季節のくらし

新生活応援!意外に汚い? こんな場所 引っ越し前後の大掃除をサポート!

1.キレイな家を保つコツ

新生活が始まる春は、引っ越しをする人も多いでしょう。新居は、使い始める前にきちんと掃除しておきたいもの。特に水回りは、日々の汚れが積み重ならないように気を付けたいポイントがたくさんあります。家事研究家の髙橋ゆきさんに、快適な暮らしをスタートするためのお掃除のコツをお聞きしました。
髙橋ゆきさん
株式会社ベアーズ 家事研究家
髙橋ゆきさん
プロフィール
髙橋ゆきさん

プロフィール

株式会社ベアーズ 家事研究家
髙橋ゆきさん
家事研究家・株式会社ベアーズ専務取締役。
キッズからシニアまで暮らしの向上を研究し、家事のスペシャリストとしてテレビ・雑誌などで幅広く活躍中。お掃除は“楽ラク(楽しく、楽に)キレイ”をテーマに、身近にあるアイテムでさまざまなアイディアグッズを開発。また、お掃除とは生活の知恵を伝えたり、親子がコミュニケーションを取る場であるとして、親子や夫婦で楽しめる家事コミュニケーションを提唱する。
閉じる

引っ越し前後でチェックしたい水回り

洗面所やお風呂、キッチンといった水回りは、日常生活ですぐに汚れが溜まってしまう場所。たとえハウスクリーニングが入っていても、引っ越しをしたあとはさっとお掃除をして、気持ちよく使い始めたいものです。今から上手な掃除の方法を知っておけば、家族みんなが毎日快適に過ごせます。

「キレイ」を保つコツは“予防と習慣”

そもそも汚れは、溜めなければすぐに落ちるもの。放置して時間が経っているから、洗剤を使わないと落ちなくなってしまうのです。汚れたときにその場ですぐ拭き取れば、専用洗剤を使わずに済む場合も。汚さないための“予防掃除”を習慣化しましょう。たとえば、毎朝顔を洗ったあとに鏡を拭いたり、洗い物をしたあとにシンクを軽く磨いたり。トイレのあと、さっとブラシをかけるのもおすすめです。

揃えておきたい水回りのお掃除アイテム

便利なアイテムを揃えておけば、掃除のハードルはぐっと下がります。洗面台の下などにまとめて収納するのではなく、使う場所に分けて置くのも、“予防掃除”を習慣づけるポイント。「汚れたな」と思ったとき、アイテムをすぐに取り出せることが重要なのです。見せて収納できる、おしゃれなグッズを活用するのもいいでしょう。
また、汚くなったぞうきんやブラシなどをいつまでも使うのはNG。汚れが落ちにくいうえに、モチベーションも下がってしまいます。小さく切ったスポンジや古いタオルなど、すぐに使えてそのまま捨てられるものを用意しておけば、いつも新鮮な気持ちでお掃除ができます。

万能な「軍手ぞうきん」「三つ編みストッキング」の作り方

身近にあるもので作れる、万能なお掃除アイテムを2種類紹介します。いずれも、使って汚れたらそのまま捨てられるのがうれしいところです。

<軍手ぞうきん>
家庭用手袋(ゴム手袋・ビニール手袋)を付け、上から軍手を重ねるだけで、便利な「軍手ぞうきん」のできあがり。手全体がぞうきんになるため、便器のフチやコードが入り組んでいる場所など、普段は掃除しにくいスキマや細かい部分もピカピカに磨けます。手袋の裾を折り返しておけば、洗剤などが垂れてきても洋服を汚しません。

<三つ編みストッキング>
蛇口などステンレスの仕上げ磨きにぴったりな「三つ編みストッキング」は、古いストッキングを編むだけ。半分に折って真ん中の付け根部分を結び、編み手を作ったら、ゆるめに三つ編みをしていきます。伸縮性が生まれるため、使い勝手は抜群です。

2.トイレやお風呂の掃除

場所別の具体的なお掃除方法をご紹介します。どれも、普段から気軽に取り入れられるテクニックばかり。お客様に見られることも多いトイレや、汚れやすいお風呂は特にしっかりケアしたいものです。

トイレは目に見えない汚れがいっぱい!

トイレは人目がないからこそ、来客の遠慮ない視線が注がれる場所。便器やトイレットペーパーホルダーなどの目立つ場所だけで安心せず、普段なら気づかないような部分まで掃除をしておきましょう。また、まったく気づかないうちに台座や床、壁にも尿は飛び散っているもの。見えないからといって放置すると、ニオイの原因になります。

要チェック! トイレの意外なお掃除ポイント

①便器のフチ裏にこびりついた汚れは、軍手ぞうきんを活用
逆さにして噴射できる専用洗剤や、奥まで入れられるブラシもありますが、フチ裏の汚れはごしごしこすらないと落ちないもの。しぶとい汚れを落とすには、フチを直接掴んで力を入れて磨ける「軍手ぞうきん」の活用がおすすめです。

②床や壁、便座は尿の飛び散りをチェック
さらっと拭いて終わりがちですが、きちんと消臭・殺菌しておきたい場所。消毒用エタノールにユーカリやペパーミントなどのアロマオイルをブレンドし、使い捨ての布に染みこませて拭けば、殺菌しつつステキな香りも楽しめます。
※床や壁紙が傷む原因となる場合があるため、あらかじめ目立たないところで必ず試してからご使用ください。

③重曹と洗浄剤でタンクをケアする
小さな手洗いが付いている場合は、重曹と水を1:9の割合で混ぜた「重曹水」の出番。やわらかい布に染みこませて、全体を磨きます。重曹は漂白・消臭・研磨力があるスグレモノ。ただし、乾燥すると白浮きしてしまうので、最後はよく洗い流すか拭き取るようにしてください。タンクの中は、専用の洗浄剤を入れてフォローします。

④温水洗浄便座のシャワーノズルのお手入れも忘れずに
シャワーノズルは、どうしても黒カビが溜まってしまう要注意ポイント。取扱説明書に従ってノズルを出し、専用洗剤などを使ってお手入れしましょう。自動洗浄機能があれば、活用してもかまいません。

⑤そのほか
かわいく飾り付けたつもりで、ニオイの基になりやすいのがトイレタリーセットです。マットや便座カバーなどは、こまめに洗濯しましょう。また、小さな換気扇や窓も意外と目に付く部分です。

鏡のお手入れは毎日少しずつ

お風呂場の鏡に、うろこ状の曇りがある人は多いのではないでしょうか。磨いても磨いても取れないうろこ染みを落とすには、“遠心拭き”が有効です。うろこ状に突起した汚れは、まるで月のクレーターのよう。その凸凹を崩すため、円を描くように染みのひとつひとつを拭いていきます。
鏡の汚れていない引っ越し直後は、大チャンス。毎日、何もつけていないスポンジで同じ方向に拭き、流水をかけるだけで、うろこ染みを予防できます。染みが目に見えてからでは遅いのです。
洗面所の鏡はさほど汚れていないため、毎日さっとお手入れすれば問題なし。まずは泡ハネや汚れのある部分を、水に湿らせたスポンジでちょいちょいこすり、全体を適当に濡らします。最後に、同じ方向へティッシュで拭き取れば“予防掃除”は終了。洗剤などを使う必要がないため、化粧品などの小物が並んでいても気兼ねなくできるはずです。

要チェック! お風呂の意外なお掃除ポイント

①タイルの目地やドアの桟には“洗剤+ラップ”
しつこいカビが生えがちな部分の掃除には、キッチンペーパーが活躍します。スキマにフィットさせるようキッチンペーパーを敷き、カビとり洗剤を吹き付けて、待つこと5分。そのままペーパーで洗剤を拭き取り、水拭きをすればOKです。ドアの磨りガラスなどなかなか汚れが落ちない場所には、キッチンペーパーではなくラップで蓋をするのも有効。

②天井掃除には簡易モップがお役立ち
水滴や泡が飛び散っている天井も、水アカやカビの発生源。床掃除用の簡易モップを使えば、身長が低くてもお掃除が可能です。ウェットクロスで水拭きしてから、ドライクロスで乾拭きをします。

③バスグッズは水分を拭き取る習慣を
お風呂の蓋や洗面器、浴室のイスなどはカビやヌメリが付きやすいので、普段からきちんとお手入れを心がけましょう。また、置きっぱなしのシャンプーなどのボトルや、ソープディッシュの底にもカビが発生しやすいので、こまめにチェックを。水分がカビの原因になるので、できるだけ水分を拭き取り、外に出せるものは戸外に干すのも有効です。

洗濯機はこんなに汚れている

洗濯機の内部は、カビが発生するのに絶好の環境。高温多湿で汚れも多いため、洗濯槽の裏側はカビの天国になっている可能性も……。エステーの調査では、まださほど使っていない洗濯機でも、カビの汚染度はさほど変わらないことが分かっています。
カビはニオイの原因にもなるので、専用クリーナーを使って定期的に洗濯機内を掃除しましょう。

3.毎日使うキッチンの掃除

油などの頑固な汚れが付きやすいキッチンも“予防掃除”が必要不可欠。日々のケアをこつこつ積み重ねれば、引っ越したての美しさを維持できます。

要チェック! キッチンの意外なお掃除ポイント

①シンクをごしごし洗うのはNG
力を入れて磨きがちなステンレスのシンクですが、実は非常にデリケート。堅いスポンジや金たわしを使うと傷がついてしまう場合があるので、気を付けましょう。一般的なステンレスには「ヘアライン」という髪の毛のような細かな線が入っており、その模様に沿って優しく洗う必要があります。向きを気にせず強く磨くことで、ヘアラインが崩れると、曇りや汚れの原因に。台ふきやタオルなどで同じ方向に洗い、美しいシンクを保ちましょう。
また、研磨力のある重曹を使うのも厳禁。家庭用の中性洗剤や、汚れが少なければ水洗いでも十分です。使ったあとにさっと流し、最後は水滴までちゃんと拭き取るように心がければ、シンクが曇ることはほぼありません。
②仕上げ磨きまで欠かさずやりたい蛇口
最も目に付く蛇口は、キッチンの“顔”。基本の掃除は、スポンジではなくやわらかい台ふきやタオルで水洗いをすること。どうしても汚れが落ちないときだけ、クリームクレンザーを使います。シンクと同じステンレスなら、ヘアラインに沿って洗うことを忘れずに。
汚れを落として水拭きしたら、そこでおしまいではありません。三つ編みストッキングを蛇口にひっかけて、交互に引っ張り、仕上げ磨きをしましょう。この一手間で、蛇口の美しさがワンランクアップします。

③排水口やストレーナーは便利なアイテムを活用
排水口は市販の洗剤で汚れを浮かせ、古い歯ブラシをまとめた「360度ブラシ」や、汚れをキャッチして逃がさない「牛乳パック」を突っ込んで洗います。特に、食べ物のカスがこびりついたストレーナーはニオイの原因になりやすいところ。大きなごみを取り除いたら、手袋をはめて、泡タイプの塩素系漂白剤をまんべんなく噴射してビニール袋に入れます。数センチのぬるま湯を加えて、ビニール袋の口をしばり、シェイク開始!袋の中が小さな洗濯機状態になり、細かな網目の汚れまですっかり落としてくれます。15分ほど放置してから流水でよく流せば、触って「きゅっきゅっ」と音が鳴るほど美しくなっているはず。

気になる油汚れを落とすカギは“余熱”

触りたくないコンロの油汚れは、浸け置き洗いがおすすめ。まずはシンクに傷を防止するタオルを敷き、大きなビニール袋を張って、45~48度のお湯にコンロのゴトクやグリルの網などを浸けます。意外と汚れやすいつまみなども、外して洗いましょう。小さなネットに入れて浸ければ、見失うこともありません。
お料理中に鍋からあふれてしまった麺類のゆで汁も、掃除に活用できるのだとか。余熱と麺類のデンプン質が、コンロについた油をゆるませてくれます。ちょっとした工夫が、“予防掃除”につながるのです。
取り外せないIHコンロのお手入れには、ラップが有効です。丸めたラップにクリームクレンザーをつけて、円を描くように磨きます。余計な傷をつけることなく、掃除のあとはそのまま捨てられるのが魅力です。
壁や床は、同じ方向に向かって重曹水で拭きます。なお、火の気のある場所なので、消毒・殺菌がしたくても消毒用エタノールを使うのはNGです。
お料理をしたあとや夜眠る前、さっと拭く習慣を付ければ、コンロやシンクはいつもキレイに保てます。食器を洗うついでに、ストレーナーや換気扇を掃除してしまうのもよいでしょう。

関連する記事