冬になると気になる手荒れ。毎年悩まされている人もいますが、これまで気にしたことがなかった人も、ライフスタイルの変化によって発症する恐れがあるので油断は禁物。ひどくなると、ひび割れやあかぎれになって、水に触れるのもつらくなります。
手荒れの原因や効果的な対策について「南青山皮膚科 スキンナビクリニック」の服部英子院長に聞きました。
皮膚のうるおいを保つ角質層が傷つき手荒れに
手は、顔など他の部位に比べて皮膚の表面を覆っている「皮脂膜」が薄くなっています。そのかわりに、皮脂膜の下にある「角質層」が厚くなっていて、手や指を保護する役目を果たしています。
しかし、水仕事などによって皮脂膜が失われたり、空気が乾燥していると、角質層の水分が蒸散しやすくなり、手荒れを引き起こすのです。また、紙に触れるなどの摩擦でも皮脂膜がダメージを受けるため、手荒れの原因になります。
角質層の水分が足りなくなったり傷つくと、指先がかたくなったり、皮がむけてきます。人によっては水に触れるとピリピリとしみることも。手荒れのサインを見逃さないようにしましょう。
手荒れは誰でも起こる恐れが
食器洗いや掃除など家事では、水を使う機会が多いため、手荒れは主婦に多く見られます。さらに、冬は空気が乾燥している上、水仕事でお湯を使ったり、風邪予防で手を洗う回数が増えるため、手荒れを起こしやすくなります。
大掃除や引越しなども要注意。新聞や段ボール、ガムテープなどの摩擦によって、皮脂膜がはがれて手荒れを引き起す原因になります。
また、季節に限らず、調理師や美容師、農家など水をよく使う職業の人は、一年中手荒れに悩まされています。紙をめくったり数えたりするなど、指先を使う仕事をしている人も注意しましょう。キーボードのタイピングが原因で、手が荒れることも。
これまで手荒れと無縁だった人も油断は禁物。結婚や出産などを機に水仕事や手洗いの回数が増えて、手荒れになる場合があります。予防方法をしっかりとおさえて、手の潤いを保ちましょう。
クリームを使って保湿する
手荒れの基本的な対策は、保湿と皮膚の保護です。水仕事など手が荒れる原因を排除できれば良いですが、実際には難しいので、クリームや手袋を使ってケアしましょう。
保湿クリームは、塗る量がポイントです。少なすぎると、意味がありません。軟膏タイプのクリームは、人差し指の先から第一関節まで伸ばした量、ローションタイプは、1円玉大の量を出して伸ばしましょう。これは、両手の手のひらに塗る量の目安です。手の甲まで含めた両手全体であれば、倍の量を塗ってください。皮膚にティッシュが付く、または皮膚がテカるくらいたっぷりと塗るのがコツです。水仕事などをした後は、毎回塗るのがベストですが、ベタベタするのが気になるなら、朝や夜など手を使わないタイミングで、1日1回だけでも使うと違ってきます。
水仕事や掃除をするときは、家庭用手袋で手を保護
食器洗いやお風呂掃除などで水を使うときは、ビニール製やゴム製の家庭用手袋をはめて直接水に触れないように保護しましょう。特に毎日の食器洗いは、手に負担がかかります。私は、手にフィットする薄型タイプがお気に入りですが、自分に合った手袋を使いましょう。冬の水仕事は水が冷たいので、どうしてもお湯を使いたくなりますが、熱すぎると手が乾燥しやすくなります。手洗いの時など直接お湯に触れる場合は、水温は37℃前後に設定しましょう。
大掃除などで紙に直接触れるときは、綿の手袋がオススメです。手袋をはめる前にクリームを塗っておくと保湿効果もより高まります。
保湿対策はできるだけ毎日続けましょう。ケアを怠ると、角質層が傷ついて後々の手荒れにつながります。手が炎症をおこして赤くなったり、かゆみなどの症状がある場合は、放置せず早めに病院へ。
取材協力:服部英子さん
「南青山皮膚科スキンナビクリニック」院長。
東京女子医大卒。日本皮膚科学会皮膚科専門医。東京女子医大病院、虎ノ門病院、JR東京総合病院等で、皮膚科勤務を歴任。皮膚疾患全般、特ににきび、アトピー性皮膚炎、色素性疾患の診断・治療に実績。
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