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猫を飼うときに必要なものを教えてください

猫を飼うときは、猫にとって暮らしやすい環境を整えるためにさまざまな準備が必要です。そこで今回は、猫を迎え入れるときに用意しておきたいものを「必須のもの」と「あると便利なもの」に分けてご紹介します。また、猫を飼うときに理解しておくべき注意点も併せて解説します。これから猫を飼う方や、飼い始めたばかりの方は、ぜひ参考にしてください。

猫を飼うときに用意が必須のもの

まずは猫を飼うときに必須のアイテムをご紹介します。これから猫を迎え入れる方は、次のものを用意しておきましょう。

食器

猫用の食器は食事用と飲み水用の2つを用意しておきましょう。食器の素材は陶器・ステンレス・プラスチックなどがあります。軽すぎる食器はエサを食べるときに動いたりひっくり返ったりするため、ある程度の重量があって安定性が高いものがおすすめです。

また、深すぎると底の方まで食べにくく、浅すぎるとエサがこぼれやすいため、適度な深さのものがおすすめです。ただし、子猫には浅めの食器を選んだ方が食べやすいでしょう。

キャットフード

キャットフードは猫に必要な栄養素が配合された総合栄養食を選びましょう。子猫用・成猫用・老猫用とライフステージによって分かれており、さらにドライタイプやウェットタイプなどの種類があります。迎え入れてすぐの頃は、ペットショップやブリーダーさんのところで食べていたキャットフードと同じものを用意してあげるとよいでしょう。

哺乳瓶・猫用ミルク

生後1ヶ月以内の子猫を迎える場合は哺乳瓶の用意が必須です。まだ固形物を食べられないので、ミルクで育てましょう。猫には牛乳に含まれる「乳糖」を分解する「ラクターゼ」という酵素が不足しているため、牛乳を飲ませるとお腹を壊してしまうことがあります。とくに子猫が下痢を起こすと重症化することもあるので猫専用のミルクを飲ませるようにしましょう。

トイレと猫砂

猫は生後3〜4週間頃から自分で排泄できるようになるため、トイレトレーニングが必要です。猫のトイレはオープンタイプの他に、トイレを覆うようにカバーがついているカバータイプなどがあります。子猫を飼うときは、縁が高くない小さいタイプを選び、成長やライフステージに合わせて買い替えていくのがよいでしょう。

また、猫のトイレは猫砂を敷いて使います。猫砂の素材は主に鉱物・木製・紙製・おから・シリカゲルの5種類があり、それぞれ感触やニオイなどが異なります。猫砂が好みに合わないことが理由でトイレを使いたがらないこともありますので、その場合はいろいろ種類を試してみるのがよいでしょう。

猫用トイレや猫砂の種類に関しては、「猫のトイレにはどんな種類がある? トイレの形状や猫砂のタイプについて教えてください」で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

消臭効果が高いエステーの猫用システムトイレ

エステーのペット用品ブランド「エステーペット」から誕生した「エステーペット 実感消臭トイレ」シリーズ。猫用システムトイレの「実感消臭トイレ本体のスノコ部分には、天然の本格消臭成分である北海道産モミの木(トドマツ)の粉体を配合しているので、消臭効果があります。また、スノコに敷く「実感消臭チップ」やトイレ下部に敷く「実感消臭シート」にもトドマツの粉体が含まれているので、一緒に使えばトリプルで高い消臭効果を発揮します。

また、防汚・防臭抗菌加工のルーフカバーを閉じることでニオイの広がりを抑え、フルオープンに開ければ、ウンチの処理などのお手入れを簡単にすることができます。

ケージ

家の環境に慣れていない子猫も安心して過ごせるようにケージを用意しておきましょう。ケージを使うことで、飼い主さんが留守中の事故を防ぐメリットもあります。

猫用ベッド

猫が安心して眠れる環境を作るためにベッドも用意しておきましょう。猫は狭い場所を好みますので、体がすっぽり入るくらいの大きさがおすすめです。ベッドの素材や硬さはそれぞれ猫により好みが違うので、数種類試すのもいいですね。

キャリーバッグ

病院に連れて行くときやお出かけのときなどに必要なキャリーバッグも用意しておきましょう。災害で避難するときもキャリーバッグが必要です。猫の体長に合わせて選びましょう。また、キャリーバッグの中におやつやおもちゃを置いてみたり、食事をバッグのなかでとれるようにするなど、キャリーバッグに慣れるようにしておくとよいでしょう。

爪とぎ

猫は爪をとぐ習性があるため、爪とぎを用意しておきましょう。猫が爪をとぐのは、古い爪の手入れ、マーキングや緊張をほぐすため、ストレス解消など、さまざまな理由があるといわれています。猫用の爪とぎには、ダンボール、麻、カーペット、木材などさまざまな素材や形状のものがありますので、いくつか試してみて猫が気にいるものを見つけてはいかがでしょうか。子猫のうちから爪とぎを使う習慣をつけておくと壁や家具などを傷つけられる被害を減らすことができるでしょう。

猫用爪切り

猫の爪は鋭いため、定期的に爪切りで切りましょう。猫の爪切りにはハサミタイプやギロチンの中に爪を入れて切るギロチンタイプ、工具にあるニッパーのような構造をしたニッパータイプなど、さまざまな種類があります。爪がやわらかい子猫にはハサミタイプがよいでしょう。音が静かなギロチンタイプは、猫にストレスを与えずに爪切りしてあげられます。

猫を飼うときにあると便利なもの

続いて、猫を飼うときにあると便利なものをご紹介します。猫を飼い始めると同時に必要というわけではありませんが、徐々にそろえていきましょう。

猫用ブラシ

ブラッシングには毛の除去や皮膚のマッサージ、ノミやダニの寄生を予防、スキンシップなどさまざまなメリットがあります。抜け毛対策だけでなく、猫の健康を守るためにも必要なので、猫用ブラシを用意して子猫のうちからブラッシングに慣れさせておくことが大切です。また、長毛種の猫はブラッシングをしないと毛玉ができてしまう場合もあります。猫用ブラシにはさまざまなタイプがありますので、毛の長さや毛質に合わせて選びましょう。

歯磨き用品

猫の乳歯は生後3週間頃から生え始めます。また、生後3ヶ月頃から永久歯に生え変わり、6ヶ月頃には生えそろいます。猫の歯は歯垢が歯石に変わるスピードが速いため、口のケアをしなければ歯周トラブルの原因になります。まずは指に巻いて使う歯磨きシートから始め、慣れてきたら歯ブラシを使い、歯磨き習慣をつけましょう。

消臭スプレー

猫が粗相したときのために、消臭スプレーも用意しておきましょう。猫のオシッコはニオイが強いので、猫専用の消臭スプレーがおすすめです。猫は同じ場所で排泄する習性があるので、トイレ以外の場所でオシッコをしたときは消臭スプレーを使ってニオイを除去しておきましょう。

キャットタワー

猫は上ったり下りたりする運動が好きなので、キャットタワーを用意するといい運動になってストレス解消できます。ただし、子猫や老猫はケガにつながる可能性がありますので、運動レベルやライフステージに合わせた高さのものを選びましょう。

猫のおもちゃ

猫は狩猟本能を刺激するような動くおもちゃが好きです。猫じゃらしやボールなどを用意してあげるとストレス解消になるでしょう。

猫を飼う上で理解しておくべき注意点

猫を飼うときは、いくつかの注意点があります。猫を危険から守るために確認しておきましょう。

危ないものは片付けておく

家の中には人間にとって危険でなくても、猫には危険なものがあります。猫を迎える前に危ないものは片付けて、猫が暮らしやすい環境に整えておきましょう。たとえば猫が電気コードの配線にじゃれついたり噛みついたりすると感電の危険性があります。対策としてはコードにカバーをつける、配線をフックで固定するなどの方法があります。小型の家電など片付けられるものは、できるだけ出しっぱなしにしないようにしておきましょう。

また、猫にとって有毒な植物があります。部屋の中に飾ると食べて中毒症状を起こす危険性があるので注意が必要です。なかでも危険なのがユリ科の植物です。カサブランカ、チューリップなどユリ科の植物を猫が口にすると急性腎不全を起こし、命に関わることもあるので飾らないようにしておきましょう。ユリ科の他にはナス科、ツツジ科、サトイモ科の植物なども猫には危険です。観葉植物ではドラセナ(幸福の木)やポトス、アイビーなどが猫には有毒です。

医療費が高額になる可能性もある

猫が病気にかかったりケガをしたりする可能性がありますが、人間のように公的な保険がないため、医療費が高額になる可能性があります。いざというとき安心して病院に行けるようペット保険を検討した方がいいかもしれません。

窓や網戸はロックしておく

成猫になると窓や網戸を自分で開けられるようになります。窓を閉めていてもロックしていなければ、自分で開けて外へ出てしまうかもしれません。窓や網戸はロックしておきましょう。

お風呂場に入れないようにしておく

お湯を張った浴槽に落ちて溺れてしまう可能性もあります。たとえフタをしていても、飛び乗ったはずみでフタごと落ちてしまうかもしれません。浴槽は事故が心配なので、猫が入れないようにしておきましょう。

猫には有害な食べ物がある

人が食べて何ともなくても、猫にとっては有害な食べ物があります。猫がほしそうな顔をしていると、ついあげたくなるかもしれませんが、猫にとって危険な食べ物もあるので注意が必要です。

猫に食べさせてはいけない主な食べ物を4つ挙げます。この他にも猫にとって食べ過ぎると危険な食べ物がありますので、人間の食事を分けるときは十分に注意しておきましょう。

ネギ類

長ネギや玉ねぎ、ニラ、ニンニク、らっきょうなどのネギ類には、猫の赤血球を破壊する「有機チオ硫酸化合物」という成分が含まれています。猫が口にすると貧血や血尿、嘔吐などの症状を引き起こし、命に関わることもあるので注意が必要です。この成分は加熱してもなくならないため、ハンバーグや肉じゃがなど具材として使われているものを猫に与えないように注意しておきましょう。

チョコレート

チョコレートの原料のカカオに含まれる「テオブロミン」は、嘔吐や下痢、興奮などの症状を引き起こし、重度の場合は死に至ることもあります。同じくカカオを含むココアやココア味のお菓子も猫には有害なので、絶対に与えないようにしておきましょう。

イカ・エビ・カニ・タコ

生のイカ・エビ・カニ・タコには「チアミナーゼ」という酵素が含まれ、猫に必要なビタミンB1を壊す働きがあります完全に加熱処理して酵素を不活性化させたとしても、これらの食材は消化が悪いため、加熱してあるかに関わらず与えないようにしましょう。

カフェイン飲料(コーヒー・紅茶・栄養ドリンクなど)

カフェインが含まれる飲料を猫が飲むと興奮・嘔吐・痙攣などの中毒症状を引き起こすことがあります。テーブルの上に置いているコーヒーなどを猫が舐めてしまうこともありますので、置いたままにしないように注意しておきましょう。

不妊手術を検討する

猫は繁殖サイクルが速いため、特に多頭飼いの場合は避妊・去勢手術も考えましょう。猫の妊娠期間は約2ヶ月で、1回に平均5頭の子を出産します。出産後子猫が離乳する約2ヶ月が過ぎるとすぐに妊娠可能です。また、子猫も生後6ヶ月で繁殖可能になるため、増えすぎてしまう可能性があります。

不妊手術は妊娠を防ぐだけでなく、発情しなくなるため、大きな鳴き声を出すことやマーキングを防ぐ効果もあります。愛猫に手術を受けさせることを不安に感じる方もいらっしゃると思いますが、かかりつけの動物病院に相談して検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

猫を飼うときに必要なものをご紹介しました。迎え入れる日までに必需品を用意して、徐々にあると便利なものをそろえていくと愛猫が楽しく過ごせるでしょう。また、家の中には猫に危険な場所・物があり、思わぬ事故につながる可能性があります。猫が安全に暮らせるように危険なものを置かないよう注意しておきましょう。

監修/小島麻里先生プロフィール

獣医師
マリどうぶつ診療所 院長

酪農学園大学獣医学部獣医学科を卒業後、10年間小動物臨床に従事。
地域密着型の1次病院で経験を積み、東京大学動物医療センターで内科系研修医と並行して臨床研究を行う。
2022年11月マリどうぶつ診療所開院。潜水士およびペット管理栄養士取得。7歳になる保護猫2匹と暮らす。
マリどうぶつ診療所HP

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