1.時間の工夫
1.朝の時間を有効活用。朝ごはんをしっかり食べる
巣ごもり生活でもリズムを崩さないよう、規則正しい生活を心がけている方は多いはず。私たちの体内時計は1日24.5時間周期で動いているので、放っておくと夜型の生活になってしまいます。ぜひ朝はいつもどおりの時間に起きるようにしてください。
通勤・通学の時間がない分の時間的な余裕を大切にしましょう。おすすめは、いつもよりしっかりした朝ごはんをつくって、家族で朝食を食べること。お昼の分もつくってお弁当にしておけば、メニューを考える気苦労や、何度もキッチンに立って料理する手間が省けます。
朝、炭水化物とタンパク質をとることで、体内時計がリセットされ、朝型の生活が維持できると言われています。ご飯に焼き魚、作り置きしていた煮物など、巣ごもり生活のときこそバランスのよい朝食を。
2.親子の時間割をつくる
この機会に在宅ワークになった方は、モチベーションを保つ大変さを感じているのではないでしょうか。リラックスするはずの自宅で、オン・オフをきっちり切り替えるのは難しいもの。休校で学校に通えない子どもは、なおさらダラダラ過ごしてしまいがちです。
そこで、親子で同じ時間割をつくり、一緒にオン・オフを切り替えてはいかがでしょうか。朝9時に仕事と勉強をスタート、45分経ったら5分休憩、といった具合です。小さい子どもには、その間にどこまで勉強するか、具体的な目標を決めてあげましょう。
時間の切り替えには、チャイムの音で時間管理できるスマホアプリがおすすめ。子どもは学校気分が味わえますし、大人も学生時代のスイッチが入って仕事がはかどるかも!?
3.子どもと関わる時間を意識してつくる
子どもは学校で過ごしている間、先生や友だちと常に接しています。巣ごもり生活のなかでも、人と関わる時間が必要です。
約束の時間以上にテレビやスマホの動画を見たり、ふだんは言わないダダをこねたりと、親がしてほしくないことをするときは要注意。自分に注意を向けてほしいという、子どものサインかもしれません。
そんなときは、夕食を一緒につくるなど、ぜひ家事を子どもにも手伝ってもらってください。子どもは、いつも忙しいお母さんを手伝いたいと思っています。調味料の分量を測ったり、野菜を切って分数を学んだりと、勉強にもなるので一石二鳥です。
ここでも通勤・通学がなくなった分の余裕を使って、「自分でやったほうが早い」と思うこともあえて手伝ってもらい、子どもと接する時間をつくってはいかがでしょうか。
一緒に遊ぶときは、カードゲームやすごろくなど、競争の要素を入れると親子で熱中できます。
4.「ひとりの時間」を決める
大切な家族でも、ずっと一緒にいれば不平や不満、モヤモヤした気持ちがたまるのは当然。ふだんは職場や学校など、別々の時間で家庭のストレスを解消できますが、巣ごもり生活ではそれも難しいですね。
家族全員に、ひとりの時間が必要です。ルールを決めて、「ママ時間」「パパ時間」「子ども時間」をつくりましょう。「今から00時まではママ時間!」と宣言してみてください。その時間の間は、邪魔をせずひとり自由に過ごせるよう、家族に協力してもらいます。
ママがはじめに実践することで、「パパ時間」「子ども時間」もつくりやすくなります。
2.コミュニケーションの工夫
続いて、「コミュニケーション」のコツをご紹介します。四六時中顔を合わせて暮らすパートナーや子どもと上手に付き合うためにはどうしたらいいのでしょうか?
5.お願いとありがとうの理由を伝える
「夫も家にいるはずなのに、料理も掃除も私ばっかり!」など不満がたまっていないでしょうか? 「負担は夫婦で分け合うべきでしょ」と説得したり、「あなたも家事やりなさいよ!」と責めたてれば、しぶしぶ動くかもしれませんが、家庭の空気は悪くなります。
人を動かすコツは、「甘えて、おだてて、感謝して!」。お願いする理由を伝えて、具体的に感謝の言葉を伝えること。
「なんだか今日はつかれちゃった~、手伝ってほしいなぁ」(甘えて)
「すごい!あなたが洗ってくれるお皿ってピカピカね。コツ教えてほしいわ」(おだてて)
「もう、掃除終わったの?さすが~早い!ありがとう!」(感謝して)
家族同士でも、気持ちは口に出さなければ伝わりません。裏を返せば、思っていないことを言うと相手にわかってしまいます。
「でも、ウチの人は家事が苦手で…」という方は、マイナスばかりに注目せず、プラスの面に目を向けてみてください。そして、プラスの気持ちを乗せて言葉にすることが大切です。
6.やりづらいときはゲーム化する
そうは言っても、急にやさしくお願いしたり、感謝の言葉を伝えるのは恥ずかしくもあり、気後れしてしまうかもしれません。そんなときには、お互いを褒める「ゲーム」をやってみましょう。
「パパ、ユーモアで私を楽しませてくれて、ありがとう!」
「ママのカレーライスはおいしいね。会社の近くで食べるランチよりずっと楽しみだよ」
「〇〇ちゃん、とにかくかわいい!!」
産業カウンセラーの企業研修でも、お互いを褒める時間をつくって、個人の良いところを見つけて伝えるトレーニングがあります。実際にやってみると、確実にモチベーションは上がり、その後の営業にも大きく影響します。
家事をはじめ、家庭での仕事はやって当たり前に思われがちで、褒められることが少ないもの。ポジティブな言葉をかけあうだけで、新鮮さも相まって空気が良くなります。
7.空気が険悪な状態を口に出してみる
どんなに気をつけていても、家庭の空気が悪くなることはあります。ギクシャクしているとをみんながわかっていても、打開するのは難しいものです。
おすすめは、「いま空気が悪いから、変えよう!」とずばり言ってしまうこと。お互いが不平不満を抱えた状態から、家族全員が、家庭の空気を良くするという共通の目的へ向かうことができます。
3.メンタルの工夫
メンタル面を健全に保つためには「自分の心をしなやかにすることが大切」です。考え方、心の持ちようについて、具体的にご紹介します。
8.「しかできない」→「ならできる」と置き換える
不安や不満がつのると、マイナス思考から抜け出せなくなってしまうことがあります。ふだんと違う状態のときほど、「両面思考」で物事のプラスとマイナスを冷静に評価することが大切です。
コツは心の声を変えてみること。例えば、「〜しかできない」は「〜ならできる」に、「〜であるべき」は「〜であるにこしたことはない」に変えてみてください。
「在宅で一人でやる仕事しかできない」→「オンラインの会議ならみんなで仕事できる」
「こまめに掃除して部屋をきれいにするべき」→「きれいな部屋にこしたしたことはない」
できないこと、あるべき姿にこだわらず、自分にできることに目を向けると肩の力が抜けます。しなやかに考えることが、とても大切です。
外出自粛の中でも、ジョギングやウォーキングはできます。私もウォーキングのほか、家でも掃除や洗濯で少し大げさに手足を伸ばすなど、運動量を増やす工夫をしています。
9.感情の正体を明らかにする
ストレスのたまりがちな巣ごもり生活では、いつも以上にイライラ、ドキドキしたりと、感情が不安定になることもあるでしょう。なぜ、そんな気持ちになるのか、自分を見つめ直して原因を考えてみてください。
「勉強しない子どもにイライラする」→
「どうしてこんなにイライラしているんだろう?」→
「勉強して成績のいい子に育ってほしいのか?これって私の欲?」→
「本当に私が一番大事なのは何?」→
「健康で元気に育ってほしい」→
「親の言うことをきかないからイライラするんだ」
背景には、「親の云うことはきくべき」という考え方があります。
「私が望むように子どもが行動がしてくれるに越したことはないけれど、私も親の言うこと聞かなかったよね」と考えれば、気持ちが楽になるでしょう。
自分のことはよくわかっているつもりでも、実は感情はブラックボックス。事実以上に物事を悲観的に考えたり、反対にリスクを楽観視しすぎてしまうことがあります。
ポイントは思考のクセを知り、補正すること。マイナス思考に陥りがちな方はプラス方向に考えられないか、感情を見つめ直してみてください。
10.自分で変えられないことで悩まない
家族に不満がたまるのは、パートナーや子どもが「こうあってほしい」と自分が願うからです。同じようにパートナーや子どもも、自分に対する願望があるはずですが、それを100%叶えるのは難しいのではないでしょうか? 他人を変えることはできないのです。
どうにもならないことではなく、自分が変えられることに時間を使うべきです。家族や自分のあるべき姿に固執せず、今できることに精いっぱい取り組みましょう。
パートナーへの不満が大きくなったら、好きだったところを思い出してください。「この人と家族になりたい!」と思った何かが、自分の中にあるはず。自分の本当の感情をみつめなおし、考え方がプラスに傾き、家庭の空気を良くすることにつながります。
まとめ
田中さんいわく、「家庭の空気を良くするのは主婦しかいない!」。長い外出自粛にはストレスがありますが、冷静に考えれば家族でできることはたくさんあります。巣ごもり生活は自分自身や家族との関係を見つめ直す機会にもなります。必ず訪れる感染症収束の日まで、肩の力を抜いて、しなやかに毎日を工夫していきましょう!