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睡眠時の花粉を何とかしたい…。寝室に花粉を入れず、快適な睡眠環境を作るにはどうすればよいですか?

花粉症の人にとって花粉シーズンは、寝つきが悪い、よく眠れない、朝もつらい…など日中だけでなく睡眠時にも悩ましい季節ですね。さまざまな家庭や施設の花粉対策に取り組む掃除のプロの松本忠男さんに、快適な睡眠環境を作るための寝室内の花粉対策をお伺いしました。

帰宅時に家の中に花粉を持ち込まない

花粉は窓やドアからだけでなく、衣類に付いて家に入ってきます。寝室内に花粉を持ち込まないようにするためには、帰宅時に花粉を家の中に持ち込まないようにすることが大切です。

家に帰ったらまず玄関前で、濡れたタオルやウエットティッシュなどを、ポンポンと衣類に押し付け、花粉を取り除くようにしましょう。手やブラシで払い落とすと、舞い上がった花粉を吸ってしまうのでNGです。

またドアを早く開けると勢いよく外気が入ってくるので、開け閉めはゆっくりと慎重にしましょう。

コートなどの上着は、できるだけ玄関にかけて、寝室やリビングには持ち込まないようにしましょう。寝室内で着替えるのも避けた方がよいでしょう。可能ならば、乾燥した浴室で着替えるのがベストです。

加湿器や空気清浄機を上手に活用して

気をつけていても、完全に花粉をシャットアウトするのは難しいでしょう。
加湿器を利用すれば、水分がついて重くなった花粉が床に落ち、部屋に舞い上がりにくくなります。湿度30%では花粉が完全に床に落ちず、下のほうで漂い続ける可能性があるので、湿度50%が目標です。

花粉対応の空気清浄機も有効な対策となります。常に自分の周りの空気を浄化できるよう、移動させながら使うと効果が期待できます。例えば帰宅時は玄関で作動させれば、外から持ち込む花粉を取り除くことができます。夜は寝室に置いておきましょう。

換気は換気扇を使って効果的に

換気は「2カ所の窓を開けて風の通り道をつくる」のが基本と言われますが、花粉の侵入はできるだけ防ぎたいところですね。そんな時は換気扇を使った換気をおすすめします。1カ所だけ窓を開けて空気を入れ、換気扇から外に吐き出すようにしてください。特に、キッチンの換気扇は、非常に強力ですから有効に活用しましょう。

窓を開けるのは30cmほどの幅で十分。そばに空気清浄機を置けば、花粉が漂う外気を窓際で浄化してくれるので、さらに万全な対策となります。

掃除機は優しく 布団に付いた花粉は粘着テープで取り除く

寝室の花粉対策には、こまめな掃除も重要です。しかし、掃除のやり方次第では花粉を空気中に漂わせてしまうので注意してください。花粉の粒子の大きさは30μm(マイクロメートル)程度と、ホコリ(100μm程度)の3分の1しかないので、小さな力でも舞い上がってしまうのです。

フローリングを拭き掃除する場合、乾拭きが基本です。水拭きだけで済ませると、花粉が水分に混じって、かえって広げてしまう可能性も。また、ぐるぐる、ごしごしとこするような拭き方も、花粉やホコリを広げてしまいます。フロアモップなどでさっと一方向に拭き取りましょう。

掃除機を使う場合、床へ押し付けて乱暴に動かすと、周りの花粉を舞い上げてしまう可能性があります。ノズルをやさしく当て、静かに吸い込むイメージでかけましょう。
もっとも確実に花粉を取り除けるのは粘着テープです。寝室のカーペットやふとんなど、花粉が付いていると睡眠中に吸い込んでしまうような場所は、ローラータイプのテープなどで掃除しましょう。

「睡眠時の花粉対策」についてさらに詳しく知りたい方は、花粉対策ガイド「知っておきたい花粉と睡眠のはなし」をご覧ください。

取材協力:健康を守るお掃除コンサルタント 松本忠男さん

フロレンス・ナイチンゲールの著書「看護覚え書」に共感し、35年間、病院の環境衛生に携わる。亀田総合病院のグループ会社で清掃管理者として約10年間、現場のマネジメントや営業に従事。1997年、医療関連サービスのトータルマネジメントを事業目的として、(株)プラナを設立する。これまで現場で育ててきた清掃スタッフの総数は700人以上。
2019年1月からは、中国の深圳市宝安区婦幼保健院(1000床病院)の環境整備を指導するなど、活動の場は海外にも広がる。花粉症対策をテーマとしたテレビ出演、女性誌への掲載多数。(株)プラナ代表取締役社長、ヘルスケアクリーニング(株)代表取締役社長。

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