「ニットは着るたびに洗った方がいいの?」「干すときに伸びてしまわないか心配…」など、ニットのケアに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そこで、ニットのお直し専門店の株式会社フィットニット代表の寺原博美さんに、正しい洗い方や保管方法、トラブルの対処方法など、ニットに関する疑問に答えてもらいました。
ニットの洗い方・干し方 Q&A
Q. ニットの洗濯に失敗して縮むのが心配。自宅でも洗える?
A. 「洗濯表示」を確認しましょう。洗うときは摩擦を避けて
まずはニットに付いているタグで「洗濯表示」を確認しましょう。多くのニットは自宅で洗うことができますが、洗濯機が使えなかったり、家庭での洗濯がNGなものもあります。
洗濯機で洗えるものも、大切なニットであれば手洗いするのがより安心です。摩擦によって生地が傷むので、揉んだりせず押し洗いをします。洗濯機で洗うときは、洗濯ネットに入れ、中で動かないようネットの余った部分を結んで縛ってください。「手洗いコース」など、少ないダメージで洗えるコースを選ぶと良いでしょう。
Q. ニットは一回着ただけでも洗濯した方がいい?
A. 毎回洗う必要はありませんが、湿気やニオイのケアは忘れずに
ニットのトラブルとして多いことの一つが、洗濯による縮みです。ニットはデリケートな扱いが必要なものも多く、正しい方法で洗わないと劣化するリスクがあるため、目立った汚れがない場合は毎回洗う必要はありません。ただし、脱いですぐにしまいこまずに、風通しのいいところで湿気やニオイをとってからしまうようにしましょう。
Q. クリーニングに出した方がいいのはどんなとき?
A. 家で洗えないニットはもちろん、自分で洗うのが大変だったり失敗したくないときはプロの力を頼るのも手
洗濯表示を見て、家庭での洗濯がNGになっていたら、クリーニング店に預けるようにしましょう。また、手洗いをするのが大変だったり、自分で洗って失敗したりしたくない人はプロの力を頼るのも良いでしょう。
Q. ニットが伸びるのを防ぐ正しい干し方は?
A. 理想は平干し。物干し竿で干すこともできますが、あとがつかないように工夫を
乾かしている間の型崩れを防ぐため、平干しネットなどを使った平干しが理想です。もしくは物干し竿に干す方法も。物干し竿にタオルを巻いたうえで、ニットを二つ折りになるように干し、少しでもあとがつきにくくなるように工夫しましょう。袖は垂れ下がったままにせず、物干し竿にかけて、伸びてしまわないようにしましょう。
干すときは、日光が当たって色褪せるリスクを避けるために陰干しを。また、裏返した状態で干しておけば、もし日に当たってしまったときでも、表側のダメージは抑えられる可能性が高まります。
ニットの保管・お手入れ Q&A
Q. 脱いだニットをしまう前にした方が良いケアは?
A. 次に着るまで洗わないときは、乾かして湿気を飛ばしてからしまいましょう
ニットは、湿気も大敵です。脱いだニットを次に着るまで洗わないときは、しまう前に通気性の良いところに干して、湿気を飛ばしましょう。少しの間ベッドの上などに広げておくだけでも違います。また、衣類用のブラシで優しくブラッシングして、汚れを落とすと良いでしょう。
また、ニットは摩擦に弱く、一度着ると汗や湿気を含んでしまうので、連続して何日も着るのは避け、数日休ませるようにしましょう。
Q. ニットを収納するときに気をつけた方が良いことは?
A. 型崩れやシワを防ぐために軽くたたんで収納を。防虫剤も忘れずに
ニットはたたんで収納するのがおすすめ。ぎゅうぎゅうに収納すると服同士がプレスされて、シワになってしまうので気をつけましょう。ニットの重みで伸びてしまうので、ハンガーでの収納は避けるのが無難です。
しまうときは防虫剤も忘れずに。カシミヤやウールなど動物性繊維のニットは特に虫食いされやすいです。防虫剤の有効期限が切れていないか、また、置く場所や数量が適切かなどをチェックして、正しく使用するようにしてください。
ニットのトラブル Q&A
Q. ニットに毛玉ができたらどうすればいい?
A. 無理に引っ張るのはNG。毛玉取りを使って取りましょう
毛玉ができたときは、無理に引っ張ったりせず、毛玉取り器を使いましょう。毛玉取りで誤って穴を開けてしまうこともあるので、丁寧に取り扱いましょう。
Q. ニットに毛玉ができる原因や予防する方法は?
A. 着用時や洗濯時は、毛玉の原因になる摩擦を減らしましょう
毛玉は、摩擦で繊維が毛羽立つことによってできてしまいます。脇のあたりや、バッグやシートベルトが擦れる部分に毛玉ができやすいので、摩擦に注意すると良いでしょう。洗濯をするときは、ニットが擦れるのを少しでも防ぐために、洗濯ネットに入れるのがおすすめです。
Q. ニットについてしまったシワを取る方法は?
A. 軽いシワならアイロンの蒸気で伸ばせます
ついたばかりの軽いシワであれば、アイロンの蒸気で伸ばせます。アイロンはニットに直接押し当てずに、浮かせた状態で蒸気を当てるようにします。ついてから長期間経ってしまった手強いシワは、洗濯してしまった方が手っ取り早いです。
Q. いつのまにニットに穴が・・・これって虫食い?
A. 複数の穴があいていたり、周りに残った糸が切れやすい場合は虫食いかもしれません
穴を見て虫食いかどうかを見分けるのは難しいところですが、一枚のニットで複数の穴があいていたり、一緒に収納している他の衣類が虫食いされている場合は、虫食いを疑った方がよいでしょう。また、虫食いの場合は、穴の周りに残った糸もダメージを受けてもろくなっていることも。糸を触って比較的簡単に切れてしまうようであれば、虫食いかもしれません。他の衣類に被害が及んでいないか、チェックした方が良いでしょう。
Q. ニットに穴があいたり、ほつれてしまったときはどうしたらいい?
A. ニットを処分しなくても、きれいにお直しすれば長く大切に着られます
ニットに穴があいてしまったり、ほつれてしまったりしても、お直しすれば長く大切に着続けることができます。自分で縫って補修することもできますが、プロの専門店に任せれば、お直しした箇所がわからないほどきれいな仕上がりになります。
Q. ニットの寿命や処分するタイミングの見極め方は?
A. ニットらしい肌触りが失われてきたら手放すことを検討しても良いでしょう
ニットの寿命は素材や日々のお手入れ、着る頻度などによっても変わるので一概には言えません。同じニットを数十年も着ている人もいるくらいです。ただ、劣化してくるとニットらしいソフトな肌触りが失われて、ゴワゴワして固くなってきます。そうなってきたらもう寿命だと割り切って、処分や買い替えを検討しても良いのではないでしょうか。
大切なニットをしまうときは防虫剤を忘れずに
ニットを収納するときは防虫対策を万全に。「ムシューダ 引き出し・衣装ケース用」なら、大切な衣類を約1年間しっかり虫から守ります。衣類にニオイがつかないので、取り出してすぐに着られます。
取材協力:株式会社フィットニット 代表 寺原博美さん
フィットニットHP:https://www.fit-knit.com