ココが知りたい!身近な疑問

防災グッズは何が必要?普段使いのものを中心に無理なく備える工夫を教えてください。

もしもの時のための防災アイテム。必要だとわかっていても、何から揃えたらいいのかわからず、ついつい後回しにしてしまっているという人もいるのではないでしょうか。そこで、必ず揃えておきたい防災アイテムや、日常生活の延長で無理なく備える工夫を、NPO法人ママプラグ理事 アクティブ防災事業代表の冨川万美さんに伺いました。

普段の生活になくてはならない食料品や日用品は切らさずストック

まずは、普段の生活で必要な食料品や日用品をストックすることから始めるのがおすすめです。

お米などの食料品やシャンプー、トイレットペーパーなど、日々の生活で欠かせないものを切らさずにストックする習慣を持っておけば、もしもの時の備えにもなります。例えば赤ちゃんのいる家庭ではオムツが必ず必要だったりと、生活に必要なものは人や家庭によって様々なので、普段の生活で何が必要か、振り返って見直してみるとよいでしょう。

大災害が起こると、ガスや水道、電気、そして物流といったライフラインが止まってしまう可能性があります。災害から4日目を過ぎると段々とライフラインが復旧してくることが多いので、まずは最低限3日間しのげるようにストックを揃えておけるとよいでしょう。

なお、食べ物は、いわゆる「非常食」を必ずしも用意しておく必要はありません。自分や家族が美味しく食べられるものをストックしておくことが大事です。いわゆる「非常食」を用意しても、災害時以外に出番がなく気がついたら賞味期限が切れてしまっていた、というのはよくある話です。保存に向いていて普段の生活でも食べるものを、食べたら買い足す、というようにしてストックを切らさないようにしておくといいでしょう。

電気・ガス・水道が止まっても大丈夫?備えておくべき重要アイテム

日々の生活で必要なものをストックしておくことが備えの第一歩ですが、普段の生活と災害時で大きく異なるのは電気やガス、水道などのライフラインがストップしてしまうことです。ライフラインが止まってしまったときにその代わりになるような、必ず準備しておくべきアイテムを紹介します。

①水

食料と同様に、最低でも3日間過ごせる量を用意しておきましょう。飲料水の準備の目安は1人1日3L程度です。

②ライト

電気がなくても使える、電池式のライトを用意しておきましょう。防災用のランタンがあればもちろんよいですが、元々家にあるもので明かりの代わりになるものがないか、探しておくのもよいでしょう。例えば、ベッドサイドで使う電池式のランプや、ライブやイベント用のペンライトも、いざというときには照明代わりになります。

③カセットコンロ

カセットコンロと合わせて、ボンベも多めに準備しておきましょう。普段の生活でも鍋料理などで使えるので、上手く活用すればしまいっぱなしになることはないでしょう。

④非常用トイレ

水が止まって家のトイレが使えなくなるということもあるので、備えとして絶対に買っておいた方がよいアイテムです。

⑤バッテリー類

今の時代は情報が命です。スマートフォンの充電を切らさないために、電池式の充電器を用意したり電源の確保をしておきましょう。ポータブル電源は、災害時だけでなく、キャンプなどのアウトドアでも使えるので、持っていて無駄にはなることはないでしょう。

非常用持ち出し袋の中身は、旅行バッグの延長で揃える

避難生活というと、避難所での生活をイメージする人も多いかもしれませんが、家が安全で避難指示も出ていない場合は、自宅での避難生活となるケースも多いです。一方、避難指示が出ていたり、自宅が危険な場合は、非常用持ち出し袋を持って避難先に向かう必要があります。

非常用持ち出し袋の準備として、まずリュックを用意したら、旅行の荷物を準備する感覚で、自宅以外で1泊するときに必要なものを最低限入れてみましょう。

あれこれ詰め込みたくなるかもしれませんが、使わないものを入れて背負いきれなくなっては意味がありません。例えば水は必ず必要なアイテムですが、それだけでも重さがありますし、かさばります。必要なものを見極めて、中身は背負える量だけ入れるようにしましょう。

住んでいる場所や環境によって、災害のリスクは異なります。例えば、火災や浸水のリスクが高い地域では、自宅以外に避難するために非常用持ち出し袋が必要となる可能性が高くなるでしょう。自分が住んでいる地域でどんな災害が起こりやすいのかは「ハザードマップ」で確認することができます。自分にどんな備えが必要かをイメージするためにも、災害のリスクをきちんと知っておくとよいでしょう。

外出時に被災するかも?「防災ポーチ」は常に持ち歩くと安心

仕事中や電車での移動中、外を歩いている時などに被災する可能性もあります。そんな時に困らないよう、普段から必要なアイテムをポーチにまとめて入れて持ち歩いておくと安心です。防災ポーチの中身は、例えば駅で一晩過ごさなければならなくなった場合をイメージして必要なものを用意するとよいでしょう。一例として、冨川さんがポーチに入れて普段持ち歩いているものを紹介します。

冨川さんの携帯ポーチの中身

・スマートフォン用充電器

・お菓子(チョコ、タブレット)

・カイロ

・レスキューシート(防寒用アイテム)

・携帯ライト(キーホルダータイプ)

・ホイッスル

・非常時の連絡先のメモ(家族や友達、会社など)

・携帯トイレ

・デンタルフロス

・マスク

・ばんそうこう

・常備薬

・生理用品

・ビニール袋

・ウェットティッシュ

・ヘアゴム

・家族の写真

案外かさばらず、これだけあっても1つのポーチにおさまっています。化粧ポーチなど、普段持ち歩いているポーチに少し防災用のアイテムを足せば、簡単に災害時に自分を守るポーチを完成させることができるでしょう。また、ポーチに入れるもの以外でも、普段持ち歩いているものが防災時に使えることも。例えばショールはもちろん、バッグに巻いたスカーフも防寒アイテムになりえます。もしものときに何がどのように使えそうか、日頃から知っておくことも大事です。

カイロは防災アイテムとしても持ち歩こう

いざというときに寒さをしのぐアイテムとして役立つのが、カイロです。貼るタイプ、貼らないタイプ、大きさの大小など様々なタイプがありますが、自分が使いやすいものを準備すればOKです。「貼らないオンパックス」は貼らないタイプのカイロで、20時間(ミニタイプは10時間)温かさが持続します。

アイテムは揃えるだけでなく使ってみるのが大切!「防災ピクニック®︎」のすすめ

防災アイテムは揃えておけば安心、というわけでもありません。大切なのは、揃えたアイテムがもしもの時にきちんと使えることです。

例えば、市販の防災セットを買ったはいいものの、中に入っているアイテムを使おうとしたら使い方がわからなかった、そもそも何に役立つアイテムなのか分からなかった、というケースもあります。いざ必要な時に使えないということがないよう、予行練習も兼ねて、使ってみることが大切です。

また、特にお子さんがいるご家庭では、公園に非常用持ち出し袋を持って出かける「防災ピクニック®︎」もおすすめです。非常食にしようと思っているものをピクニックのご飯として食べてみると、色々と気づきがあります。例えば、「普段と違う食べ物は子どもが食べたがらないな」「食べ物は用意していたけど食器を入れ忘れていた」「パンを持っていったら思った以上に飲み物が必要になった」など、やってみなければわからなかったことが見えてきます。イベント感覚で楽しみながら実践して、備えを見直していけるといいでしょう。

取材協力:NPO法人ママプラグ理事 冨川万美さん

東日本大震災の支援を機、に特定非営利活動法人MAMA-PLUG(NPO法人ママプラグ)の設立に参加。現在、理事を務める。自治体や企業などの監修や、セミナー講師を担当。2児の母。
監修書籍に『全災害対応! 子連れ防災BOOK 1223人の被災ママパパと作りました』(祥伝社)、『家族と自分の命をつなぐ最新常識 今どき防災バイブル』(主婦の友社)がある。

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