季節のくらし

その不調、腸の冷えが原因かも? 日々のルーティーンで取り組む腸温活

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食べ物と温活で腸内細菌を活性化

最近、体調がすぐれないと感じることはありませんか? もしかしたら、それは「腸の冷え」が原因かもしれません。腸が冷えると、便秘や肌荒れ、免疫力の低下など、さまざまな不調につながる可能性があります。
腸を健康に保つには、食べ物や運動が大切。さらに、冷えている方の場合は外から物理的に温める必要もあります。冷え研究の第一人者である神奈川歯科大学大学院統合医療教育センター特任教授の川嶋朗先生に、腸を冷やさず、温めるコツを教えていただきました。さらに、健康につながる日々の具体的な習慣もご紹介します。
プロフィール

プロフィール

神奈川歯科大学大学院統合医療教育センター特任教授
川嶋朗さん
北海道大学医学部医学科卒業。東京女子医科大学大学院医学研究科修了。ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院、東京女子医科大学などを経て現職。自然治癒力を重視し、近代西洋医学と補完代替医療を統合した医療を日本の医療系の大学で実践中。冷え研究の第一人者で、また「よりよく生きる」「悔いのない、満足のいく人生を送る」ための心得として、「自分の理想的な死とは何か」を考えるQOD(クオリティ・オブ・デス=死の質)の提唱者。主な著作に『心もからだも「冷え」が万病のもと』(集英社新書)、『原因不明のカラダの不調は温熱で驚くほど改善する』(評言社)、『どうせ一度きりの人生だから』(アスコム)、『60歳から体温を「0.5度」アップする健康法』(Hanada新書)
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腸内環境を改善するには食べ物から! 自分の状態を知るには便をチェック

近年、腸内環境は全身の体調や免疫、精神にも関係あることが分かっています。善玉菌や悪玉菌といった腸内細菌のバランスが悪くなると、体中に悪影響が出てしまいます。そこで、腸内環境を整えるキモを知っておきましょう。

腸内環境をよくするには、食べ物に気を付けることが第一です。食べるものによって、体によい働きをする善玉菌と体に悪い影響を及ぼす悪玉菌のバランスが変わるので、発酵食品などに含まれる菌そのもの(プロバイオティクス)や、善玉菌が活性化するような成分(プレバイオティクス)を含む食品を選ぶ必要があります。善玉菌を活性化させるのは、消化されずに腸まで届き、善玉菌のエサとなるもの。一部の食物繊維や、オリゴ糖、根菜類などが該当するので、不足しないようにバランスよく摂りましょう。また、体を温めてくれる筋肉の元になるのがたんぱく質です。こちらもよく噛み、適量を摂るようにしましょう。

ただし、動物性たんぱく質は臭いおならの原因になりがちです。いくら体に良いものでも、食べすぎは禁物です。

今食べているものが適切かどうか見極めるには、便の状態を確認するのが簡単です。毎日便通があり、硬過ぎず、柔らかすぎないこと。また、匂いに異変がないか、おならが増えていないかなど、日々チェックしましょう。便秘や下痢、腐敗臭などは、腸内環境が悪化しているサインです。

食べ物だけでなく温めるのも効果的!

腸内環境を整えるには、食べ物だけでなく温度も大切。同じ食事を摂っていても、お腹が冷えていると便通が悪化する場合があります。

腸が冷えると、腸内の動きが悪くなります。具体的には、血流が悪くなり、同時に腸内細菌のバランスも悪くなります。そのために便が滞留して悪玉菌が増え、悪玉菌の作った毒素が血液中に入って体を巡る可能性もあります。

腸を冷やすのは、まさに冷たい食べ物や飲み物。「飲み込む前に口の中で温めれば大丈夫」と思うかもしれませんが、冷たいものを口に入れた瞬間に、腸の血管が収縮することがわかっています。

一方、腸を温めると、血流がよくなり、腸内細菌にとって快適な環境になります。適切な食事を摂り、冷やさない(温める)ことが大切です。

毎日のルーティーンで腸温活

腸内環境のためには、毎日の習慣が大切。まずは朝や夜の腸温活をルーティーン化して、腸を整えていきましょう。

朝食で体内の副時計をリセット!

健康的な生活を送るには、体内時計を崩さないことが大切です。実は、腸も体内時計の機能を持っており、朝食を摂ることでリセットされます。腸の状態を整えるために、毎朝、体内時計をリセットしましょう。

たくさん食べる必要はありませんが、卵や魚などがバランスよく摂れる和食がお勧めです。特に卵は、忙しい朝食にも取り入れやすく、アミノ酸のバランスに優れています。炭水化物などの糖質は、エネルギー源となるので摂ったほうがいいでしょう。もし血糖値が気になるなら、食物繊維、たんぱく質、糖質の順に食べれば血糖値の乱高下を抑えられます。食物繊維を豊富に含む野菜は、体を冷やさない温野菜で摂りましょう。果物は体を冷やしがちですが、ビタミンやミネラルが豊富です。おなかの調子に合わせて取り入れてください。

日中は体を動かして腸を温めよう

健康の大原則は、食事、運動、休養(睡眠)です。そのためにも、日中はできるだけ体を動かすようにしましょう。特別な時間を作らなくても、洗濯物を干すときに1枚1枚しゃがんでカゴから取る、家事は基本的につま先立ちをして行うなどもよいでしょう。通勤時に自動車を使わず電車など交通機関を利用し、さらにできるだけ階段を使うなど、小さな心がけで運動習慣を身に付けられます。

運動をすると、筋肉が増えるため熱がつくられ、体温が上がります。体温が上がると腸の血流がよくなるので、腸温活に繋がります。

お腹の冷えをチェックするには?

日ごろからお腹が冷えていると感じる方は、腸を冷やさないだけでなく、温める必要があります。お腹の冷えをチェックするには、布団に入ったままわきの下に手を入れて温度を感じ、その次にお腹に手を当ててください。お腹のほうが低い温度だと感じたら、起きてすぐにカイロや腹巻きを使って物理的に温めましょう。

夜は軽い食事とぬるめのお風呂

夜の食事も、基本的に朝と同様にバランスよく食べましょう。ただし、夜の食事はボリュームが多くなりがちです。できれば一日のうち、夜の食事量を最も少なくするのが理想的です。また、ビールなどの冷たいものも、日常的に摂るのは控えましょう。

腸温活としてお勧めなのは、寝る直前のぬるめのお風呂です。質の高い睡眠のためには、寝る前に体温を上げ、速やかに下げる必要がありますが、熱いお風呂に入ると逆に体温が下がってしまう可能性があります。38~40度くらいのぬるめのお湯に10~30分ほどつかって適度に温まり、お風呂から出たら早めに床に就きましょう。体を冷やさないために、洗い場と脱衣所の室温を適温にしておくのも忘れないでください。

時間がある週末にも腸温活を

比較的、時間に余裕のある週末。その間に取り組みたい腸温活をいくつか紹介します。できれば毎週の習慣にして、無理なく続けていきましょう。

運動で体温の高い体に

平日の運動に加えて、週末はほんのり汗をかくような少しきつい運動がお勧めです。大股早歩きのウォーキングなどで体温を上げ、腸の血流をよくしましょう。

余裕のある方は、筋トレも取り入れたいところです。筋肉量が増えると代謝がアップして冷えの症状が改善します。無理せず、少しずつ負荷を増やせると理想的です。筋肉量が増えるほどでなくても、筋肉を維持するのに役立ちます。

筋トレした後にウォーキングをすると、脂肪の燃焼に効果的です。運動を継続することで、体質改善につながります。

ゆったりと入りたい低温のミストサウナ

時間のある時には、サウナで体を温めるのもよいでしょう。ただし、高温のサウナは交感神経を優位にして血管を収縮させるので、体が冷えている人には逆効果になる可能性も。また、体温調節にエネルギーを使いすぎるので、体の不調を感じている人は控えてください。サウナはあくまでも、健康な方が体に負荷をかけ、鍛えるためのものと考えてください。

お勧めなのは40度くらいの低温ミストサウナです。温泉に入る場合も同様で、熱いものよりぬるめを選んでください。体の負荷がかかりすぎないよう、ゆったりと温めましょう。

外食時にも温かいものを選び、濃い味付けに注意

週末に外食する人も多いかもしれません。外食時は栄養バランスが崩れがちなので、より気を付けて選びたいもの。基本的には普段と同じですが、まずは簡単にできることとして、温かいものを選びましょう。「冷たいそばより温かいそばにする」など、工夫してください。さらに、食物繊維が摂れる野菜をサイドメニューなどで選ぶとベターです。

また、濃い味付け、塩分過多は腸だけでなく全身に悪い影響があるので注意が必要です。むくみの原因にもなり、その結果血管を圧迫して血流を悪くします。血流が悪いと、やはり腸に悪影響が生じます。濃い味付けのものは量を少なくするといった心がけが必要でしょう。

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