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食材の傷みやにおいを防ぐ、賢い冷蔵庫での保存方法を教えてください

お肉や魚、野菜などの保存に冷蔵庫は欠かせません。しかし、中には長い間入れておくと、傷みやすくなったり、においを出したりする食材もあります。特に注意したい食材と冷蔵庫へしまうときに気をつけるポイントを、食品の保存や加工方法に詳しい徳江千代子さんに聞きました。

暖かい地域で作られる夏野菜は、低温障害に注意

熱帯や亜熱帯などの暖かい地域で育つ夏野菜や果物は、冷蔵庫へ入れたままにしていると、低温障害を引き起こすことがあります。低温障害とは、冷蔵保存に向かない食材を入れたときに出る障害です。果皮に黒変が出たり、表面が斑点状に陥没したり軟化や腐敗したりします。

熱帯・亜熱帯地域で育つ主な作物は、野菜ではキュウリ、トマト、ナス、オクラ、生姜、サツマイモ等、果物はバナナ、パイナップル、パパイヤ、レモン、マンゴー等があります。

2〜3日冷蔵庫に入れるだけなら大丈夫ですが、キュウリやナスなどは、1週間も経たないうちに傷みが出てきます。もし、まとめ買いをしたりしてすぐに食べられないときは、それぞれの食材を一つずつペーパータオルで包んでおきましょう。
野菜や果物は、呼吸をしながら水分を蒸散しています。裸のまま置いておくと水分が抜けて品質が落ちますが、ペーパータオルで包むことによって蒸発を防いでくれます。さらにビニール袋に入れておくと、保湿効果がより高まります。
ちなみにバナナ等の果物類は、2〜3日常温で置いておいて、食べきれないときは皮をむいた状態で、一本ずつラップに包んで冷蔵庫に入れておきましょう。

また、低温障害を起こしやすい食材は「冷蔵室」ではなく「野菜室」へ。冷蔵室は3℃前後ですが、野菜室は5〜10℃前後で、冷えすぎを防いでくれます。

エチレンガスを出す食材はペーパータオルで密閉

「エチレンガス」を出す食材も保管に注意しましょう。野菜や果物の成長・老化を早めます。
エチレンガスを出す食材には、リンゴ、ブロッコリー、アボガド、メロン、レモン、青梅等があります。これらを、他の野菜や果物のそばに置くと、成長が進んで、傷みが早くなってしまいます。

そこで、エチレンガスを出す食材もペーパータオルに包んで保管しましょう。さらにラップやビニール袋などで密閉すれば、他の食材への影響を防ぐことができます。特にキュウリや白菜、サヤエンドウ、パセリ、キウイ等は影響を受けやすいので、注意してください。

においが強い食材は、広がらないように工夫する

ニラ、ネギ、ラッキョウ、ニンニク、玉ネギ等を使いかけのまま入れていると、アリシン等、アリル化合物のにおい物質が拡散して、冷蔵庫内が一気に臭くなります。
さらに、においは他の食材にも移ります。特に牛乳などはにおいを吸収しやすいので、冷蔵庫内でにおいが広がらないよう注意が必要です。

においを完全にシャットアウトするのは難しいですが、食材をラップなどで包み、密閉できる容器にしまえば、少し抑えられます。私は一度には使い切れない薬味用のネギなどは、買ってきたら最初に全部刻んで、ラップで包んでからタッパーに入れて保存しています。容器へのにおい移りも防げるのでおすすめです。

肉や魚も新鮮なうちはにおいませんが、何日も置いているとにおいが出てくるので、基本的に買い置きは避けましょう。すぐに使わないときは、ペーパータオルで水分を取って、一枚ずつサランラップで包みます。冷蔵保存する場合、凍らせた保冷剤などと一緒に保存すれば、劣化を遅らせることができます。

冷蔵庫の保存に活用したいアイテム

炭の力で強力に庫内のにおいを脱臭する「脱臭炭 冷蔵庫用」は、冷蔵庫保存の強い味方。キムチ臭やニンニク臭に効果的な新処方を採用し、脱臭力がさらにアップしています。また、野菜室にはエチレンガスを吸着する効果がある「脱臭炭 野菜室用」がおすすめです。

冷蔵庫内はこまめに掃除を

冷蔵庫内に食材からでた水分が残っていると微生物が繁殖して不衛生なので、庫内はこまめに掃除をしましょう。私は、乾いたペーパータオルなどを使って毎日冷蔵庫内全体をサッと拭いています。冷蔵室も野菜のカスや土があったら都度きれいにしておけば、わざわざ時間をかけて掃除をする必要もありません。

取材協力:徳江千代子さん

プロフィール:
東京農業大学元教授・博士(農芸化学)。「食品の保存・加工における多様な食品機能」を主なテーマに研究を続ける。また、野菜や果物の成分、栄養、保存方法、食品の賞味期限や保存方法等に詳しく、近著に「もっとおいしく、ながーく安心 食品の保存テク(朝日新聞出版)」がある。ほか、食品に関するコメンテーターとしても活躍中。

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