季節のくらし

湿気・カビ対策 総まとめ  発生原因から予防・除去方法まで徹底解説!

1.そもそもカビって何?

カビ取り剤などはよく目にするけれど、そもそもカビって何なのでしょうか。実際カビってどんなもの? どうして除去しなくてはいけないの? など、カビのことを正しく理解すれば、対策にも納得できるはず。エステーR&D部門研究グループの守谷和騎研究員が、予防や対策の前にカビのことについてお話します。

菌とカビは何が違う? なぜカビは要注意なの?

カビとは、微生物群の一種で、菌の仲間です。菌は約40億年前から生息しているのに対し、カビは10億年程度。どちらもとても長いものの、その差はかなりあります。そこからわかるのは、カビの方が菌よりも複雑化しており、生きる力が強いということ。環境が悪くても生きていけるのです。

カビは真菌と呼ばれ、その仲間には酵母やキノコも含まれます。糸状の菌糸から栄養や水分を吸収し伸びていきます。成熟した菌糸から胞子を作り、それが空気中を舞って移動するのです。胞子が栄養や水分を吸収し、新たな場所で育ちます。

なぜそのままにしていてはいけないの?

カビはなぜ毛嫌いされているのでしょうか? カビの胞子は基本的にどんな空間でも漂っており、少量を吸い込む分には問題ありません。基本的に、体内に入ったからといってすぐに強い毒性があるというものではないのです。
ただし、カビが付いている食べ物を口にしたり、根を生やして大量の胞子を出しているものを吸い込むと、ぜん息やアトピー性皮膚炎など、アレルギー性疾患の原因となる場合もあります。また、免疫力が極端に落ちている人が吸い込むと、感染症発症の可能性も。
黒っぽい種類が多いので見た目が悪く、ニオイも発生します。また、カビはダニの餌になりやすいため、間接的に健康に害を与えます。

カビが発生する3条件は「湿度」「温度」「栄養」

カビが発生する条件は、基本的には温度と湿度と栄養です。この全てが揃うと、胞子が付着した場所から発育していきます。それぞれ、次のような条件となっています。

●温度

 最適温度は25℃。5~35℃前後でも生育します。

●湿度

 一般的なカビは湿度80%以上が必須条件。乾燥状態を好む一部のカビでも65%は必要です。

●栄養

 たんぱく質や炭水化物、油脂などの有機物が栄養になります。主に皮脂汚れやほこり、たべこぼしなど。

温度の5~35℃という条件は人間にも快適な温度なので、取り去ることは難しいでしょう。そのため、カビを防ぐためには湿度や栄養の条件を取り除くことを考えます。

2.カビの予防(1)

カビの生育条件は「温度」「湿度」「栄養」の3つの条件がそろうことでした。そのため、乾燥させて、栄養を減らすのがカビ予防の基本。まずはお部屋やお風呂場など、比較的広い場所の対策について解説します。

お部屋は換気が大事。エアコンは使う前に掃除を

お部屋の場合、掃除はもちろん、湿気を取ることが第一。そのためには、毎日窓を開けたり換気扇を回して換気をするようにしましょう。
これからの梅雨の季節は、洗濯物をお部屋の中に干さなくてはならないこともあるかもしれません。その際には、エアコンのドライ運転などを使うようにしましょう。ただし、しばらく使っていないエアコンにカビが生えている場合も。そのまま運転すると胞子をまき散らしてしまうので、使う前にエアコンの掃除をしておくのが理想的です。

冬の間に付いた窓の結露によるカビも注意

冬の間、外気が冷たく部屋が暖かいと、窓に結露が付きます。その際に放置したままだと、カビが生えていることがあります。そのまま梅雨の時期に入るとカビが増えて胞子をまき散らしてしまう可能性があるため、この時期に取り除いておくとよいでしょう。

風呂場は出る前にシャワーで流す

風呂場は温かく湿気が高いことに加え、栄養も豊富なのでカビが生えやすい環境です。壁や隅にシャンプーの泡や皮脂などが残っていると、カビにとってはありがたい環境に……。そのため、出る前に壁や床の隅々をシャワーで洗い流します。

もちろん換気は必須です。さらに、壁面の水滴をタオルで拭きとったり、スクイージーなどで水切りするとよいでしょう。

3.カビ予防(2)と除去

換気がしづらいクローゼットや下駄箱などの収納スペースは湿気がこもりやすい場所です。収納スペースの湿気対策や除湿剤の効果的な使い方を紹介します。

クローゼットは詰め込み過ぎないで!

洋服などを収納しているクローゼット。衣類は体から出る汗をかなり吸い込んでいるものです。着たものをすぐにしまうのではなく、一晩クローゼットの外でハンガーにかけておいてからしまうといった工夫が効果的です。

また、衣類を詰め込み過ぎないことも大切です。取り出すのが大変なほど収納していると、空気が循環せず湿気がこもってしまいます。

クローゼットはゆったりと収納したうえで、換気ができる場合はできるだけ換気をしましょう。梅雨から夏にかけて特に湿気が多い時期は、除湿剤を活用すると効果的です。湿気は下の方や空気が滞留しがちな四隅にたまりがちです。そのため、除湿剤は下の四隅に置くのがおすすめ。また、湿気を吸収した衣類に対しては、吊り下げるタイプの除湿剤が有効です。

下駄箱と靴それぞれに除湿剤を

雨の日が多くなると、靴にも湿気がたまってしまいます。さらには、下駄箱に湿気がたまり、靴にカビが生えたら大変。さらに、においも気になりますね。
脱いだ靴は、すぐに下駄箱にしまわず、一晩外に出しておきます。下駄箱にしまう時には、靴用の除湿剤を中に入れておくとよいでしょう。
また、下駄箱用の除湿剤は、下の段や四隅に置くと効果的です。

除湿剤の種類を知って効果的に使おう!

どんな場所も掃除をして換気をするのが理想なのですが、必ずしもこまめにできない場合があります。そんな時は除湿剤を味方につけましょう。除湿剤の種類や特長を知っていれば、効果的に湿気対策を行うことができます。
除湿剤の薬剤には、主に「塩化カルシウム」と「シリカゲル」の2種類があります。
もっともよく使われているのが「塩化カルシウム」で、薬剤の3~4倍ほどの水分の除湿が可能です。湿気を吸うと容器に水がたまる置き型タイプや、ゼリー状に固まるシートタイプがあります。広いスペースには置き型タイプを、また収納ケースや靴の中などスペースが小さな場所にはシートタイプの除湿剤が便利です。

一方、「シリカゲル」は塩化カルシウムと比べると除湿できる量は少ないですが、「B型シリカゲル」の場合、天日に干して乾燥させると吸湿力が回復するため繰り返し使うことができます。靴や布団などの除湿剤に最適です。

それぞれ専用の商品があるので、使う場所にあったタイプを使うのが効率的です。除湿剤を使う場合は、扉を閉めて密閉した状態で使用しましょう。
除湿剤の使い方は、こちらでも詳しく紹介しているので、参考にしてくださいね。
http://drypet.st-c.co.jp/movie/index.html

カビが発生してしまったら?

湿気対策をしていても、カビが発生してしまうことがあります。目に見えるカビは根が生えている場合があります。そこまで来たらカビ取り剤を使って対処しましょう。パッキンや木材など、柔らかいものに生えているカビは、中まで根が生えています。カビ取り剤をカビにめがけて吹きかけ、時間を置いて拭き取ります。
カビ取り剤で取り除いたとしても、汚れや湿気が溜まりやすいところになるので、注意しましょう。
サッシやタイルなど硬質面に生えているカビは、汚れの上に生えている場合もあり、かんたんに拭き取れることも。その場合には、ティッシュなどにエタノール等を吹きかけて、拭きとるだけでもよいでしょう。

気を付けたいのは、ゴシゴシと掃除してしまうこと。目に見えなくても小さな傷がついてしまうため、そこが余計にカビやすくなってしまうのです。カビ取り剤などをしっかりと浸透させてから、強くこすらずに落とすようにしましょう。

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