季節のくらし

冬アウターのお手入れ術 クリーニングのプロが教える汚れ・ニオイ対策

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冬のアウターは、手軽に洗うのが難しい分、汚れや湿気をため込みやすい衣類です。一見きれいでも、放置すればニオイやカビ、生地の傷みにつながります。そこで、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会の会長で、自身もクリーニング店を営む野澤勝義さんに、家庭で無理なく続けられるケアの方法を聞きました。

アウターの寿命を縮める「落とし穴」

アウターにチリやホコリが付いても、食べこぼしなどと比べて目立ちにくく、また肌着などのように手軽に洗える衣類でもありません。そのため、帰宅後そのままクローゼットへしまったり、リビングの椅子の背に掛けたり、ソファーや床の上に“ちょい置き”のまま放置……なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そうした習慣が、アウターの寿命を縮めることにもなりかねません。

一見きれいに見えるアウターでも、目に見えないチリやホコリは必ず付着しています。さらに寒い時期でも、知らず知らずのうちに私たちは汗をかいており、湿気が生地の内部にこもりがちです。気づかぬうちに蓄積された汚れは、やがてニオイやカビ、生地の傷みを引き起こします。

手洗い・うがいをするように、家に帰ってすぐにひと手間をかけることが、お気に入りのアウターを長持ちさせることにつながります。

アウターを老けさせる『見えない敵』の正体

①目に見えない「チリ・ホコリ」

「目で見えない=汚れていない」と考えがちですが、アウターを着て外に出れば、目に見えないチリやホコリの付着は避けられません。こうした微細な汚れは、カビや虫などにとって格好のエサになります。アウターに付着したままクローゼットへ入れることで、チリやホコリがクローゼット内に溜まり、カビや虫食いが発生しやすくなる場合もあります。

②冬特有の気づきづらい「汗と皮脂」

厚着に加え、暖房の効いた電車や室内で、体はじんわりと汗をかいています。冬の汗は、気づかないうちに蒸発することも多くあります。そのため自覚されにくい一方で、汗や皮脂は生地にそのまま残ってしまいやすくなります。

③逃げ場を失った「湿気」

汗や雨、あるいは日々のお手入れで使用した衣類用消臭スプレーの水分が乾かぬまま収納されると、アウターは内部に湿気を抱え込んだ状態になります。帰宅後、脱ぎっぱなしの状態で空気が通らないまま放置するといった習慣は、衣類から湿気を逃がす機会を失わせる行為。この湿気も、カビ発生の原因になりえます。

カビの怖さは、「1着の被害に留まらない」点にあります。湿気と汚れを帯びた衣類が密閉空間に置かれると、カビの胞子が飛散し周囲の衣類へ付着します。手入れの悪い1着があるだけで、隣の衣類、さらにその隣へとカビが広がる可能性があります。

アウターを守る、帰宅後のケア

1.素材別「傷めない」ための基本ケア

アウターは素材によって性質が異なり、同じ手入れが正解とは限りません。

・ダウンや化繊素材(ナイロン、ポリエステル)

手で払ったり軽く叩いたりするケアが向いています。特にダウンは帰宅後、ハンガーにかける前に肩の部分を持って「10回ほど大きく振る」習慣をつけましょう。

これだけで、表面のチリが落ちるだけでなく、内部で固まった羽毛がほぐれて位置が均等に整い、空気を含んで保温性が回復します。羽毛の偏りを防ぎ、ふっくらとしたボリュームを保つこのひと手間が、大切です。

・起毛素材(ベロア、ムートンなど)

デリケートな素材なので、ブラシをかけることが傷の原因になる場合もあります。綿などの柔らかい清潔な手袋をはめて軽く払う、優しくなでる程度にとどめ、毛並みを整えます。

・ウールなどの毛素材

チリやホコリ、花粉が付着しやすい素材。やわらかいブラシで、繊維の奥の汚れをかきだすように丁寧にブラッシングするのが効果的です。

2.ブラッシングは表面を整えるように

目安は3分。衣類用ブラシを使い、しっかり時間をかけて全体を軽く払います。まずは下から上へ、繊維の奥に潜んだチリを浮かせるように。仕上げは上から下へ、毛並みを整えるようになでていきます。

プロのクリーニング現場でも、仕上げの毛並み揃えは欠かせません。毛並みが乱れたままだと、繊維のすき間にチリやホコリが入り込みやすくなるからです。表面をなめらかに整え、「汚れが入り込む隙間をなくす」意識が大切。肌と直接触れて毛並みが乱れやすい襟、袖口、ポケット口は、特に念入りにブラッシングしましょう。 道具選びも重要です。硬すぎるブラシは生地を傷めますので、素材に合った良質なブラシを選ぶことも忘れずに。

3.「ハンガー選び」で差がつくアウターの寿命

チリやホコリを落とした後は、必ずハンガーに掛けます。針金やプラスチックなどの細いハンガーは、型崩れの原因になるので、肩部分に厚みのあるハンガーを使いましょう。

また、ポケットの中身は必ず出します。携帯電話や小物が入ったまま吊るすと、その重みで一部分だけが引っ張られ、型崩れを招きます。

4.雨に濡れたらドライヤーも有効

ブラッシング後は、湿気を逃すために風通しのよい場所で陰干しをするといいでしょう。ただし、近年の日差しは想像以上に強く、色あせや生地の劣化を招くため、外でなく室内で構いません。

雨に濡れたり、湿気を多く含んだ状態で帰宅した場合は、ドライヤーの活用も有効です。風を当てて水分を飛ばすだけで、乾きは格段に早まります。髪を乾かすのと同じくらいの温風を衣類に使っても問題ありません。ただし、同じ箇所に長く当てないようにしましょう。

5.ニオイ対策は、手軽なスプレータイプも上手に活用

飲食店などで付いたタバコや油のしつこいニオイには、スチームの力も有効です。衣類スチーマーやアイロンのスチームの熱と蒸気が、ニオイの軽減にも役立ちます。

より手軽で取り入れやすいのが、衣類用消臭スプレーの活用です。使用方法や適量を確認して使用しましょう。

使用後も“すぐにしまえる”衣類用消臭スプレー

衣類用消臭スプレーは便利な反面、湿ったまま収納すると、ニオイやカビの原因になることも…。そんな不安に応えるのが、「消臭力 NOTE 衣類用スプレー」。スプレー後も衣類が湿りにくいドライタイプで、使用後すぐに着用したり、クローゼットにしまえるのが特長です。帰宅後のケアに取り入れやすい一本です。

6.クローゼットにも「風」を通す

最後はアウターの最適な保管環境を整えることです。クローゼットには衣類を詰め込みすぎず、衣類同士にすき間を持たせることが大切です。週に1回は扉を開け、しっかり換気しましょう。除湿剤の使用も効果的です。

帰宅後のケアと、湿気をためない保管環境。この両輪がそろってこそ、アウターはきれいに、長く着続けられます。

取材協力:全国クリーニング生活衛生同業組合連合会

全国クリーニング生活衛生同業組合連合会は、厚生労働省の所管する「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律」に基づき、1958年(昭和33年)に設立されました。クリーニング業界唯一の法定団体として、国民の生活衛生向上、消費者保護(利用者擁護)等について、業界全体の指導に当たっています。また、都道府県ごとにクリーニング生活衛生同業組合が組織されています。
全国クリーニング生活衛生同業組合連合会HP

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