
同じお米でも、炊き方次第でおいしさがまったく変わります。プロの炊飯手順を一からご紹介。食欲が落ちても食べやすいパワー満点のお米レシピも!

意外と知らない基本の炊き方
夏はそうめんなどで簡単に食事を済ませてしまいがちですが、しっかりパワーを付けるなら栄養バランスの優れたお米を食べたいところ。ちょっとしたポイントを押さえるだけで、ごはんはぐっとおいしく炊けます。
1.計量
ベストな水加減にするためにも、お米の計量は大切。平らな場所でカップをならし、米粒の隙間を埋めて、しっかりすり切りをしましょう。
2.洗米
乾燥したお米は、最初に出会うお水をもっとも吸収します。最初に洗う水はできればミネラルウォーターにしてください。硬水で炊くと硬くなるので、軟水を使うのもポイント。洗米は旨みまで落としてしまわないよう、手早く優しく。
3.水切り
洗ったお米は5分程度ざるに上げて、軽く水を切りましょう。時間をかけすぎると乾燥し、ひび割れの原因に。気温が高い夏は、早く乾くので3分で充分です。
4.浸水
浸水は、炊飯の重要なポイント。お米に水を吸わせることでデンプンが分解され、糖が生まれておいしく炊きあがるのです。夏場は30分、冬場は1時間が目安。ちなみに、水分を多く含んでいる新米は水が入りづらいので、2時間程度じっくり浸すとよいでしょう。
なお、夏場のタイマー設定には注意が必要。夜の炊飯予約を朝セットすると、日中に温度が上がり、変色や風味の劣化が進む恐れがあります。できるだけ直前にお釜をセットしたいところです。
5.蒸らし
炊きあがったら蓋を開けずに一度スイッチをオフにし、15分間蒸らしてから保温スイッチをオン。水が充分に行き渡り、時間が経ってもみずみずしいごはんが楽しめるうえ、変色もしづらくなります。
炊飯器によっては「浸水/吸水」や「蒸らし」の機能を備える製品もあるので、取扱説明書を確認してみましょう。
6.ほぐし
しゃもじで十字に切り込みを入れ、1/4ずつ底から持ち上げて、切るようにほぐします。空気に触れさせることでごはん粒の表面に膜が張り、一粒ずつがピンと立っておいしく仕上がるのです。また、炊きあがったごはんは、お釜内の場所によって味が均一でない場合も。炊飯時に蒸気の通り道となる中心部は、負荷がかかりやすく、他よりも少し風味が落ちてしまうことがあります。しゃもじでよくほぐすことで、そんな味のブレがなくなるのもうれしいところです。
プラスαのワザ
水加減をするとき、お米1合に対してにがりを1~2滴加えると、にがりのマグネシウムが、お米の旨みを増してくれます。また、氷を入れるのも手軽でおすすめ。お釜の中の温度を下げることで、炊飯時にお米の消化酵素が働く時間を延ばし、甘みや旨みを引き出せます。
夏バテ防止におすすめのレシピ
ウーロン茶漬け
お米をさらりと食べられるウーロン茶漬けは、消化もよく夏バテ防止にもってこい。冷やしたごはんのデンプンは、体内に吸収されにくい性質へ変化するため、代謝されやすいのもポイントです。ダイエット中、小腹が空いたときの夜食にも向いています。
鮭ときゅうりのさっぱりおにぎらず
近ごろ話題の「おにぎらず」。夏には、お酢とゴマで味付けしたごはんに、ななめに薄切りしたキュウリと鮭のほぐし身を加えた、澁谷さんオリジナルのおにぎらずなどいかがでしょうか? さっぱりした口当たりで、あまり食欲がなくても手が伸びるはず。お酢の殺菌効果でごはんが劣化しにくいため、お弁当にも安心です。

プロフィール
日本で唯一、穀物のプロフェッショナル資格(5ツ星お米マイスター、ごはんソムリエ、雑穀エキスパート、薬膳インストラクター、雑穀マイスター、発酵食スペシャリスト)を持つ女性米屋。全国各地を自身で歩き、探し出したこだわり米を百貨店で販売している。また、女性の目線で、米が持つヌカや麹の発酵技術を使った弁当・お惣菜も販売。米・雑穀・麹の第一人者!