季節のくらし

シンプルライフ研究家 マキさん流 お気に入りを長く大切に着る「スローファッション」のすすめ

1.服や小物の選び方とこだわり

最近は、「流行りの服を次々に買い替えるより、お気に入りの服を長く着たい」と思っている人が増えています。お出かけの機会が少なくなり、人に見られるより、着心地のよさや自分にとっての「お気に入り」を求めるなど、ファッションへの意識も変わりつつあります。シーズンごとに使い捨てるのでなく、良質なものを長く着続けるのが「スローファッション」という考え方。シンプルライフ研究家のマキさんに、スローファッションのコツを伺いました。
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プロフィール
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マキさん
7歳と12歳の娘、夫と4人暮らし。東京都在住。広告代理店勤務のワーキングマザー。不要なものは持たないシンプルな暮らしを綴ったブログ「エコナセイカツ」主宰。「しない家事」(すばる舎)や「母から子に伝えたい 持たない四季の暮らし」(大和書房) 「虫のいい家仕事」(宝島社)など、累計発行部数は24万部を超える。全国での講演活動やオンラインセミナー、アパレルブランドの商品コラボなどで幅広く活躍中。
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クローゼットの中のお気に入りを自分の「定番に」

マキさんは、シンプルな暮らしをするためにたくさんのものを捨てた時期があるそう。「流行りの服」や「着心地の悪い服」は残らず、いつも着ているお気に入りの服だけがクローゼットに残りました。そのときに気が付いたのは、「お気に入りじゃないから着ていないのに、出番が少なく着ないからきれいなまま捨てられない」というアイテムでした。

お気に入りのものは、自分のクローゼット内でよく着ているもの。ファッション誌やデパートで見つけるのではなく、クローゼットの中で見つけた自分にとってのお気に入りを「スタンダード」と定めましょう。

「スローファッション」は、毎日着たいと思えるお気に入りだけを大切に着ることではないでしょうか。移り変わりの早いファストファッションをすぐに使い捨てるのではなく、お気に入りを丁寧に着ることで、服を長く楽しめるとともに、1着1着が輝いて見えるようになってきます。

自分のこだわりとマイルールを持つ

たくさんのファッションアイテムがある中で、シンプルに暮らすには自分のルールを見つけることが大切です。マキさんは、着心地やお手入れの観点で、ワンピースはリネン100%のものを選んでいます。また、家事をするので腕まくりしやすいように袖がゴムになっていて、着脱しやすいように首元がゆるめのものがお気に入り。

素材は、リネンやコットンなどの天然素材を選びます。肌ざわりがよく着心地がよい上に、毛玉など気にせずお洗濯できてお手入れも簡単です。

ワードローブで一番大切なのは、マキさんが「ワンマイルウェア」と呼んでいるもの。寝間着と部屋着、近所に出かける服は同じものにしています。それを一番着心地良く、一番のお気に入りにすることが大事なのだとか。加えて、お出かけ用の服を数着持っておけばOKです。

自分のライフスタイルや、似合うもの、好きなテイスト、着心地などを踏まえ、つい着てしまうようなお気に入り服を定番にしていきましょう。

買い物は店員さんを味方にして

自分のこだわりやマイルールを持つと、買い物に失敗しづらくなります。これまでのお気に入りをベースに、足りないものを入れ替えるだけなので、ひとめぼれをして買うようなことがなくなります。

ただ、少しだけ違った形や色を試してみたいなと思うこともあるかもしれません。そんな時におすすめなのは、お気に入りのショップを見つけ、店員さんを味方に付けること。じっくり話しながら選べば、コーディネートや最近の旬も教えてくれます。できれば、店員さんにワードローブや好みを把握してもらえるとベストです。

気になる服を見つけても一度で決めずに、写真やお店で何度も確認して、「どうしても欲しかったら買う」というくらいにします。もし売り切れていたら縁がなかったと諦める。そんな冷静さも大切です。

2.長く着続けるための工夫とメンテナンス

SDGs(持続可能な開発目標)やサステイナブル(持続可能性)という言葉を耳にすることが増え、普段の生活の中でも環境のことに目を向ける機会も多くなりました。「お気に入りの服を長く着ることもサステイナブル」という考えのもと、長く着続けるための秘訣をご紹介します。

着ないと服に失礼。出番を増やして

服を数回しか着ないのに飽きてしまったらもったいない。だから、「とにかくたくさん着倒す」のがマキさん流。せっかく買ったら出番を増やしてあげること。そうしないと服に失礼だとマキさんは考えます。

また、作り手がこだわった服や小物を選ぶと、大切に着たいと思えるもの。選ぶ際に吟味することが、丁寧な暮らしの始まりなのかもしれません。その前提があるからこそ、大切に着たいという気持ちが育まれます。

お手入れは、家庭で洗濯をします。そのために、買う時の素材を吟味しているのだそう。「汚れたからクリーニングに出さなきゃ」と思いながら時間が経ってしまうと、たくさん着る機会を失ってしまいます。気軽に洗濯できるものを選ぶのが、メンテナンスを楽にするコツです。

冬物のコートや布団など、オフシーズンのものはまとめてクリーニングに出し、次のシーズンまで預けておきます。プロのメンテナンスと保管環境に頼ることも、手間をかけないポイントです。

干すだけでアイロン要らずのリネン

マキさんお気に入りのリネンは、しっかりしたものを選べばしわなども気になりません。洗ってハンガーに干すだけで、パリッとしてくれるのでアイロン要らず。多少のしわがあっても自然な風合い。それが味になるのです。

また、リネンは伸びないので、ワンピースのように重量があってもだらりと傷むことがありません。洗濯をして色あせてくることはありますが、洗濯をすればいつもパリッと気持ち良く着ることができるのです。

クローゼットはオープン。家族のものをすべて1か所に

マキさんは、服をすべてハンガー収納にしています。クローゼットの中は湿気がこもりやすいため、扉をなくしてオープンに。

全ての服が一覧できるので、使っていないものは一目瞭然。ワードローブを見直すのにも役立っています。

お気に入りをずっと着たいから。防虫剤を忘れずに

衣類を収納する際には、防虫剤を忘れずに使いましょう。お気に入りの服だけに、虫に食われていたら悲しみもひとしおです。「ムシューダ」なら引き出し・衣装ケース用クローゼット用洋服ダンス用など用途別にラインナップ。オープン収納や大型のクローゼットなどには、防虫効果だけでなく、カビやホコリ、色あせからも守ってくれるカバータイプがおすすめ。お気に入りの服は大切に保管して、長く着続けたいですね。

3.「お気に入り」を長く楽しむコツ

お気に入りを長く着る「スローファッション」。できるだけ長く着たいと思っても、処分する時期が訪れます。リサイクルしたり、染め直したり……。着なくなった服の活用法をご紹介します。

コースターやタオルなどに再利用

流行に左右される必要はありませんが、「以前はお気に入りだったけど、今はもう着たくない」というタイミングは訪れます。また、いくら着たくても、ほころびてしまうことも。処分するときには、古着屋さんやフリマアプリなどに売ることを検討したいですね。

人に譲ることもできない服は別のものにリサイクルできないか考えます。丈夫なリネンなら、コースターやタオルとして再利用可能。最後の最後まで役目を与えてあげて、使い切ることを大切にしているそうです。リネンは洗うほどに給水しやすくなるので、食器拭きに活用できます。

ずっと着ていた服が身の回りの小物になったら、また愛着もわきそうです。

「どうしても」のお気に入りは、染め直しやリメイクという方法も

どうしても捨てられず、染め直しをしたワンピースも。黒のリネンワンピースは、待っても同じようなタイプがすぐには発売されないとわかったため、染粉を購入して染め直しました。

ほかに、お子さんのワンピースで上半身だけきつくなったものをスカートにリメイクしたことも。リメイクすることで「飽き」を解消する工夫にもなります。色や生地が気に入っている服も、再利用すれば長く愛用できます。

衣替えの時期は服を見直すチャンス

マキさんはすべてハンガー収納なので、衣替えはハンガーの手前と奥を入れ替えるだけ。その際に、シーズンで一度も着なかったものはできるだけ処分します。

ハンガー収納でなくても、衣替えの際にすべての服をちゃんと見直すのがコツ。ずっと見ないままに置いておくのは避けましょう。小物も同様に、出番が1回もなかったら手放すことを検討してください。

マキさんは、洗濯ものを干すためのハンガーを収納用としても使っています。服が増えてくると、洗濯のときにハンガーが足りなくなるそう。でもそれが服を見直すサイン。ハンガーを追加するのではなく、服を減らすように心がけたいものです。

どうしても処分できなかったら、そのまま持ち越してもOK。でも、毎シーズン見直すことが大事です。「やっぱり使わなかった」を何度か経験すれば、手放す覚悟ができるのです。

子ども服や消耗品、アクセサリーの選び方

子どもはサイズアウトが早いので、ワンシーズンごとにファストファッションで購入しているそう。5着のお気に入りを持ち、できるだけ着られるようにしています。セールで買うと着られる時期が短くなるので、シーズンの初めにそろえるのがコツ。
自分の下着や靴下トレーニングウェアなども消耗品と割り切ってファストファッションを利用しています。
アクセサリーは、シルクやコットンを使った軽いものが付けやすくてお気に入り。吟味してから買うので結果的に長く使うことになるのだとか。

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