季節のくらし

子どもの良質な睡眠のためのお悩み解決Q&A

1.よい睡眠のための習慣

心と体の健康のため、睡眠は非常に大切。大人だけでなく、子どもにとっても同じです。特に子どもは成長の過程にあるため、良質な睡眠になるよう心掛けたいもの。子どもが安心して眠れるように、どんなことに注意すればよいのでしょうか。3~8歳のお子さんがいるママさんを対象としたアンケートを基に、快眠セラピスト・睡眠環境プランナーの三橋美穂さんにお伺いしました。
快眠セラピスト・睡眠環境プランナー
三橋美穂さん
プロフィール

プロフィール

快眠セラピスト・睡眠環境プランナー
三橋美穂さん
寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで、どんな合う枕がわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。主な著書に『眠トレ!ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』(三笠書房)ほか、日本語版を監修した『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)はシリーズ累計115万部を突破。監修・開発した『“日本人の頭の形”に最もフィットした「極」快眠まくら』(主婦と生活社)も好評。わかりやすく実践的なアドバイスには定評があり、NHK「あさイチ」TBS「ひるおび!」日本テレビ「ヒルナンデス!」など、テレビ番組にも出演多数。HP:https://sleepeace.com/
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ここを見直そう! 良質な睡眠をさまたげるNG行動

子どもの睡眠の質は、環境によって大きく左右されます。家庭での過ごし方は、よい眠りに影響するのです。まずは、普段の習慣について下記で当てはまる項目をチェックしてみましょう。

□夜寝る前に、テレビを見たり、明るい部屋で過ごしている
□休日は睡眠時間を確保するために普段よりゆっくり起きている
□寝室は遮光カーテンで光が入らないようにしている
□お昼寝を15時以降にとっている
□お風呂は寝る直前に入ることが多い

いくつ当てはまりましたか? これはすべて睡眠にとってよくない習慣です。
寝る直前まで煌々と明るい照明の中で過ごしたり、明るいスマートフォン画面を見ていたりすること。また、日によって寝る時間や起きる時間がまちまちなのもぐっすり眠るためにはよくありません。遮光カーテンなどで朝の光がわからないことも、寝起きの悪さにつながります。こうしたNG行動を1つ1つ見直していきましょう。

よい睡眠のための3原則

よい眠りにつくための条件はいろいろありますが、三橋さんにもっとも大切な3つの原則を教えていただきました。

原則1:寝る前に照明を暗くする

子どもは大人よりも水晶体がクリアなので、光の影響を強く受けます。人の体は暗くなると徐々に眠くなるようにできているので、部屋の照明を少しずつ暗くしていくのがお勧め。

夕方6時くらいになったら暖色系の照明に切り替え、寝る1~2時間前にはかなり暗めにするとよいでしょう。調色調光できるタイプのシーリングライトも手ごろな値段からあるので、利用するのもひとつの方法です。

原則2:休日も生活リズムを崩さない

体内時計が乱れると、軽い時差ボケのようになります。昼間に眠気やだるさが訪れたり、夜の寝つきが悪くなったりして、睡眠の質が悪くなってしまいます。

休みの日でも、普段と同じ時間に寝起きするようにしましょう。特に、親が休日に朝寝坊をしていると、子どもも同じようになりがちです。

原則3:朝起きたら陽の光を浴びる

朝起きたら、カーテンを開けるだけでなく、数分でもベランダなどに出て陽の光を浴びるようにしましょう。人間の体内時計での1日は、24時間より少し長いと言われています。朝に光を浴びると、体内時計がリセットされます。

光を浴びた時間を基準として、夜にメラトニンが分泌されます。太陽光は熟睡の素、昼間の元気の素です。

それでも寝る時間が遅くなりがちな子どもに

最初に紹介した3つの原則に加えて、寝る時間が遅くなりがちな子どもには、プラスアルファの心がけも。

昼寝をしすぎない

小さな子どもは、日中に昼寝をすることが多いでしょう。昼寝の時間が長いと、夜眠れなくなってしまいます。基本的には3歳以上は昼寝をしなくても大丈夫。昼寝をするとしても、早目の時間で短めにするのが大事です。保育園や幼稚園で昼寝をする場合には仕方がないので、家に帰ってからは昼寝をしないようにしましょう。

親も早寝を!

ママやパパが早く寝ないと、子どもも一緒に夜更かしをしがちです。親が早く寝ることが解決策になる場合もあります。子どもの寝かしつけをしながら、睡眠がしっかりとれているママには、子どもと一緒に寝てしまう人が多いのだとか。

早めにお風呂に入る

お風呂に入る時間が遅いと、寝つきが悪い原因になります。寝るときには、体が体温を下げようとしますが、お風呂で体が温まりすぎるとすぐには寝られないのです。少なくとも、寝る1時間前には上がるようにしましょう。

2.子どもの睡眠でよくあるお悩み

3~8歳の子どもを持つママにアンケートを取り、子どもの睡眠で当てはまるものを聞いたところ、寝るのが遅い」以外にも、「寝相が悪い」「寝起きが悪い」などさまざまな悩みが浮き彫りになりました。それぞれの解決策をご紹介します。

Q. 寝相が悪いので風邪をひかないか心配です

A.寝相が悪いのは健康な証拠! 掛布団で温度調整してあげましょう。

寝相が悪くて悩んでいるママも多いようですが、三橋さん曰く「寝相が悪いのは健康な証拠」とのこと。逆に、子どもなのに寝相がよすぎる、つまり、寝ている間にまったく動かないほうが心配なのだそうです。

寝相により掛布団をはだけてしまうと風邪の心配がありますが、はだけてしまうのは、子どもの適温よりも暑いから。大人が快適な温度にしていると、子どもには暑すぎる場合が多いので、子どもだけ薄めの掛布団を用意するとよいかもしれません。

Q. 朝の寝起きが悪くてなかなか起きられません

A.睡眠時間が足りていない可能性が。まずは睡眠時間を確保して。

子どもが朝なかなか起きないのは、睡眠時間が不足している場合がほとんど。まずは、睡眠時間を延ばすことを考えましょう。朝起きる時間が決まっているのなら、早く寝る必要があります。

睡眠が十分なのに寝起きが悪いとしたら、遮光カーテンで光を遮りすぎなのかもしれません。部屋の向きにもよりますが、カーテンの端を10cmくらい空けておき、朝日が入ってくるようにするとよいでしょう。

Q. 夜中に起きてしまいます

A.体内時計がずれているかもしれません。朝や日中の過ごし方を見直して。

まずは、夜中に起きてしまう原因を取り除きましょう。例えば、部屋が明るい、騒音がある、といった理由があるなら、静かで暗い部屋で寝られるようにします。

それでも夜中に起きてしまうようなら、体内時計の乱れが考えられます。昼寝の時間を短くしたり、休日も平日と同じ時間に起きたり、朝日を浴びたりして、体内時計を整えましょう。

Q. いびきや歯ぎしりが激しいので心配です

A.いびきは重度でなければ大丈夫。歯ぎしりは、歯の生え変わりにむずがゆいかもしれません。

アンケートでは、子どものいびきに悩むママが目立ちました。呼吸が止まるようなひどいいびきの場合は病院に行ったほうがよいでしょう。子どもにも睡眠時無呼吸症候群が発症することもあるからです。

そこまででなくても改善したい場合には、抱き枕を用意して横向きに寝かせると、呼吸が楽になりいびきが治まることがあります。

歯ぎしりは、歯の生え代わりでむずむずするから起こることも。それ以外には原因がわからないことが多く、ストレスなどが原因の場合もあります。話を聞いて、不安や悩みを取り除いてあげるようにしましょう。

Q. 睡眠が足りているか心配です

A.日中の様子を観察して、元気であれば問題ありません。

アンケートでは、「子どもの睡眠が足りているのか心配」というママも。判断するためには、日中の様子をチェックするのがよさそうです。「昼間元気にしているか」「何かに集中できているか」といったことを観察するようにしましょう。

もし、イライラしていたり、眠そうにしていたら、睡眠時間が足りていない可能性があります。

アメリカの国立睡眠財団の発表によると、推奨睡眠時間は、3~5歳で10~13時間、6~13歳で9~13時間とのこと。意外と長いと感じるのではないでしょうか。もちろん個人差があるため、子どもの様子を観察しつつ、目安として参考にするとよいですね。

3.よい睡眠のために環境を整えよう

よい睡眠のために、お部屋や寝具などの環境を整えることも大切。3~8歳の子供を持つママにアンケートを取ったところ、「ハウスダストやほこり」が気になるという結果が。ほかに、ダニや清潔度、湿気なども。寝室や寝具の環境を整えるための方法をご紹介します。

お部屋の温度と湿度に気を付けて

アンケートで気になる点として「室内の湿度が高い」「寝具の湿気」など湿度が高いことを心配している人が多い一方で、「室内が乾燥している」と湿度の低さを気にする方もいました。

部屋が乾燥していたら加湿器を、湿度が高いならエアコンの除湿機能を利用して、湿度を調整しましょう。適切な湿度は40~60%ほどなので、湿度と温度がわかる温湿度計を寝室に置いておくと調整がしやすいですね。

寝具の湿気対策には、布団乾燥機や除湿シートを使うのがお勧めです。

子どもは枕ナシでOK。布団は柔らかすぎないものを

「寝具が合っているか」「寝具の硬さ」を気にしているママも目立ちました。枕や布団も適したものを選びたいですね。

枕は、3~8歳くらいなら使わないほうがよいでしょう。バスタオルを4つ折りにしたくらいで充分。むしろ、大人が使うような高い枕をすると、猫背になってしまう場合もあります。

布団やマットレスは柔らかすぎると動きにくくなるので、柔らかすぎず、自由に寝返りができる程度がお勧めです。

ダニ対策の基本は「乾燥」→「吸引」

アンケートで「ハウスダストやほこり」が気になると答えた人は約40%、「ダニ」は約34%いました。

寝室はほこりやハウスダストが多くてたまりやすく、ベッドや布団は低い位置にあるので、吸い込みやすい環境です。ハウスダストやダニが多いままケアをしないで寝ていたら、呼吸が浅くなり疲れが取れにくくなると考えられます。こまめに掃除機をかけ、ハウスダストやほこり、ダニから子どもを守りたいですね。

特にダニは喘息などの原因になりやすく、子どもは大人以上に注意が必要です。

まず、シーツをこまめに洗濯してほこりやダニを取り、布団は天日干しにしたり、布団乾燥機にかけて乾燥させましょう。ダニ対策は、乾燥させて死滅させたあと、掃除機で吸引するのが基本のケア。こまめに対策することが大切です。

ダニを寄せ付けないケアも

ダニが増えた後は、死滅させて吸引するしかありませんが、その前にダニを寄せ付けない工夫もしましょう。

ムシューダ ダニよけ」は、ダニよけ天然成分100%なので、子どもの寝具にも安心。スプレータイプは速乾タイプで使いやすく、除菌効果※もあり一石二鳥。シートタイプは、敷き布団や敷きパッドの下に敷くだけで、6か月間ダニよけ効果が持続します。ベビーベッド用に小さくカットして使うこともできます。
※全ての菌を除菌するわけではありません。

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