1.食材保存の基礎知識
食材を冷凍以外で長持ちさせるには
食材を長持ちさせるには、菌やカビの繁殖を防ぐことが大切。冷蔵庫や冷凍庫で「冷やす」ことも効果的ですが、他に次のような方法があります。これらは、合わせ技でさらに保存効果が高まります。
乾燥させて水分を取る
昆布や干物、高野豆腐など、乾燥させて水分を抜くことで、菌やカビの繁殖を抑えることができます。
空気(酸素)をシャットアウトする
菌やカビの多くは、増殖するのに酸素が必要。そのため、オイル漬けや缶詰など、酸素を入れないようにすることで繁殖しにくくなります。
酸性にする
酸性のものには防腐効果があります。酢やレモンなどに漬けると、菌の繁殖が抑えられます。
塩分や糖分濃度を高くする
菌が繁殖できる水を「自由水」と呼びますが、塩や砂糖は食材に含まれる自由水を減らす働きがあるため、菌が繁殖しにくくなるのです。そのため、梅干しや塩漬け、味噌漬け、ジャムなど、塩分や糖分の濃度を高くすることで、菌の繁殖を抑制できます。
食材保存に使える便利なアイテム
①ラップ、保存袋・ストロー
菌の繁殖やカビを防ぐため、できるだけ空気に触れないように密封できるラップやジッパー付の保存袋は欠かせないアイテム。保存袋の空気を抜くためには、さらにストローを用いるとかなり効果的。ジッパーの端近くまで閉めたらストローを差し込み、最後の空気を吸います。完全に抜くことは難しいものの、中の空気を最小限にして保存できます。ちなみに、野菜は呼吸をしているので、密封せずにビニール袋に入れる程度にしましょう。
②ガラス瓶、ホーロー容器
食材のニオイや色が付きにくく、酸に強いのがガラス瓶やホーロー容器。熱に強いので、菌をもちこまないように煮沸消毒ができるのもメリットです。蓋が密封しないタイプの場合には、一度ラップをしてから閉めると密封状態に近くなります。また、ニオイや色が付きにくい食材の場合は、プラスチック製の密閉容器も便利です。
③乾燥剤
水分や湿気は食材保存の大敵です。乾燥剤を活用すれば、乾燥状態をキープできます。自宅で作った干し野菜を保存する際も、乾燥剤があると便利です。
なお、おせんべいなど食品にもともと入っていた乾燥剤を再利用する方もいますが、乾燥剤の効果は永遠ではありません。すでに効果がなくなっているのを知らずに使い続けているケースが多いので、新しいものを利用するのがおすすめです。
④基本の調味料
家庭にある調味料を使えば、保存性を高めながら、美味しさもアップ。特に、酸や塩分の効果で菌の増殖を抑える酢や塩、味噌、食材を漬けることで空気をシャットアウトさせる油は食材保存に便利な調味料です。
調味料の保存方法は?
なお、調理中にお鍋の上から直接調味料の容器を振ると、中に湿気が入ってしまいます。いったん手に取るか、小分けにしましょう。
味噌は、冷蔵庫保存を。空気に触れないようにラップまたはオーブンペーパーを“落とし蓋”のように置くと、香りや味を維持し、カビの予防にもなります。
しょう油は、通常は常温保存で大丈夫ですが、夏場は味が悪くなってしまうので、冷蔵庫に入れましょう。
お酢は、防腐効果があるので常温で問題ありません。
2.干し野菜の長持ちレシピ
食べきれない野菜は、干し野菜にしてみませんか。乾燥して水分を取ることで、保存期間がアップ! また、うまみが凝縮されたり、水分が抜けて調理しやすくなるといったメリットも。
干し野菜を作ってみよう
干し野菜の作り方
野菜は、細くまたは薄く切って平らなザルの上に並べます。ベランダなど風通しのいいところで数時間~数日置きましょう。下からも風が通るように、台の上に置くと効果的です。風で飛ばないよう、ザルに重しを乗せておきます。
向いている野菜と難しい野菜
切り干し大根や干し椎茸は作りやすい干し野菜の代表選手。難しいのは、水分の抜けにくいトマトや色が悪くなってしまうナスなど。トマトは日差しが強く風のある日に、ナスは塩水に漬けてアクを取り除いてから干すのがベスト。
また、夏場は、虫予防のために網をかぶせることがおすすめです。虫がつくと細菌が付いて、その結果腐ったりカビが生えたりしてしまいます。
干し野菜の保存のポイント
長持ち&おいしいレシピ①【干しトマトとトロトロ卵の炒め物】
トマトは干すことで水分が抜けうま味が凝縮されます。さらに炒めた時に水っぽくならないといったメリットも。
作り方
1.トマトはくし切りしペーパーで水気を拭いてザルに並べ2~3時間天日に干しておく。
2.豚肉はしょうがと共にAを合わせて20分おく。きくらげは食べやすい大きさにする。
3.中華鍋にサラダ油を熱して溶き卵を入れ半熟状になったら取り出す。
4.3の中華鍋に豚肉を入れて炒めたらきくらげとトマトを加えて炒める。
5.4に3の卵をもどしてBを加えさっと炒める。
3.調味料を使う長持ちレシピ
ちょっと残ってしまって困る食材も、少しの工夫で美味しく保存できます。酢、塩、味噌、オイルなど、家庭にある調味料を使って食材を美味しく長持ちさせるアイデア&レシピをご紹介します。
長持ち&おいしいレシピ②【チーズのハーブオリーブオイル漬け】
残ったチーズは冷蔵庫で保存すると固くなりがち、そこでオイルに漬けておけばいつでも柔らかく美味しく食べられます。いろいろな種類のチーズを混ぜてもOK。食べきって残ったオイルは香りが良いのでドレッシングや炒めものに使って下さい。
容器を2つ用意して、交替で漬ければ、途切れることなく常に新しいオイルが使えるので便利です。
作り方
1.ペコロスとにんにくは皮をむいて大きければ半分に切り、共にさっとゆで、塩、こしょうをふっておく。
2.チーズは大きめの角切りにする。
3.保存容器にオリーブと1、2、Aを入れてエクストラバージンオリーブオイルを注ぎ入れて1~2日おく。
保存のポイントと保存期間の目安
保存には、パッキンがついたガラス瓶がおすすめです。ハーブはドライでもフレッシュでもかまいませんが、フレッシュの場合は長く置くと色が変わってしまうことも。常温保存で大丈夫ですが、夏場は冷蔵庫へ。オリーブオイルは冷やすと固まってしまうので、代わりにサラダオイルを使いましょう。3カ月くらいは保存できます。
長持ち&おいしいレシピ③【混ぜ混ぜピクルス】
残った野菜を混ぜてピクルスにすれば美味しい前菜になります。スープを加えて酸味をおさえているのでサラダ感覚でいただけます。
作り方
1. 玉ねぎは皮をむいてくし形に切りさっとゆでておく。(ゆで過ぎに注意!)
2.きゅうりとセロリ、パプリカは乱切りにし塩少々(分量外)をふって15分おく。
3.鍋にAを入れて煮立てた後、はちみつを加えて冷まし、酢と唐辛子を加える。
4.1と2を保存用容器に入れ、3を流しいれて半日以上漬ける。
保存のポイントと保存期間の目安
冷蔵庫に入れて保存します。酸っぱすぎないようにスープを入れているので、1週間くらいで食べきってください。もしお酢だけで漬けるなら、保存瓶の煮沸などをしっかりとすれば1年以上保存可能です。
長持ち&おいしいレシピ④【ブロック肉のハーブ塩焼き】
かたまり肉に塩と砂糖をまぶして、おいしくいただくレシピです。オーブンで焼く時間は肉の厚さによっても変わるので、適宜様子を見ながら!
作り方
1.塩と砂糖、ハーブを混ぜ、ブロック肉にまぶしてぴったりとラップをする。冷蔵庫で1~2日寝かせておく。
2.塩と砂糖を洗い流して水気を拭き取ったら周りにオイルを塗り、200度のオーブンで20分焼く。
3.その後、オーブンを160度に下げて50分程度焼く。
保存のポイントと保存期間の目安
冷蔵庫で保存します。肉や魚は塩や砂糖をまぶすことにより2日くらいは保存期間が延びるので、ブロック肉以外にも、残った食材で応用できます。肉や魚は、買ってすぐにキッチンペーパーなどで水気を拭き取り、できるだけ空気を抜いてから冷蔵・冷凍しましょう。
長持ち&おいしいレシピ⑤【半熟卵の味噌漬け】
半熟卵を味噌漬けにして、おいしく保存。味噌漬けに使う味噌の量を最小限にするには、ラップを活用しましょう。1日ほどでおいしい「ごはんの友」が完成!
作り方
1.味噌とみりんを混ぜ、ラップに薄くのばす。
2.半熟卵を1の上に置き、ラップでぴったりくるむ。
3.1日間ほど漬ける。
保存のポイントと保存期間の目安
保存は冷蔵庫で。2日以上保存するときは味噌をぬぐって3~4日程度までがおすすめです。それ以上になるとしょっぱくなりすぎてしまうので注意しましょう。