き肩になりがちなので注意が必要です。

頭は身体の約10%の重さがあると言われており、例えば体重が50kgの人なら、5kgの米袋を始終首で支えているようなもの。首を30度傾けるだけで、約3倍の力が首の付け根にかかっているという研究結果も出ており、前傾姿勢で長時間過ごすとなると、筋肉の緊張は強くなります。

また、最近の研究では「ファッシア」という、筋肉や臓器などの間に張り巡らされている緩い繊維組織が固まることで身体が硬くなり、広範囲にわたって痛みを生じるさせことがわかっています。正常な場合、ファッシアはゆるゆるとしているので身体を自由に動かすことができます。しかし、ファッシアが固くなると、身体を動かした時に、同じ位置にある臓器などが一緒に動いてしまう。これによって痛みを感じるわけです。そのため、腰や背中など、広範囲で痛みを感じやすくなるのです。

30分以上同じ姿勢をし続けないよう、こまめに姿勢を変えて

本来、人の身体は30分以上「不動」の状態に耐えられるつくりをしていません。30分以上座った状態が続くと、血流が悪くなったり、血栓ができたり、不快に感じたりします。そのため、30分以上同じ姿勢を続けないことが大切です。身体に負担をかけないようにするためのテクニックを紹介します。姿勢を変えて座り直すなど、身体を動かすだけで簡単に実践できるので、ぜひ試してみてください。

●座り方を変える

デスクワークでは、同じ姿勢を続けないことが予防のコツ。座り方には、仙骨座位(せんこつざい)と坐骨座位(ざこつざい)という2種類の姿勢があります。

仙骨座位は、仙骨という部分を使って、お尻の面で座る座り方で、座ったときに身体の重みを背もたれに受けることができるので、楽に座ることが可能です。一方、坐骨座位は、背もたれなしで浅く座る座り方。立っている時の姿勢に近いため、長時間同じ姿勢を保つことができます。どちらかの座り方が良いということではなく、坐骨座位と仙骨座位を繰り返し、同じ筋肉を使い続けないようにすることが大事です。

また、同じ姿勢を続けると腰痛も引き起こしやすくなります。正しい姿勢を保てるよう、腰の後ろにクッションを置いて湾曲をつくる方法も効果的。動く椅子を使うと、座り直すだけで身体を動かす動作をとることができるので、椅子を変えてみるのも1つの手です。床に座って作業をする場合も、30分に1回程度の頻度で立ち上がって座り直しをするとよいでしょう。

●「あご引き体操」で手軽に姿勢を変える

背筋を伸ばし、骨盤を立てた状態が血行を阻害しない正しい姿勢ですが、長時間続けるのは難しく、デスクワークなどを続けると徐々に前屈みになってしまいます。そこで、疲れを感じてきた時におすすめしたいのが「あご引き体操」です。人差し指を軽く押してあごを引くだけで、骨盤が立って姿勢をリセットすることができます。30分に1回くらいの頻度であごを引く動作を3回繰り返すとよいでしょう。

●「肩甲骨はがし」ストレッチで血流を良くする

また、肩甲骨(けんこうこつ)と肩を回すことで血流を良くする「肩甲骨はがし」ストレッチは肩こり予防に効果的です。

上記のイラストのように、両肘を曲げて肩を大きく回す運動を、5秒かけてゆっくり行います。すると、肩が温かくなって血流がよくなるはずです。これを、30分に1回を目安に行いましょう。

●冷えにも注意

身体の血流が悪くなると、手先や足先など身体の末端まで血液が運ばれにくくなり、身体が冷えてくることがあります。冷えやストレスなどを感じると交感神経が優位になり、肩こりなど身体の不調の原因になります。そこで、日頃から体を冷やさないようにすることが大切です。腰や首を中心に、冷えやすい手や足先も一緒に温めるとよいでしょう。

また、冬になると重ね着をしがちですが、身体が動きにくくなってファッシアが固くなります。身体を締め付ける服も動きづらくなるので、厚着をしすぎず、ゆったりとしたラインの暖かい格好をするように心がけましょう。

温熱シートなどで身体を温めて血流を促進!

身体を温めることで、血行を促進し、肩や首のコリや疲れをほぐすことができます。「On Style」なら、身体の部位に合わせて快適な温度で温めることができます。肩や首のコリには、肌に直接貼って温める「On Style 肩40℃」や「On Style 首肩ポイント温熱」、腰痛には腰をしっかり温める「On Style 腰40℃」がおすすめ。

取材協力:東京医科大学整形外科 遠藤健司先生

東京医科大学整形外科准教授。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医。
東京医科大学整形外科大学院終了後、米国ロックフェラー大学に留学し、神経生理学を専攻。帰国後は、東京医科大学茨城医療センター整形外科医長に就任し、東京医科大学整形外科医局長を経て2018年から現職に。
著書(共著)に『本当は怖い肩こり』(祥伝社新書)などがある。