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「森林の空気はキレイ」だといわれますが本当ですか?

「空気がキレイ」と聞いて、みなさんがイメージする場所といえば、自然豊かな森林ではないでしょうか。そんな森林では、ビルが立ち並ぶ都市部で失われてしまった、汚い空気を浄化するメカニズムが、しっかりと働いています。エステーで「機能性樹木抽出成分」を活用した「クリアフォレスト」事業を担当するビジネス開発事業部の奥平壮臨が、森の樹木の働きや最新の研究などについて詳しくお答えします。

都市部の「空気が汚い」といわれる理由

森が空気をキレイにしてくれるメカニズムを紹介する前に、都市部などでよくいわれる「空気が汚い」とはどういうことなのかをご説明します。

世界保健機関(WHO)は、大気汚染物質とは「粒子状物質、一酸化炭素、オゾン、二酸化窒素及び二酸化硫黄」と定義しています。この中でも特に発生量が多いものが、物を燃やすことで発生する二酸化窒素です。燃焼により発生し、空気中を漂うなかで太陽光(紫外線)にさらされると、光化学スモッグの原因物質に変わったり二次生成粒子(PM2.5)に変化し、発がん性を有するようになります。

この二酸化窒素は、人体に入ると呼吸器疾患などの原因になります。また、世界中で年間約700万人が大気汚染により亡くなっていると、2018年にWHOが発表しています。その原因は工場や自動車から出る排気ガスなどによる屋外の大気汚染だけでなく、家の中で炭や薪を燃やして料理をする家庭が多い国においては、屋内で二酸化窒素をはじめとする大気汚染が起こってしまうということも報告されています。

空気をキレイにする森のメカニズム

こうした世界中で発生し続ける大気汚染物質が地球全体を覆い尽くしてしまわないのは、森が空気をキレイにしているからです。では、なぜ「森の空気はキレイ」なのでしょうか? それは、木が自分自身を守ろうとする自然の浄化メカニズムが働いているからなのです。

二酸化窒素は酸化作用が強いため、人だけでなく木にとっても有害で樹皮に付着すると酸化が進んでしまいます。そのため、木は自分自身を守るために葉っぱから揮発性の成分を放出して、二酸化窒素を寄せ付けないようにしているのです。

この成分の正体は樹木の香り成分で、「フィトンチッド」と呼ばれることもあります。空気中を漂う二酸化窒素に木が放出した香り成分がくっつくと大きな粒子となり、地面に落下します。土に落ちた二酸化窒素はバクテリア等により生分解され、窒素化合物へと変わり、最後は森林の栄養になります。こうして森はきれいな空気を保っているのです。

世界中で注目される森のパワー

森に関する研究は世界中で進められ、森の持つ力が少しずつ解明されてきています。

そんな森のパワーを積極的に取り入れているのがドイツです。「クナイプ療法」と呼ばれる水や植物を使った自然療法が浸透していて、ストレス低減に効果がある森林療法も含まれています。ストレス値が一定以上の患者には森林浴に医療保険が適用されるほど、一般的な治療法となっています。

日本でも2006年から「特定非営利活動法人 森林セラピーソサエティ」により、リラックス効果など医学的効果が実証された森を「森林セラピー基地」として認定(全国63カ所)。森林散策のメニューを提供するなど、森を活用したさまざまな活動が展開されています。

「森の空気」を生活空間に

エステーグループの日本かおり研究所と国立研究開発法人森林研究・整備機構は、森の香り成分に注目し、日本中の森の空気を集めて分析しました。その結果、北海道のトドマツという樹木の空気浄化作用が、特に高いことがわかったのです。
さらに、研究を進めていくと、トドマツから抽出した成分には、空気の浄化作用以外に、抗酸化作用、ストレス低減効果、花粉抗原のアレルギー性低減効果など、様々な効果が発見されました。
エステーでは、独自の技術で抽出したトドマツの「機能性樹木抽出成分」を活用した製品として、クルマ用の空気浄化剤を発売しています。今後もさまざまな生活空間の「空気の質」を改善する製品を開発していきます。

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