解決できないトイレのニオイを徹底分析！～直後臭vsしみつき臭～

用を足した後のニオイや掃除しても取り切れないニオイ…いくら対策してもトイレのニオイが解消されない場合は対策方法が間違っているかも。対策の基本は、敵を知ること、つまりニオイの種類や正体を知ることが重要です。今回は、エステー R&D本部 エアケア開発部の白石絢子研究員に聞き、直後臭としみつき臭をメカニズム、持続する時間、厄介モノ度、消臭方法の4項目で徹底的に比較して解説します。

ニオイのメカニズム

●直後臭

正体は便（ウンチ）のニオイです。排便してすぐに発生し、便器を中心にニオイが漂います。

代表的な成分は、温泉（硫黄泉）によくある、腐ったタマゴのようなニオイを発する硫化水素。そして、糞便臭の代表臭とも言えるスカトール、食べ物が腐ったような悪臭に近い低級脂肪酸などがあります。

ただ、ニオイや成分は食べたものや体調によっても異なり、色々なものが混じり合っており複雑です。

●壁や床のしみつき臭

正体は尿（おしっこ）のニオイです。ただ、尿そのもののニオイは便ほどきつくありません。壁や床、便器や便座について放置されると、鼻を突くような不快なニオイになります。

立って排尿することで壁や床に飛びちった飛沫や、座っていても便座や便器について、掃除でも見落とされて残った尿が、しみつき臭の原因となります。

主な成分は、尿素を菌が分解することで生じるアンモニアとトリメチルアミンです。特にトリメチルアミンは魚が腐ったような、生臭いニオイを発します。

ニオイが持続する時間

●直後臭

便のニオイは、用を足して流してしまえば原因はなくなりますが、その強烈なニオイは数分間、居座り続けます。そのため、早急な対処が必要です。

●壁や床のしみつき臭

前述の通り、しみつき臭は飛び散った尿が放置された結果です。原因が居座るので、見えないところまで取り除かない限り、ニオイも残り、蓄積されていきます。

ちなみに、尿は数時間放置するだけでも、悪臭を発するようになります。こまめな対策が必要です。

ニオイの厄介モノ度

●直後臭

大便のニオイは、食べた物や体調に左右されます。肉をたくさん食べたり、食べ物が腸内で長時間滞留すると、便臭が強くなると言われます。

トイレでは流してしまえば長くは残らず、その点は扱いやすいと言えます。

厄介なのは、マナーや気持ちの問題です。直後から発生するだけに、誰のニオイかわかってしまいます。直後臭は人のニオイも気になるし、自分のニオイを嗅がれるのも気になる人が、ほとんどではないでしょうか。

次にトイレに入る人が待っている場合など、すぐにニオイへの対処が必要になり、とても厄介な存在と言えます。

●壁や床のしみつき臭

ニオイの強さは環境によるので一概に比較できませんが、しみつき臭の主原因となるトリメチルアミンは厄介です。トリメチルアミンは人間の鼻が感じる閾値（いきち）が低く（低濃度でも感じる）、アンモニアより約47,000倍も閾値が低いのです。25mプールに一滴ほどの濃度でも、トリメチルアミンは臭いと言われます。

新しいトイレでは、はじめのうちは気にならない場合も多いですが、悪臭成分が蓄積するのも厄介です。トイレ掃除を怠ると、ニオイは強く、落ちにくくなっていきます。

また、掃除してもニオイが取り切れなかったり、家族が使うたびにニオイがしみついていくのが、しみつき臭の嫌なところ。気をつけていても、少しずつ家族の快適な生活を脅かしている可能性も。また、家にいる人は気づかなくても、外から帰った家族や、来客が不快な思いをしているかもしれません。

消臭方法

●直後臭

トイレ用の消臭剤には、置き型タイプとスプレータイプの主に2つのタイプがあります。一般的に直後臭の消臭には、瞬間消臭タイプの消臭剤が有効で、多くはスプレータイプが利用されます。

スプレーすることで瞬時に消臭成分を広げられるので、即効性があります。一方で、排便のたびにスプレーするのが面倒だったり、家族がスプレーをしてくれないなどの困りごとも。

●壁や床のしみつき臭

壁や床のしみつき臭には、即効性に重きをおいたスプレーより、広い空間を継続的に消臭できる置き型タイプの消臭剤が向いています。

消臭成分を悪臭と調和させていい香りに変えたり（ペアリング消臭）、悪臭成分を物理的に吸着したり（物理的消臭）、アルカリ性のアンモニアを酸性のクエン酸で中和させてしまう（化学的消臭）など、さまざまなアプローチが組み合わされます。