就寝前や起床時に花粉に悩まされている方は多いでしょう。エステーの調査では、1日のうち花粉がつらいのは「朝起きてすぐ」と回答した方が3割で最も多く、「就寝前」と回答した方も1割いました(※)。睡眠時の花粉について埼玉大学大学院理工学研究科教授・工学博士で、花粉の研究者の王青躍先生にお伺いしました。
日中吸った花粉が夜間に影響
花粉に対するアレルギー反応は、花粉を吸ってすぐに出るものと、時間を置いて、しかも持続するものがあります。
すぐに反応が出ることを「即時相反応」と言い、目のかゆみや鼻水、くしゃみなどの症状があらわれます。即時相反応は、水で洗い流すなど花粉を目や鼻の粘膜から取り除けば、反応も治まります。
一方、時間を置いて症状があらわれる「遅発相反応」は、目や鼻から花粉がなくなっても炎症が持続するのが特長です。日中に吸い込んだ花粉が原因で、夜間の睡眠中などに鼻づまりやせき、息苦しさなどの症状が出る可能性があるのです。日中、花粉にさらされる機会が多ければ多いほど、「遅発相反応」によって、夜間の睡眠が妨げられる可能性も高まります。
そのため、日中の花粉対策をしっかり行うことが、睡眠時の花粉対策にもつながります。
寝室の花粉対策をして、睡眠環境を整えて
また、寝室内に花粉を持ちこまないことも大切です。布団などの繊維は花粉がつきやすいため、寝室に持ち込んだ花粉が布団に付着してしまっていることが考えられます。さらに、日中立っているときや座っているときと比べて、寝ているときは頭の高さが低くなるので、寝室の床に落ちた花粉を吸い込みやすい状態になります。
花粉シーズンは、布団を外に干すことや、外から帰宅して着替えずに寝室に入ることは避けましょう。寝室内で使える花粉対策アイテムなども活用してみてください。
都市部の凶悪化した花粉にも注意
都市部はアスファルトやコンクリートが多く、飛んできた花粉が地面に落ちても吸収されずに、風や自動車によって再びそれらを巻き上げ、何度も再飛散を繰り返します。大雨で流されない限り、前日、前々日の花粉が蓄積されていくのです。
さらに、都市部の花粉はさまざまな排気ガスなどの大気汚染物質と結びついたり、自動車のタイヤにつぶされる、あるいは小雨に打たれることで、花粉が破裂して微細化し、しかもアレルゲン(花粉症などアレルギーの原因物質)がむき出しになってしまいます。
いわば「凶悪化」した花粉は、少量でも強いアレルギー反応を引き起こす原因になり、呼吸器系の奥深くに入り込みやすくなるのです。それによって、花粉症起因のぜんそくや気管支炎の発症も報告されていますので、日中外出する際にはできるだけ花粉を吸い込まないように対策を徹底してください。
「睡眠時の花粉対策」についてさらに詳しく知りたい方は、花粉対策ガイド「知っておきたい花粉と睡眠のはなし」をご覧ください。
※2022年1月 エステー「睡眠と花粉に関する調査」より