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帽子は家で洗えますか?洗濯・お手入れ方法を教えてください。

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ファッションのアクセントになり、日よけとしても大活躍する帽子。夏の時期は、毎日かぶっているという方も多いのではないでしょうか。ところが、髪や肌に直接触れるため、実はかなり汚れています。そのままにしていると汚れが落ちにくくなってしまったり、変色する可能性も。そこで今回は、自宅でできる帽子の洗濯方法を、三共クリーニング株式会社 代表取締役の田村嘉浩さんにお伺いしました。

自宅で洗える帽子、洗えない帽子の見分け方

まずは、タグにある洗濯表示を確認し、下記の表示に従って洗濯方法を選びます。下記で「洗濯機」と書かれているマークが付いていても型崩れが心配なら、この後に紹介する手洗いがお勧めです。洗濯機で洗う場合にも、ネットに入れるなどしてていねいに扱いましょう。

水洗いできない帽子もあります。例えばフェルト帽は、水で洗うと”のり”が取れて型崩れの原因になります。また、麦わら帽子の場合も、わらに水が浸透したあとに乾燥させると、ささくれ立ってしまいます。これら水洗いできない素材には、この後で紹介する拭き洗いでお手入れします。

特殊な飾りがついているものや革製品などは、自宅で洗うのが難しいため、対応可能なクリーニング店に相談してみましょう。

家で手洗いする場合の基本手順

家で洗濯する場合には、次の手順に沿って手洗いしましょう。

手洗いの基本手順

① 色落ちの確認

洗濯表示で洗い方を確認した後は、色落ちを確認します。例えば、濡れタオルでこすってみてタオルに色が付いたり、色の違う布を使っているデザインの場合に境目の色がにじんでいるようであれば、色落ちすると考えて良いでしょう。それでも洗いたい場合には、色が薄くなる覚悟で、他の物に色移りしないよう単体で洗いましょう。

② 汚れの確認と部分洗い

汚れている部分をあらかじめ確認しておくことで、洗濯後に汚れが落ちたかどうか判別出来ます。

汚れが付きやすいのは、帽子の内側のおでこが当たる部分です。汗や皮脂はもちろん、ファンデーションや日焼け止めが付きやすい場所です。

ファンデーションや日焼け止めが付いている場合には、部分洗いをしておきましょう。食器用中性洗剤を直接塗るか、少し薄めて塗ります。タオルでトントンと叩くか、使っていない古い歯ブラシなどで軽くこすり、ファンデーション、日焼け止めを溶かします。部分洗いにはメイク落としも使えますが、食器用中性洗剤のほうが低コストです。

③ つけ置き洗い

衣類の取り扱い表示に従い、30~40度のぬるま湯を洗面器に張り、洗剤を数滴入れましょう。帽子を20~30分程度つけ置きします。人間の体温に近い温度であれば、皮脂やたんぱく質などを溶かし出すため、汚れが落ちやすいのです。

④ すすぎ

洗面器に水を張り10分間つけておくか、少し水の中で揺らしてすすぎます。水から出して水を変え、2~3回同様にすすぐと洗剤が残りにくく、肌の弱い方でも安心です。

⑤ 脱水

洗面器から出して水を切り、タオルで押さえるか洗濯機で軽く脱水します。

⑥ 形を整えて干す

すすぎが終わったら、タオルで水気を拭き取り、形を整えて干します。頭の入る部分にタオルを詰め込むか、小さめのザルなど丸い形状のものをタオルで包み、帽子をかぶせて平干しします。タオルが濡れてきたら、乾いたものと交換するとより早く乾きます。

ニット帽の場合には伸縮性が大事なので、リブ部分を寄せるように縮めて平干ししてください。

⑦ アイロンがけ

基本的にアイロンがけは不要ですが、アイロンをかけたい場合には、タオルを詰めたままシワを伸ばすと良いでしょう。スチームをかけるだけでもある程度のシワは伸ばせます。

拭き洗いの基本手順

水洗いできない場合には、拭き洗いをします。フェルト帽や麦わら帽子、革製品などが対象です。

① 濡れタオル(または薄めた洗剤を付けたタオル)で汚れを拭き取る

タオルを水でぬらし、しっとりする程度に絞ります。おでこが当たる箇所など、付着した汚れを拭き取りましょう。それでも汚れが気になる場合には、洗剤を薄めて使います。ただし、洗剤が残留した場合に肌への影響が気になるので、刺激の少ない天然洗剤や、すすぎが1回で済む洗剤などを使ってください。

洗剤を使った場合には、きれいなタオルを濡らして洗剤を拭き取ります。

②乾いたタオルで拭き取る

乾いたタオルで水気を吸い取ります。

③干す

その後、風通しの良い場所で平干しします。

普段のお手入れや保管方法

帽子を長くきれいに使うためには、普段のお手入れが大切です。

使うたびにホコリを取り、汚れを濡れタオルで拭き取る

毛並みのある帽子は使うたびに柔らかいブラシでブラッシングをして、ほこりや糸くずを取ってあげましょう。それほどデリケートなものでなければ、クラフトテープ(ガムテープ)でホコリや糸くずを取るようにしましょう。

汗をかいた日は放置せず、濡れタオルで拭き取ります。そのまま乾くと、成分が高濃度になり、黄ばみの原因になります。すぐに拭き取れない場合には、水分を与えて濃度を薄めるだけでも、黄ばみの予防になります。濡れた後には風通しのいい場所でしっかり乾かしてください。

長期保管には防虫剤、除湿剤を

長く保管する場合には、頭の部分に新聞紙などを詰め、型崩れしないようにします。皮脂などの汚れが残っている状態で湿気が多いと、カビが発生するリスクが高まります。そのため、除湿剤も一緒に入れておくと安心です。

ウールなど天然素材の場合には、虫に食われないよう防虫剤も使いましょう。

帽子を虫やカビから守るには

帽子をしまうときには、防虫剤と除湿剤を一緒に使うのがお勧めです。引き出しや衣装ケースにしまうなら、「ムシューダ 引き出し・衣装ケース用」「ドライペット 引き出し・衣装ケース用」を衣類の上に置いておくだけで、大切な帽子を虫やカビから守ります。

しまう場所に応じて、洋服ダンス用やクローゼット用なども利用すると良いでしょう。

取材協力:田村嘉浩さん

三共クリーニング㈱ 代表取締役。クリーニング師歴23年。同業界で「衣類の繊維」や「洗浄理論」の講師活動も行っている。「家庭洗濯」についてテレビ・雑誌などで解説。

《注記》
本記事をご参考に洗濯される場合は、事前に洗濯表示や洗剤の表示をご確認ください。ご判断が難しいものについてはクリーニング店にご相談ください。

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